假屋崎省吾さん(撮影/佐藤靖彦)

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「旧岩崎邸に令和の“花咲かじじい”がやってきましたよ〜(笑)。本当にすてきなところですよね。歴史的な建築物にお花をいけるのは、私のライフワークです」(假屋崎省吾さん、以下同)

【写真】假屋崎省吾先生の作品、歴史的な建築物と見事なコラボレーション

 今年で華道歴40年を迎えた假屋崎省吾さんと、近代日本の名建築住宅でもある重要文化財・旧岩崎邸庭園が夢のコラボレーション! 冒頭は、イベントへの意気込みだ。

 最近テレビへの露出を控えめにしているのは、こうした本業である文化活動や華道教室に集中しているからだとか。

 そんな美と幸せを振りまく華道家・假屋崎省吾さんに、現在のお仕事ぶりからパートナーとのプライベートライフまで、たっぷりお話を聞いた。

鎌倉の土地と邸宅購入を即決

 假屋崎さんといえば、東京・表参道に建てた17億円豪邸の欠陥住宅騒動も記憶に新しい。予定工期を2年以上超過しつつも完成したその家は、地下二階・地上三階で、コンサートを開ける小さなホールもあったという、テレビに何度も登場したザ・豪邸。しかし、今年8月にその豪邸をついに売却したという。

「本当にこだわり抜いた家で、美輪明宏さんもよくいらしてくれてたんですけれど、いろいろトラブルもありました。今は手放せて、せいせいしてます!」

 売却のきっかけは、約2年前、鎌倉に素晴らしい物件が見つかり購入したこと。

「あまりにもそこの環境がいいので、本拠地にしようと思ったんです。1300坪以上の土地に、『ハリー・ポッター』みたいな世界観の家があって、すごく静かで自然に囲まれているんです。敷地内には、谷川も流れてて、ずっとずっと登っていくとみのもんたさんのお宅もあります(笑)。表参道の家は、最初は緑に囲まれていたんですけど、周りの木がどんどん切られてビルや建物が建ち、環境が変わってきたこともあり、便利ではありましたが、売ることを決意しました」

 鎌倉のほか、高級別荘地として知られる旧軽井沢にも1300坪以上の土地・邸宅が。加えて朝一番の移動があるときなどに利用する東京の別宅、そして銀座に移転した教室と、現在4拠点生活をしているという。そんな鎌倉をはじめ、家との出会いはほぼ“即決”で、極上の土地に移り住んできた。

「表参道も軽井沢も、こういう土地が出たから、と聞いて行って即決。鎌倉も、YouTubeを見ていたら出てきて、すてきなところだね〜って思ってたら、その1週間後に住宅情報サイトに物件がポンと出てきたんです。すぐに不動産会社に連絡して、3日後スケジュールが空いてたので現地視察に行って即決。全部即決人生です。駄目なものの判断、諦めるのも早いですし、くよくよしないんです。ぐちぐち言っても無駄。スパッと気持ちを切り替えないと。それで63歳まで生き延びてこられたと思ってます」

 決断力もさることながら、“稼いだ分はため込まずに使う”が假屋崎流。現在は鎌倉の土地を、目下“假屋崎邸庭園”にすべく大改造中なのだそう。

「鎌倉の庭の改修工事も、島根の日本庭園・由志園の庭師さんにいらしていただき、何百トンの石を運び、樹木を植え、四季折々の花が楽しめる庭園にするつもりなので、マンションがいくつも買えちゃうくらいお金をつぎ込んでおります。なのでお金は使わなきゃダメ! 使わないと入ってこないんです。ケチってたらケチケチ人生しか残ってないんです。人間の身体もそうでしょう。ため込んじゃうと具合悪くなるんです。便秘状態ですよ。だからそうならないように自分は実践しているつもりなんです。ちゃんと税金も払ってね(笑)」

家族3人と犬5匹、とっても幸せ

 現在の假屋崎さんは、新たな本邸となった鎌倉で17歳年下のパートナーと、1人の同居人、そして犬たちと「3人と5匹暮らし」をしている。以前週刊女性に「ネコ好き有名人」として登場したこともある假屋崎さんだが、現在はすっかりワンちゃんたちを溺愛中だとか。

「ずっと猫派だったのですが、犬も大好きになりました!(笑)。犬は愛情を注げば注いだだけ返ってくる。家に帰ると大はしゃぎで私を迎えてくれます(うっとり)」

 ブログにもよく登場するかわいい子たちは、小型犬が3匹、大型犬が2匹。

「小型犬は、安藤優子さんが飼ってらっしゃるワンちゃんと姉妹になるフレンチブルドッグが1匹、姉妹は最近6年ぶりの再会を果たしました。それとチワワが1匹、そして保護犬だったミックスの子が1匹います。大型犬はスパニッシュ・マスティフ1匹とレオンベルガーが1匹。散歩も3回に分けて行かないといけないので大変! でも本当にかわいいです」

 では、人間のご家族のほうは?

「もうパートナーとは20年近くになりますね。いるだけで支えになってくれる存在です。同居人も、家のことをいろいろしてくれる大切な存在。

 世の中には男女、男男、女女といろんな幸せのかたちがありますでしょ。また、なかなか相手に出会えないって人もいるでしょう。一生をひとり暮らしでもその人なりに人生を謳歌すればいいと思います。うちはもう本当にありがたいことに家族に囲まれ、犬に囲まれ、幸せに暮らしています」

 そんな家族を支えていくには身体が資本。健康管理には気を使い、口にするものは基本的に自炊したものだという。

「私、糖尿病なので、市販のものが悪いというわけではないけど、なるだけ自分で作って食べるようにしているんです。材料も吟味して、おだしもちゃんと取って。有機野菜はやっぱり高いけど、身体のことを考えるとそっちのほうがいいんです。食材をいただくために、ふるさと納税も本当によく使ってますよ。ワンちゃんのペットシーツを手に入れるのにも使いますけど」

 現在は幸せいっぱいの假屋崎さん。2023年の2月には新しい地元・鎌倉の名所である鶴岡八幡宮での個展も予定されている。

「今、この値上げ値上げの世の中、気概のある政治家も少なくなり、世界情勢も混沌とし、殺伐としている雰囲気、人の心が荒んできていると思います。ぜひ美しいものを見に足を運んで、少しでも優しい気持ちになっていただければと思います」

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)の人気で注目が集まっている鎌倉の歴史的建築物と、假屋崎さんの作品のコラボが、今から楽しみだ。

「旧岩崎邸庭園で堪能する『美』」 〜12月4日(日)9:00〜17:00(最終入場16:30)重要文化財 旧岩崎邸庭園 館内 問い合わせ:旧岩崎邸庭園サービスセンターTEL03-3823-8340

かりやざき・しょうご 1958年東京都生まれ、華道家。東京・銀座 假屋崎省吾 花教室主宰。繊細かつ大胆な作風と独特の色彩感覚を持ち、美輪明宏氏より「美をつむぎ出す手を持つ人」と称される。世界各地で日本伝統文化の「華道」を広める活動にも精励している。

(取材・文/高松孟晋)