JJPC「全国小中学生・高等学校プログラミング大会」はAI解析/物理演算などハイレベルな大会に!グランプリはIoT/スマホ/Siri連携/3Dプリンタを駆使
「第7回 全国小中学生プログラミング大会」と「第1回 全国高等学校プログラミング大会」の最終審査会と表彰式が2023年2月25日(土)に開催された。
全国プログラミング大会は、PC、スマートフォン、タブレットで動作するプログラムやアプリ・ゲーム・ムービーなどのソフトウェア、ロボットや電子工作などのハードウェアを活用した作品をコンテスト形式で競う全国規模の大会。プログラミングの使用言語や作品形式は問わず、テーマの指定もない。のびのびとした発想に基づく作品が期待できる。
スマホ1台で、温度・水温・湿度・水位などを確認したり、モーターの駆動を遠隔操作できるシステム「亀育成サポート機」は、近々にも、実践に活かせそうな作品
「地震火災を防ぐ!ローバー遠隔操作システム」も登場した小中学生が対象の大会として運営しているが、今回から高等学校を対象とする大会も追加されることになった。2022年7月22日から11月3日まで、作品の応募受付を行なった結果、コロナ禍の中にも関わらず、全国から140件の応募があり、一次審査、二次審査を経て、入選作13作品が決定(エリアパートナー推薦からの作品1作品含む)。この日、最終審査会が行われ、プレゼンテーションと質疑応答の結果、グランプリや各賞が決定した。
審査員の前でプレゼンテーションを行い、質審査員からの質疑に回答する(「Watey」を発表するSpesDojoチーム(小6/小5))
●グランプリは平松さん(中3)「亀育成サポート機」
グランプリは平松さん(中3)の「亀育成サポート機」が受賞した。家で飼っている子亀の育成をセンサー等を活用して手助けしてくれる作品。C++とArduinoで開発した。
IoTとスマホアプリを活用した実用性の高いもの。水槽の水温や温度、湿度、水槽の水位を計測して、デバイスのディスプレイやスマホの画面に表示、グラフ化もできる。アクチュエータ(モーター)も活用し、水槽の蓋の開け閉めや、3Dプリンタで制作した水槽の水抜き/水入れのポンプは、スマホアプリからいつでも操作できる。水槽の蓋の開け閉めはセンサーと連動して、水温の上下に自動で対応することもできる。
水槽の状況は各種センサーでスマホアプリに届けられる。スマホアプリから、水槽の蓋の開け閉めや、水の抜き入れなども指示できる
水槽の水の出し入れを自動で行うポンプ機構を3Dプリンタで自作した。電源は太陽光パネルの発電によるものでエコを意識したLINEを使って水槽の状況をコンピュータとテキストでやり取りしたり、Siriに音声で餌やりを指示するなど、テキストと音声でのコマンドや対話ができることも特長だ。WEBからもアクセスして水槽の状況を確認することができる。
Siriを使って、音声で餌やりなどを指示できる子亀の育成という身近なテーマで、センサー類とスマホを連携、アクチュエータとも連携して、遠隔からの確認や操作に対応した点がとても素晴らしい。更には、LINEやSiriといった、ユーザーが使い慣れたアプリで、テキスト文字や音声で操作できる点も最先端を感じさせる作品で、審査員たちからの質疑も多かった。
岩佐琢磨氏は「スマホ、サーバ、組込(デバイス)と連携した幅広い開発をソフトとハード両面ですべて行ってひとつのシステムにまとめ上げたのは素晴らしい」と評価した。平松さんはグランプリ受賞して「本当にうれしい。中学生最終の思い出になりました。高校生になったら今度は高校生部門でも挑戦したいです」と語った。
●準グランプリは川口さん(小4)「虫の音」
準グランプリには、川口聡介さん(小4)の「虫の音」が受賞した。
「虫の音」は夜に虫の声を聞いたことが興味の始まりだったという。作品は虫の声を解析するプログラムをAIモデルを使って作成、虫の声が聞こえたらタブレットでその声の主である昆虫の情報を表示するという図鑑のような実用性を持ったもの。
判明した声の主はアプリ内の虫かごに入れることができ、いつでもその声を再生して聞くことができる。
AIの鳴き声判定には「Teachable Machine」を使用し、鳴き声から虫の声を解析して名前を特定するAIモデルを自作した。虫の声のデータ(音声)はYouTube動画などを活用して収集した。
審査員の石戸奈々子氏は「本当に素晴らしい作品で感動している」と評価した。
●優秀賞と特別賞は力作ぞろい
最終審査会には、小中学生大会が10作品、高等学校大会が4作品が入選として進出した。
■全国小中学生プログラミング大会 入選作品(最終審査進出):
■全国高等学校プログラミング大会 入選作品(最終審査進出):
●優秀賞小学生部門 小久保さん(小6)「電線をつなげ」
小学生部門の優秀賞は、小久保昊哉さん(小6)の「電線をつなげ」が受賞した。6×6のパズルマスを繋げて電線を繋いでいくゲーム。
