「外耳炎」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

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外耳とは鼓膜より外側の耳の部分をいいます。この部分で炎症が起こる症状を外耳炎と呼んでいます。

外耳炎はさまざまな原因によって発症する病気で、発症の原因によって治療法も違うものになるでしょう。また外耳炎は日常的な行為のほんの些細な原因によって発症することもあります。

それだけに外耳炎は誰にでも発症の可能性がある、身近な病気といえるかもしれません。もし外耳炎になってしまったらどうしたらよいのか、外耳炎について考えてみましょう。

外耳炎

外耳炎とはどんな病気ですか?

外耳炎は鼓膜より外側の外耳道で炎症が起きている状態を指す病気です。主に耳掃除のしすぎによって炎症が起こることが多いのが外耳炎の特徴といえます。
鼓膜から外側という外耳部分で起こる症状なので、目視によって患部の確認ができます。一般的に耳の病気といえば中耳炎を連想する方が多いでしょうが、中耳炎は鼓膜より内側の炎症であり、主に子供がかかる病気です。大人の場合は外耳炎が耳の病気の代表ともいえるでしょう。

外耳炎ではどんな症状が出ますか?

外耳炎の初期症状としては耳の中のかゆみ・痛みが多いのですが、違和感を覚えることもあります。症状が進んでくるとかゆみよりも痛みがひどくなり、場合によっては耳だれ(水っぽいもの・血液が混じるもの・膿が混じるものなどの液体)が出てくることもあるでしょう。
さらに症状が進み悪化してしまうと炎症が鼓膜にまで及びます。また耳道が膿で詰まり、音や声の聞こえが悪くなってしまうこともあるでしょう。

外耳炎の原因はなんですか?

外耳炎の主な原因としてあげられるのが耳掃除のしすぎです。耳掃除のしすぎによる外耳炎では、耳かきの刺激によって外耳道内の皮膚が炎症を起こす場合があります。
また耳かきによって外耳道内の皮膚に傷がつき、そこから細菌が侵入して炎症を起こす場合もあるでしょう。細菌によっては炎症を起こすだけでなく真菌(カビ)が原因になって外耳道真菌炎になることもあります。
その他の原因については外耳道に入った異物・腫瘍によるものなどがあげられます。さらにはプールでの水泳により耳に水が入ることや、長時間イヤホンを使用した場合なども外耳炎の原因になることがあるでしょう。
なお外耳炎の症状の1つとされる耳だれには外耳道湿疹や中耳炎によるものもあるので、耳に異常を感じたときは耳鼻咽喉科での診察を受けるようにしてください。

外耳炎の検査・治療

外耳炎ではどんな検査を行いますか?

外耳炎の検査として主に行われるのは、各種の耳鏡や内視カメラによって外耳の中を確認することです。耳だれがある場合には耳だれの一部を採取し、細菌培養検査を行うこともあります。
外耳炎に限りませんが、聴力検査・ティンパノメトリ(外耳道内に耳栓を入れ、圧力をかけて鼓膜、中耳伝音系の可動性や硬さを診る)などの検査を行うこともあるでしょう。

外耳炎の治療方法を教えてください。

外耳炎での治療で初めに行うのは、吸引機などによる外耳道内の分泌物の除去です。分泌物が多量にあって外耳道を塞いでしまっていた場合、分泌物の除去により耳が聞こえにくい症状が改善される可能性があるでしょう。
外耳道から分泌物を除去した後は抗生剤・副腎皮質ステロイドを含む軟膏・点耳薬を用います。なお重症の場合には飲み薬として1週間分ほどの抗生剤を処方することもあります。
通常の外耳炎ならば、これらの治療法によって回復していくことでしょう。治療後に特に重要なことは約1~2週間の間、耳掃除を行わないことです。これが一番の治療方法といってよいかもしれません。

外耳炎はどれくらいで治りますか?

