元NMB48の太田夢莉がトランスジェンダーの葛藤を熱演、藤山寛美が何度も演じた『大人の童話』の現代版『大阪環状線 天満駅編』開幕
舞台『大阪環状線 天満駅編 うちの家族は日本一やねん!』が11月28日(月)に、大阪松竹座にてが初日を迎えた。
左より月亭八光、佐藤江梨子
同シリーズは、関西テレビにて放送されたオムニバスドラマ『大阪環状線』の世界観をそのままに舞台化した作品で、2019年より大阪松竹座にて『大阪環状線 天王寺駅編』、『大阪環状線 大正駅編』を上演してきた。これまでの2作はオリジナルストーリーでの上演だったが、本年は約500作の脚本を残し、藤山寛美らと共に名作を世に送り出した舘 直志(二代目 渋谷天外)が書き上げた松竹新喜劇の名作『大人の童話』から着想を得て、新たな『大阪環状線』を作り上げる。
左より月亭八光、赤在沙優、コング桑田、佐藤江梨子
ギャルみこし
原作の『大人の童話』は、主人公の田中福造が愛するわが子が実は自分の子ではなかったと知る悲喜こもごも涙と笑いの物語。昭和24年に初演され、30年代後半から50年代には藤山寛美が何度も演じ、練り上げた。今回は時代設定を現代に書きかえ、子供は息子から娘にするなど設定を変えている。そして二幕目は、子供の出生を知った家族の14年後を描くオリジナルストーリー。天満らしい設定も随所に散りばめられ、舞台セットには天神橋筋商店街を模したアーチや飾り、関西テレビや扇町公園、そしてセリフにも大阪市北区役所や大阪天満宮などが登場し、ギャルみこしが舞台を練り歩き盛り上げる。
左より太田夢莉、佐藤江梨子、月亭八光
左よりコング桑田、太田夢莉、加藤虎ノ介
主演は大阪松竹座3回目の出演となる佐藤江梨子。福造の妻・田中島子を演じ、久しぶりの大阪弁に挑戦した。島子の夫・田中福造を勤めるのはバラエティ番組や落語家として活躍する月亭八光。愛娘の出生の真実を知り、娘に「もう一緒にいられへん」と涙ながらに告げる苦悩する父親を初芝居とは思えぬ演技で涙を誘った。島子の父はコング桑田がつとめ、一幕目と二幕目の月日の流れを芝居で魅せ、抜群の存在感を発揮。近所でイタリア料理屋を営む岩井家は、夫の徳一を加藤虎ノ介、妻のあかりを瀬戸カトリーヌが演じ、おしゃべり好きで世話好きでパワフルな大阪人らしさ全開の夫婦を好演した。そして元NMB48の太田夢莉は、二幕目から田中島子の娘として登場し、トランスジェンダーの悩みや葛藤を表現する難しい役どころで魅せた。様々な悩みに向き合う家族の愛の物語。最後は和やかな雰囲気の中、初日の幕が下った。
左より月亭八光、加藤虎ノ介、瀬戸カトリーヌ
左より曽我廼家一蝶、加藤虎ノ介、瀬戸カトリーヌ、佐藤江梨子、コング桑田
『大阪環状線 天満駅編 うちの家族は日本一やねん!』は12月12日(月)まで上演。チケットはイープラスほかで販売中。