「子どもから高齢者まで幅広い層に楽しめるパズルゲームを目指しました」とのこと。
●優秀賞中学生部門 矢木さん(中3)「ObotShooter」
中学生部門の優秀賞は、矢木彰人さん(中3)の「ObotShooter」が受賞した。「ObotShooter」は柔らかいロボットを操作して、コアを破壊するシューティングゲーム。物理演算でリアルな動きを作った点がアピールポイントとなっている。
審査員からアピールポイントを聞かれると、矢木さんは「全キャラクターが物理演算アニメーションで動いているところです」とコメント。「同時に物理演算で行うとバグが多くなりがちなので、その点が苦労しました」と続けた。
また、プレイヤーが操作するキャラクターに柔らかいロボットを選択した理由を問われると「人間が撃たれて力なく倒れる様子は、ゲームと言えども残酷に感じるし、そういう指摘もあったため、ロボットにしました」と回答した。
●優秀賞高校生部門 田方斡/柴田匠 高2/小4 ケシバト
高校生部門の優秀賞には、田方斡さん/柴田匠さん(高2/小4)の「ケシバト」が受賞した。「ケシバト」は消しゴムを弾いてバトルする遊びを3Dアクションゲームにした。
敵キャラも文房具で、ノリやクリップ、ボスキャラのハサミなどが登場する。
●特別賞 横田夏向さん(小5)「AIと対決小学生外貨取引ゲーム」
5つの国の外貨を日本円に換金して資産のアップを目指すシミュレーションゲーム。総資産の金額を競ってAIと対戦する。
このゲームを作ろうと思ったキッカケを聞かれると、横田さんは「円安のニュースをよく目にしていて、お爺ちゃんが外貨取引をしていることを聞いて、このゲームを作ろうと思いました」と語った。
●奨励賞
そのほか、奨励賞が下記の参加者に授与された。
●総評
審査員長をつとめた川田十夢氏は「このコンテストを通じて、毎回刺激受けています。やっぱり僕達自身はもう、大人になって、おじさんになって、凝り固まったプログラムの使い方をしているなと、毎回気づかされます。本当にみんなの応募作品を見て、柔軟な発想やAIの使い方とか、発見や刺激をもらっています。そして実装力。本当に即戦力になれそうだと感じています」と語った。
全国プログラミング大会は、PC、スマートフォン、タブレットで動作するプログラムやアプリ・ゲーム・ムービーなどのソフトウェア、ロボットや電子工作などのハードウェアを活用した作品をコンテスト形式で競う全国規模の大会。プログラミングの使用言語や作品形式は問わず、テーマの指定もない。のびのびとした発想に基づく作品が期待できる。
スマホ1台で、温度・水温・湿度・水位などを確認したり、モーターの駆動を遠隔操作できるシステム「亀育成サポート機」は、近々にも、実践に活かせそうな作品
「地震火災を防ぐ!ローバー遠隔操作システム」も登場した小中学生が対象の大会として運営しているが、今回から高等学校を対象とする大会も追加されることになった。2022年7月22日から11月3日まで、作品の応募受付を行なった結果、コロナ禍の中にも関わらず、全国から140件の応募があり、一次審査、二次審査を経て、入選作13作品が決定(エリアパートナー推薦からの作品1作品含む)。この日、最終審査会が行われ、プレゼンテーションと質疑応答の結果、グランプリや各賞が決定した。
審査員の前でプレゼンテーションを行い、質審査員からの質疑に回答する(「Watey」を発表するSpesDojoチーム(小6/小5))
●グランプリは平松さん(中3)「亀育成サポート機」
グランプリは平松さん(中3)の「亀育成サポート機」が受賞した。家で飼っている子亀の育成をセンサー等を活用して手助けしてくれる作品。C++とArduinoで開発した。
IoTとスマホアプリを活用した実用性の高いもの。水槽の水温や温度、湿度、水槽の水位を計測して、デバイスのディスプレイやスマホの画面に表示、グラフ化もできる。アクチュエータ(モーター)も活用し、水槽の蓋の開け閉めや、3Dプリンタで制作した水槽の水抜き/水入れのポンプは、スマホアプリからいつでも操作できる。水槽の蓋の開け閉めはセンサーと連動して、水温の上下に自動で対応することもできる。
水槽の状況は各種センサーでスマホアプリに届けられる。スマホアプリから、水槽の蓋の開け閉めや、水の抜き入れなども指示できる
水槽の水の出し入れを自動で行うポンプ機構を3Dプリンタで自作した。電源は太陽光パネルの発電によるものでエコを意識したLINEを使って水槽の状況をコンピュータとテキストでやり取りしたり、Siriに音声で餌やりを指示するなど、テキストと音声でのコマンドや対話ができることも特長だ。WEBからもアクセスして水槽の状況を確認することができる。
