中国は2022年11月12日、無人補給船「天舟5号」の打ち上げに成功しました。天舟5号は、中国が独自建設した中国宇宙ステーション(CSS)「天宮」に向けて、生活に必要な物資や燃料を輸送しました。


【▲ 文昌衛星発射センターから打ち上げられる「長征7」ロケット(Credit: CASC)】


天舟5号は、北京時間2022年11月12日10時3分、中国南部の文昌衛星発射センターから「長征7号」ロケットで打ち上げられました。打ち上げ10分後、天舟5号はロケットから分離して予定の軌道へ投入され、ソーラーパネルの展開にも成功しました。中国航天科技集団有限公司(CASC)によると、打ち上げは成功したということです。


その後、天舟5号は同日12時10分に中国宇宙ステーションのコアモジュール「天和」への自動ドッキングに成功しました。CASCによると、打ち上げから約2時間(127分)という超短時間でドッキングすることに成功したということです。また今回は、中国にとって初めて宇宙ステーションに飛行士が滞在している状態で補給船のドッキングが行われました。自動ドッキングが失敗した場合に備えて、手動で制御するランデブーのバックアップシステムを備えており、ランデブーの信頼性を向上したということです。


【▲ 打ち上げに向けて準備が進められる「天舟5号」(Credit: CASC/CAST)】


天舟5号は、CASCの傘下である中国空間技術研究院(CAST)によって開発されました。今回のミッションでは、5トンの物資と1.4トンの燃料を宇宙ステーションへ輸送しました。物資には半年間の長期滞在に必要な生活物資などの消耗品や実験装置などが含まれています。中国は2022年後半に有人宇宙ミッション「神舟15号」の打ち上げを予定しており、宇宙飛行士は中国宇宙ステーションで半年間の宇宙滞在を実施するということです。また、神舟15号の飛行士は、宇宙ステーション内で現在滞在中の「神舟14号」の飛行士と軌道上で一緒に滞在し、運用の引き継ぎを行います。


【▲ 組み立て作業中の「天舟5号」(Credit: CASC/CAST)】


天舟5号には、物資の他にも「マカオ学生科学普及衛星」や宇宙用水素・酸素燃料電池システム、広帯域高エネルギー粒子検出装置などが搭載されています。CASTによると、天舟5号は宇宙ステーションに係留中、ステーションの姿勢および軌道制御や電力供給などの運営支援任務を実施するということです。


長征7号は、中国運載火箭研究所(CALT)が開発した全長53m、重量600t、輸送能力14tのロケットです。長征ロケットシリーズとしては449回目の打ち上げでした。


【▲ 打ち上げに使われた「長征7」(Credit: CASC/CAST)】


なお中国は、2022年10月31日に中国宇宙ステーションの実験モジュール「夢天」を打ち上げました。夢天は2022年11月1日に天和コアモジュールへのドッキングを実施。同月3日にはドッキングポートの移設を行い、中国宇宙ステーションの主な組み立ては完了しました。今後は、中国の宇宙飛行士が定期的に長期滞在を行い、実験等を行なっていくと考えられます。


 


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Image Credit: CASC, CASTCASC - 长征七号运载火箭成功发射天舟五号货运飞船CASC - China launches cargo craft Tianzhou-5 for space station suppliesCASC - Tianzhou-5 docks with space station combinationSAST -  V!5!天舟五号货运飞船发射成功!创世界最快交会对接纪录

文/sorae編集部