症状の様子や個人差があるので一概にはいえませんが、おおよその目安としては10日前後で治るでしょう。
通常では外耳道から分泌物を除去し、抗生剤や副腎皮質ステロイドを含む軟膏などを塗布すると自然に治癒していくことが多いです。ただし、真菌(カビ)によって炎症が起こる外耳道炎の1種、外耳道真菌炎ではその他の細菌による外耳道炎よりも治るまでに時間がかかることが多くなります。
しかも繰り返しがちなので慢性化することもあり、根気良く治療することが必要です。こういう場合では完治するまで数ヶ月かかってしまうこともあるでしょう。

外耳炎は自然治癒しますか

すべての外耳炎が自然治癒するわけではないのですが、症状が軽い場合においては自然治癒することもあります。
その際は耳掃除やプールなどでの水泳による入水、イヤホンの使用などを控えることが前提となります。ただし数日経っても症状が改善されない場合は、耳鼻咽喉科への受診をしてください。
なお外耳炎の症状が軽症だとしても糖尿病の合併がある場合は、重症化する場合があります。もし糖尿病を持っていて外耳炎にかかったと思われる場合は、自然治癒を望んでいても糖尿内科の受診で担当医と相談し、耳鼻咽喉科への受診も行ってください。

外耳炎の対処方法・予防方法

かゆみがひどい場合の対処方法を知りたいです。

かゆみがひどいからといって耳の中を耳かきで掻くようなことをすると、症状が悪化してしまう恐れがあるので絶対に行わないでください。
症状としてかゆみがひどい場合は外耳道真菌炎による可能性があります。外耳道真菌炎によってかゆみがひどいときにはステロイドの局所使用によって有効な場合があります。ただしこれには副作用が現れる場合があるので短期間の使用のみに限られるでしょう。
かゆみが強いときには抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤・抗不安剤などの内服薬が処方されます。外耳道真菌炎の治療では治癒までに時間がかかることがあるので、頻回の通院によって局所処置を施す場合があります。
かゆみがひどいときは市販薬を使用することも考えられるでしょうが、症状によっては悪化させてしまう可能性もあるので耳鼻咽喉科で診察を受けるようにしてください。

外耳炎の予防方法はありますか?

外耳炎の予防において一番重要なことは、耳掃除をやりすぎないようにすることです。市販されている竹製の耳かきなどによって何度も同じ部分を擦っていると、外耳道内の皮膚がけずれてしまい浸出液が滲み出てきます。これが細菌を繁殖しやすくしてしまう原因になっているのです。
細菌が繁殖すると耳のかゆみを感じるようになり、ますます耳かきによって外耳道内を擦ってしまうという悪循環に陥ってしまうでしょう。またごく稀にですが、耳掃除による慢性的な刺激が原因とみられる癌の報告もあります。
耳かきによる耳掃除は月に1回程度にとどめ、普段は入浴後に綿棒で耳の穴の入り口付近をぬぐう程度にしておきましょう。季節にもよりますが、水泳で耳に水が入った場合はそのままにしておかず、水を取って耳の中が濡れたままにしておかないことにも気を配ってください。
またイヤホンを使用するときにも注意が必要です。装着するとき耳に細かい傷をつける可能性があります。また長時間の使用によって外耳道内が高温多湿になり、細菌が増殖する環境を作ることになってしまいます。スマホなどでイヤホンを常用する方は、装着時と長時間の使用に気をつけましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

耳の病気の中で、最も一般的に大人がかかってしまう病気が外耳炎といえます。外耳炎になってしまう原因も普通に何気なく行っていたことによるものなので、誰にでもかかってしまう可能性があります。
その点では感染によって発症するわけではないのですが、流行性感冒のように普遍的な病気とみて取れるでしょう。もしかしたら自分自身で気づかないうちに外耳炎になり、自然治癒していた可能性もあります。
先にも述べたように軽い症状であれば自然治癒もありえる病気ですが、場合によっては悪化してすぐには治らないことになるかもしれません。また耳掃除については注意が必要です。頻繁に行うことは外耳炎の原因となるばかりか、まれにですが癌になってしまう可能性があります。
イヤホンも長時間での使用を控え、適度に耳から外しておくことも忘れないようにしましょう。どれも些細なことですが、少し注意をすることで外耳炎は予防できる病気なのです。

編集部まとめ


外耳炎は自覚症状としてかゆみや痛みがあります。原因によって耳の中に違和感などを覚えることもあるかもしれません。ただ症状を感じてもいつの間にか収まっていることがあります。

気をつけたいのは、かゆいからとつい耳をかいてしまうことやイヤホンを長時間使用していることが外耳炎を発症し悪化させてしまう原因になっていることです。

耳のかゆみやイヤホンの使用など気をつけることがない分、外耳炎になる可能性があることに注意しましょう。もし耳に違和感などを覚えたら迷わず耳鼻咽喉科で受診してください。

参考文献

耳の症状(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)

耳の病気(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)