Siriを使って、音声で餌やりなどを指示できる子亀の育成という身近なテーマで、センサー類とスマホを連携、アクチュエータとも連携して、遠隔からの確認や操作に対応した点がとても素晴らしい。更には、LINEやSiriといった、ユーザーが使い慣れたアプリで、テキスト文字や音声で操作できる点も最先端を感じさせる作品で、審査員たちからの質疑も多かった。
岩佐琢磨氏は「スマホ、サーバ、組込(デバイス)と連携した幅広い開発をソフトとハード両面ですべて行ってひとつのシステムにまとめ上げたのは素晴らしい」と評価した。平松さんはグランプリ受賞して「本当にうれしい。中学生最終の思い出になりました。高校生になったら今度は高校生部門でも挑戦したいです」と語った。
●準グランプリは川口さん(小4)「虫の音」
準グランプリには、川口聡介さん(小4)の「虫の音」が受賞した。
「虫の音」は夜に虫の声を聞いたことが興味の始まりだったという。作品は虫の声を解析するプログラムをAIモデルを使って作成、虫の声が聞こえたらタブレットでその声の主である昆虫の情報を表示するという図鑑のような実用性を持ったもの。
判明した声の主はアプリ内の虫かごに入れることができ、いつでもその声を再生して聞くことができる。
AIの鳴き声判定には「Teachable Machine」を使用し、鳴き声から虫の声を解析して名前を特定するAIモデルを自作した。虫の声のデータ(音声)はYouTube動画などを活用して収集した。
審査員の石戸奈々子氏は「本当に素晴らしい作品で感動している」と評価した。
●優秀賞と特別賞は力作ぞろい
最終審査会には、小中学生大会が10作品、高等学校大会が4作品が入選として進出した。
■全国小中学生プログラミング大会 入選作品(最終審査進出):
■全国高等学校プログラミング大会 入選作品(最終審査進出):
●優秀賞小学生部門 小久保さん(小6)「電線をつなげ」
小学生部門の優秀賞は、小久保昊哉さん(小6)の「電線をつなげ」が受賞した。6×6のパズルマスを繋げて電線を繋いでいくゲーム。
「子どもから高齢者まで幅広い層に楽しめるパズルゲームを目指しました」とのこと。
●優秀賞中学生部門 矢木さん(中3)「ObotShooter」
中学生部門の優秀賞は、矢木彰人さん(中3)の「ObotShooter」が受賞した。「ObotShooter」は柔らかいロボットを操作して、コアを破壊するシューティングゲーム。物理演算でリアルな動きを作った点がアピールポイントとなっている。
審査員からアピールポイントを聞かれると、矢木さんは「全キャラクターが物理演算アニメーションで動いているところです」とコメント。「同時に物理演算で行うとバグが多くなりがちなので、その点が苦労しました」と続けた。
また、プレイヤーが操作するキャラクターに柔らかいロボットを選択した理由を問われると「人間が撃たれて力なく倒れる様子は、ゲームと言えども残酷に感じるし、そういう指摘もあったため、ロボットにしました」と回答した。
●優秀賞高校生部門 田方斡/柴田匠 高2/小4 ケシバト
高校生部門の優秀賞には、田方斡さん/柴田匠さん(高2/小4)の「ケシバト」が受賞した。「ケシバト」は消しゴムを弾いてバトルする遊びを3Dアクションゲームにした。
敵キャラも文房具で、ノリやクリップ、ボスキャラのハサミなどが登場する。
●特別賞 横田夏向さん(小5)「AIと対決小学生外貨取引ゲーム」
5つの国の外貨を日本円に換金して資産のアップを目指すシミュレーションゲーム。総資産の金額を競ってAIと対戦する。
このゲームを作ろうと思ったキッカケを聞かれると、横田さんは「円安のニュースをよく目にしていて、お爺ちゃんが外貨取引をしていることを聞いて、このゲームを作ろうと思いました」と語った。
【グランプリ】:
平松夏々翔さん 中3 亀育成サポート機【準グランプリ】:
川口聡介さん 小4 虫の音【優秀賞小学生部門】:
小久保昊哉さん 小6 電線をつなげ【優秀賞中学生部門】:
矢木彰人さん 中3 ObotShooter【優秀賞高校生部門】:
田方斡さん/柴田匠さん 高2/小4 ケシバト【特別賞】:
横田夏向さん 小5 AIと対決小学生外貨取引ゲーム
■審査員等:
実行委員長:
稲見昌彦(東京大学教授) /審査員:
川田十夢(AR三兄弟)/ 審査員長石戸奈々子(NPO法人CANVAS 理事長)安達真(株式会社グルコース代表取締役社長)千代田まどか(ITエンジニア兼マンガ家)岩佐琢磨(株式会社Shiftall代表取締役CEO)※敬称略
●奨励賞
そのほか、奨励賞が下記の参加者に授与された。
●総評
審査員長をつとめた川田十夢氏は「このコンテストを通じて、毎回刺激受けています。やっぱり僕達自身はもう、大人になって、おじさんになって、凝り固まったプログラムの使い方をしているなと、毎回気づかされます。本当にみんなの応募作品を見て、柔軟な発想やAIの使い方とか、発見や刺激をもらっています。そして実装力。本当に即戦力になれそうだと感じています」と語った。