ふるさと納税をすると寄付金控除を受けられるため、実質2,000円で返礼品を受け取ることができるようになります。

基本的に、寄付金控除を受けるには確定申告が必要です。しかし、普段年末調整だけを行っており、確定申告の経験が少ない給与所得者のなかには、ふるさと納税の確定申告をどのようにしたらいいのかよくわからない人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、ふるさと納税と確定申告について詳しく解説します。

ふるさと納税は基本的に確定申告が必要

ふるさと納税で納めた金額は寄付金控除の対象となり、確定申告が必要です。これは自営業者だけでなく、給与所得者で年末調整を行っている人でも同様です。

寄付金控除を受けるためには、原則として寄付をした翌年の3月15日までに、自身の住所地を管轄する税務署へ確定申告を行わなければなりません。また、確定申告の際には、寄付先の自治体が発行した「寄付の証明書もしくは受領書」や「払込用紙の控え」が必要となるので、これらの書類はなくさないように保管しておきましょう。

ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告をしなくて済む
ふるさと納税以外の確定申告が不要な給与所得者に対しては、ワンストップ特例制度が用意されています。ワンストップ特例制度の条件を満たせば、確定申告を回避できます。

ちなみに、確定申告で申告すると、所得税および住民税両方から控除されるのに対し、ワンストップ特例制度を利用すると、すべて住民税からの控除になることも覚えておきましょう。

ふるさと納税は確定申告とワンストップ特例制度どちらにすべき?

ふるさと納税の申告方法は、確定申告か、ワンストップ特例制度を利用するかの二つがあります。それぞれの特徴を解説するので、どちらにするべきか選ぶ際の参考にしてください。

ワンストップ特例制度を利用できる条件は限られている
ワンストップ特例制度の対象となるのは、年末調整の対象者です。年末調整の対象者とは、以下に当てはまる人を指します。

・会社などに1年を通じて勤務している人
・年の途中で就職し、その年の年末まで勤務している人

ただし、年間の給与額が2,000万円を超える人や、災害減免法の適用を受けて所得税など源泉徴収の猶予や還付を受けた人は対象外です。年の途中で退職した人でも、対象とならないケースがあります。

さらに、次の条件を満たさなければなりません。

・寄付先の自治体の数が五つ以内

上の条件に該当していれば、確定申告をせずにふるさと納税の寄付金控除を申告できます。

確定申告は自治体に申請書を送付する必要がない
ワンストップ特例制度を利用するには、翌年の1月10日までに寄付先の自治体に申請書を送付しなければなりません。一方、確定申告の場合は寄付先の自治体への資料送付は必要ないため、申請書を準備し、自治体に送付するといった手続きは不要です。

ワンストップ特例制度は、確定申告の手間を減らすものですが、申請書の記入や送付といった手間がかかります。

住宅ローン控除があるときはワンストップ特例制度がおすすめ
住宅ローン控除の対象となる人は、ワンストップ特例制度を使用したほうがよいときがあります。

住宅ローン控除は基本的に所得税から控除されますが、控除しきれなかった場合は住民税からも最大13万6,500円(2009年1月1日から3月31日までに居住した場合は最大9万7,500円)控除可能です。

しかし、ふるさと納税による控除は住宅ローン控除よりも優先されます。上限ある控除額をふるさと納税に充ててしまった分、住宅ローン控除で使用しきれないこともあります。そうなると、住宅ローン控除を満額受けることはできません。

ワンストップ特例制度を利用すればふるさと納税の控除は住民税のみとなるため、上限ある住宅ローン控除の所得税分をふるさと納税で使用しなくて済み、住宅ローン控除に与える影響は少なくなります。

ただし、住宅ローン控除の申告を初めてするときは確定申告が必須です。その際は、ワンストップ特例制度は使用できないため、注意してください。

ワンストップ特例制度を申し込んだあとに確定申告に変更する方法

ワンストップ特例制度を申請していても、確定申告への切り替えは可能です。当初はワンストップ特例制度を利用するつもりでも、医療費控除の申告や副業による所得などが発生して、確定申告をせざるを得ない状況になることも十分に考えられます。ふるさと納税をした自治体が5つ以上になってしまうこともあるでしょう。

そういったときには、すでにワンストップ特例制度を申請していても確定申告が必要となりますが、特別な手続き等は必要ありません。通常通り確定申告を行えば、期間中に申請したワンストップ特例制度はすべて無効となります。

ふるさと納税の確定申告の仕方

ふるさと納税の確定申告は、どのように行えばいいのでしょうか。ここからは、ふるさと納税の確定申告の仕方について解説します。初めて確定申告を行う人はぜひ参考にしてください。

確定申告の時期
確定申告の時期は、原則として翌年の2月中旬から3月中旬までです。その年によって期限が異なるため、事前に確認しておきましょう。ただし、還付申告(還付金を受けるのみの場合)であれば、翌年の1月から受け付けています。早めに提出できれば、その分早く還付金が振り込まれるため、還付申告の方は利用してみてはどうでしょうか。

必要なもの
確定申告に必要なものは以下のとおりです。

・確定申告書
・源泉徴収票
・還付金の振込先の口座内容がわかる通帳など
・マイナンバーがわかるもの

以前は確定申告書に押印が必要でしたが、現在では不要になっています。

e-Taxを使用して申告する場合は、パソコンやスマートフォン、そしてマイナンバーがわかるもののほか、電子証明書が必要です。ふるさと納税を行ったことによる寄付金控除を申告するにあたっては、さらに寄付先の自治体が発行する「寄付金受領証明書」が必要です。事前に必要な書類を確認し、提出の際には漏れのないようにしておきましょう。

申告方法
確定申告の方法は、以下のうちのいずれかです。

・自分の住所地を管轄する税務署に直接出向いて提出する
・管轄の税務署に郵送で提出する
・自宅からe-Taxを利用して提出する

確定申告書に必要事項を記載し、必要な書類を添付して(e-Taxの場合は添付を省略可)提出します。

自分で確定申告することに自信がないときには、国税庁が用意している「確定申告書等作成コーナー」を利用すると便利です。初心者でも簡単に申告書を作成でき、提出に必要な書類のチェック表もあるため、提出書類の漏れを防ぐことにもつながります。

まとめ

ふるさと納税による寄付金控除の申請は、ワンストップ特例制度か確定申告にて行います。ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告は不要ですが、利用するには寄付先の自治体の数や、ほかに確定申告しなければならない控除等がない、といった条件を満たさなければなりません。

ふるさと納税を確定申告する際は、寄付先の自治体が発行する「寄付金受領証明書」などの書類が必要なので、忘れずに準備しておきましょう。