「HIV・エイズ」に感染すると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

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HIV・エイズはどのような経路で感染するのかを知っていますか?この記事ではHIV・エイズの感染による症状リスクを紹介しています。

HIV・エイズに感染した場合の治療方法予防方法も併せて紹介しているため、自身の身を守るための知識を深めることが可能です。

感染したときのリスクや予防策を知りたい人はチェックしてみてください。

HIV・エイズの感染経路・症状

HIV・エイズとはどんな病気ですか?

HIVはヒト免疫不全ウイルスと呼ばれるウイルスの一種で、エイズはHIVに感染した後の体が弱ったときにかかる病気のことをいいます。
エイズの別名は「後天性免疫不全症候群」もしくは「AIDS」です。HIVは主に体内に存在する白血球に感染します。
HIVに感染した後はゆっくりと体内の免疫力が弱くなっていき、気づいた頃には外部からのウイルスをバリアできるような十分な力が残っていません。
またゆっくりと進行が進むため、感染している人もかかっていることに気づかない場合もあります。そのため知らない間に誰かに移してしまっていることもある病気です。

日本ではどれくらいの患者がいますか?

日本には約数万人にも及ぶほどの患者がいます。日本での感染者は一時的に減少傾向にありました。
しかし再び徐々に増加傾向にあり、これからも感染者は増えていくでしょう。日本では数万人もの多くの人がHIV・エイズと闘っていて、他人事とはいえない身近に潜む病気ともいえます。
世界中の単位で考えるとさらに何倍にも及ぶたくさんの人々が闘っている病気です。

HIVの主な感染経路を教えてください。

主な感染経路は、特定・非特定の相手との性行為血液の接触による感染・母子の繋がりによる感染です。その中でも特に多いのが性行為による感染で、粘膜・傷口を通して相手に侵入し感染します。
例えば相手または自分の精液・膣分泌液など、特定の液体がHIVを含んでいた場合は要注意です。相手が同性であっても異性であっても感染する可能性があり、粘膜や傷口を通した時点で感染します。
また血液の感染は、主に注射器の使いまわし・輸血が原因です。例えば覚せい剤の打ちまわしであっても感染の原因になります。注射を打つことに対して不安を持たれる方もいるかとは思いますが、日本の医療機関では輸血時のHIV等の感染症スクリーニングがされており、感染の危険性が極めて低いです。
また医療機関では全て使い捨てで使用されています。針刺し事故においても使用した針は直ちに捨てることや、針捨て専用の容器に入れるなどの予防対策が取られているため心配ありません。
母子の繋がりによる感染ではお母さんが感染している場合に、出産・子供に与える母乳を通して感染します。妊娠時に検査を行うことで感染していたとしても、子供に移さないように予防することも可能です。
念の為に検査を行うことは自身の子供を傷つけないためにも大事です。ただし感染に繋がる例外としては性行為・血液の接触がなく、肌と肌とのふれあい・飲みまわしなどは感染には繋がりません。
また生活する上で感染に繋がるケースは少なく、人との接触を過度に心配する必要はないでしょう。

HIVに感染するとどんな症状があらわれますか?

感染後はすぐに症状が出るわけではなく、数週間にかけて徐々に症状が現れてきます。熱が上がったり頭が痛くなったりなど、一時的な症状に見舞われ、イメージでいうと風邪やインフルエンザのような症状を想像すると分かりやすいでしょう。
発症後は自然に回復し、特に気になるような症状がなくなります。そして一定期間は体の異変を感じません。
しかし約数年後に再び発熱・体のだるさ・帯状疱疹など、普段とは違う体の異変を感じるようになります。異常を感じた後は、外からの刺激に対抗するための力がダメージを受けている状態です。
そのため感染力の弱いウイルスにでも感染してしまいます。

HIV・エイズによる合併症

HIVを放置するとどうなりますか?

HIVを放置すると、大事なパートナー周囲の人に感染させてしまう可能性があります。
HIVは感染者から別の人へ感染し、新たにまた別の人へ感染と、感染の連鎖が途絶えないウイルスです。HIVは感染していても自覚症状がない場合が多く、検査をしないと気づかない場合もあります。
周囲の人に感染させないようにするためにも、放置しないようにしましょう。

HIVで起こりやすい合併症はなんですか?

