当時未成年だったアメリカ人女性、ヴァージニア・ジュフリーに性的暴行を働いたとして2021年にアメリカで提訴されたアンドルー王子。ジュフリーは実業家で性犯罪者の故ジェフリー・エプスタインを通じて王子と知り合い、エプスタインの邸宅や別荘で暴行されたと主張していた。この裁判は昨年2月に示談が成立した。示談金の額は発表されなかったが報道では1,200万ドル(約15.5億円)とも1,400万ドル(約18.1億円)とも言われている。双方の弁護士は犯罪被害者を支援するジュフリーのチャリティ団体への寄付金という形で支払うことを認めていた。昨年はエリザベス女王の在位70周年。祝賀ムードに水を差すことがないよう裁判が始まる前に示談を成立させるよう王室やロイヤルファミリーが王子にプレッシャーをかけたと関係者は語っていた。

しかし今週、王子が示談を撤回するために動き始めているという報道が浮上した。きっかけはエプスタインに女性たちを斡旋していたギレーヌ・マクスウェルが明かした新情報。彼女は人身売買などで有罪になり服役中だが、最近獄中でインタビューに応じた。その中で「王子とジュフリーが会った記憶はない」とコメント、マスコミに流出している当時17歳だったジュフリーと王子の2ショット写真も「フェイクだ」と発言した。

新聞「サン」によると王子は示談撤回の裁判を起こすための費用としてすでに1,000万ポンド(約16億円)を集めている。その一部はエリザベス女王の遺産だという。また関係者は「チャールズ国王も彼が真実を追求することを喜んでいる。国王という立場があるから王子を公的に支持することはできないが王子は弟であり、国王は王子にとって最善のことを望んでいる」と語っていた。

しかし国王の友人はこの証言を否定している。ウェブサイト「デイリービースト」に「国王は疑惑が再燃することを決して望まないだろう」とコメント、王子が裁判を始めることに反対するだろうと語った。王子はエプスタインとの関係を批判され公務から退いているが、関係者曰く「王子に公務を引退するように言い、ジュフリーとの裁判を示談で解決するように求めたのはチャールズ国王だ。王子がこの泥沼を再びかき回すのを望んでいない」。さらに「兄弟の間に愛はなく、王子に戻る道はない」とも。

ちなみに新聞「ニューヨークポスト」によるとジュフリーは回顧録を出版する契約を出版社と結んだという。社名は明かされていないが、本では王子については触れずエプスタインとの関係について綴るようだと同紙は報じている。王子の動きを含め、再びこの事件に注目が集まりそうだ。