【漫画付き】月経前症候群(PMS)を軽くするにはどうすればいいですか?
生理前に頭痛や眠気、精神的な不安定などを伴う「月経前症候群(PMS)」。浜松町大門レディースクリニックの池田先生によると、諸症状に加え、生理の量そのものも軽減できることがあるという。はたして、その方法とは。また、「月経前症候群」の原因は何にあるのだろう。
監修医師:
池田 貴子(浜松町大門レディースクリニック 院長)
東邦大学医学部卒業。東京医療センター外科系研修医、東京大学医学部産婦人科入局、複数の産科・婦人科クリニック院長などを経た2017年、東京都港区に「浜松町大門レディースクリニック」開院。その後の2018年、医療法人社団ウィンロイヤル会設立。女性特有の悩みを気軽に相談できるような環境整備に注力している。港区医師会、日本産科婦人科学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会の各会所属。
ほとんどの場合、投薬によって軽減できる
編集部
月経前症候群(PMS)とは何なのでしょうか?
池田先生
産科婦人科学会のガイドラインによると「月経前、3日から10日間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するもの」とされています。具体的な症状としては、イライラ、倦怠感、眠気、集中力の低下、むくみなどで、精神的な症状が強い場合「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断されることもあります。
編集部
生理が精神的な症状も引き起こすのですか?
池田先生
生理そのものというよりも、環境要因によるストレスが強く関係しています。例えば、仕事上や家庭上のお悩みなどですね。一般的な流れとしては、そうした環境が変わるまで「お薬でなんとかしましょう」とアドバイスしています。
編集部
環境を変えるというのは難しそうですね。
池田先生
とくに女性の場合は、結婚・出産といった大きな変動要因が控えていますからね。大切なのは、節目となる「ゴール」を想定しておくこと。「ここまでお薬を使っておけば、何かが変わるはずだよね」と。それに対して、患者さんが「そうだよね」と納得していただけたら、投薬を開始します。
編集部
月経前症候群はお薬で治せるのでしょうか?
池田先生
お薬によって症状を軽減できます。とくに低用量ピルなどのホルモン剤が有効で、諸症状の緩和はもちろんのこと、生理の量そのものが減ったり、全くなくなったりする方もいらっしゃいます。
編集部
漢方薬も有効だと聞いたことがあります。
池田先生
はい。良く聞かれるのは漢方薬が効くかどうかということです。抑肝散(よくかんさん)という漢方薬は比較的PMS症状の一つのイライラに効果的です。しかし、即効性のあるホルモン剤と比べると、効果が弱いかもしれません。
変化の多い春は、月経前症候群がピークに
編集部
どれくらいの人が月経前症候群に悩んでいるのでしょう?
池田先生
生理痛まで含めると、7・8割の方が悩んでいてもおかしくありません。実際に来院する方の傾向としては、4月から5月にかけて増加します。ほかの時期と比べ、ほぼ倍といったところです。人事や所属先、お子さんの環境などが大きく動く時期なのでしょう。
編集部
月経前症候群ではないと診断されるケースもあるのですか?
池田先生
考えられるとしたら、子宮内膜が子宮以外の組織に生育する内膜症でしょうか。この場合も、ホルモン剤が有効です。また、投薬中の患者さんには、がんの可能性も考え、年に1回の頻度でエコー検査や血液検査などをおこなっています。しかし、そこまでの事態になった方はいらっしゃいません。
生理に伴う症状なら、婦人科の受診を推奨
編集部
外部環境が生理に関係してくるのですね?
池田先生
正確に言うなら生理ではなく、「生理とそれにまつわる諸症状」でしょうか。例えば、周りから「仕事が遅い・ミスが多い」と言われたり、家事・子育てが思うようにできなかったりすると、そのストレスが身体的症状となって現れるのです。
編集部
精神科や心療内科の領域という気もしますが?
池田先生
生理が絡んでいるのなら、受診先としては婦人科でいいと思います。心療内科で心配なのは、精神が落ち着くお薬を処方されることです。こうしたお薬は、「眠さ」や「けん怠感」を増幅しかねません。加えて、休職を勧める「診断書」などが出されると、かえってややこしくなりそうですよね。
編集部
婦人科の受診が、好循環を生む第一歩であると。
池田先生
私はそう考えていますし、実績の積み重ねもあります。効果の有無はご自身で実感できるものですから、ぜひ、相談していただきたいですね。
編集部まとめ
月経前症候群は外部要因によるということ。そして、お薬による軽減が可能であること。この2点をしっかり押さえておきましょう。周りからの影響を受けやすい人で心当たりのある方は、月経前症候群かもしれません。婦人科を受診してみてください。