HIVに感染しエイズを発症すると、日和見感染症を発症しやすくなります。この日和見感染症には、外部のウイルスをブロックする免疫機能が正常であれば感染しません。
しかしエイズを発症すると免疫力が格段に落ちているため、ブロック能力が上手く働かず感染します。
日和見感染症の代表的な種類としては、全身に異常を与える敗血症や肺炎です。

HIVの余命はどれくらいですか?

進行状況によって変わってきますが、HIVに感染しても余命を宣告されないケースもあります。適切な治療をしていると、HIVに感染していたとしても寿命に影響を及ぼす可能性は低いからです。
そのため少しでも早く治療に取り掛かれるように、異変を感じたらすぐに病院へ行くようにしましょう。

HIV・エイズの診断・治療方法・予防方法

HIV・エイズの診断方法を教えてください。

HIV・エイズ感染の診断については2段階検査が行われ、はじめにスクリーニング検査、次にWB法・RT-PCR法等の確認検査が行われます。このスクリーニング検査はHIVの中で2つに分類される抗原の両方を調べることが可能です。
しかしスクリーニング検査で陽性が出たからといって、必ずHIVに感染しているとは言い切れません。
スクリーニング検査の欠点としては、偽陽性の結果が現れる点です。感染していない場合でも陽性反応が出てしまう場合もあるため、最終確認として、2段階目のWB法・RT-PCR法での確認検査が行われます。
WB法はウイルスのたんぱくに対する抗体を調べる検査で、RT-PCR法はHIVの遺伝子を検査する方法です。検出にかかる期間はWB法よりもRT-PCR法の方が短期間で終了します。
最終決定が陰性に変わることもあれば、そのまま陽性反応が出る場合もあり、正確な検査結果を出すためにも2段階検査が必要なのです。

病院で検査を受けるのが恥ずかしい場合はどうしたらいいですか?

HIVの検査を受ける方は、恥ずかしさのあまりになかなか一歩が踏み出せない人もいるでしょう。しかし検査を受けることでもしも自身が感染していた場合、HIVの早期発見に繋がり、速やかに治療を施すことができます。
パートナーがいる場合であれば、検査をしないでいると相手も傷つけてしまう可能性もあるでしょう。仮に特定のパートナーがいない人でも、感染の連鎖を断ち切るためには欠かせない大事な検査です。

HIVと診断されたらどのような治療を行いますか?

3剤を併用した治療や1日1回で済む合剤を使った治療を施します。
HIVに感染してしまうと体内から完全に取り除くことはできません。日和見感染症の症状発生の有無で異なる場合もありますが、ウイルスを消すのではなく、進行を防ぐことを目的に治療が施されます。医師と相談のもと、治療を行いましょう。

HIVを予防するにはどうしたらいいですか?

まず性行為をしないことが最善にはなりますが、不特定多数と関係を持たないことコンドームの着用によって予防することもできます。また感染は粘膜を通してかかるため、なるべく粘膜に接触させないようにすることも効果的です。
もしも性行為をする場合は正しい使い方でコンドームを使い感染を防ぐようにしましょう。仮に女性側が男性側からコンドームの使用を断られた場合は、自身の身を守るためにも断る勇気が必要です。
男性側も自身やパートナーを守るためにもコンドームを装着するようにしましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

HIV・エイズは治療法があり、感染者は年々減少傾向にあります。しかし知らないうちに感染して、自身が知らぬ間に誰かに感染させてしまう可能性もあるため、予防対策をとることが重要です。
またHIV検査を行うことも早期発見・治療に繋がり、もしも感染していた場合でも適切な治療を施すことで、事態悪化を防ぐことができます。
自身や相手を守るためにも定期的な検査を検討してみてください。

編集部まとめ


感染症は放置すると病状が悪化する可能性があります。しかし適切な対処や予防をすることで、感染を防ぐことや進行させないようにすることも可能です。

検査は勇気のいる行動ですが、今後の生活へ影響させないためにも必要な行動になります。

参考文献

AIDS(後天性免疫不全症候群)とは(NIID 国立感染症研究所)

HIV/AIDS 2020年(NIID 国立感染症研究所)