DeNA・倉本寿彦(左)と三上朋也【写真:小林靖、町田利衣】

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山崎メジャー移籍の可能性も抑え候補は豊富…補強ポイントは先発投手か

 昨季最下位から今季2位に躍進したDeNA。戦力は充実しつつあり、来季は1998年以来25年ぶりのリーグ優勝を狙う。その陰で今オフ、実績のある三上朋也投手、倉本寿彦内野手、宮本秀明外野手、高城俊人捕手、昨季途中に現ロッテ・国吉とのトレードで加入した有吉優樹投手が戦力外通告を受けた。

 その他、左の代打として活躍したこともある山下幸輝内野手、故障がちとはいえ、まだ3年目・21歳の浅田将汰投手も戦力外に。2人は現役引退を表明した。

「この世界、チャンスは必ずしも平等に与えられるとは限らない。しかし、チャンスが巡ってきた時に確実に結果を残さなければ生き残れない」。就任2年目三浦大輔監督は、今季中に何度かそう吐露した。時には心を鬼にしなければならない指揮官の心苦しさがうかがえたが、オフに入ってからは、その言葉を証明するような厳しい通告が続いた。

 特に倉本は地元の横浜高から創価大、日本新薬を経て、2014年ドラフト3位で入団。2016年には遊撃のレギュラーを獲得して打率.294をマークし、翌2017年には全143試合フルイニング出場を果たした。しかし、2018年に阪神からFA移籍してきた大和内野手に遊撃レギュラーの座を明け渡し、2019年ドラフト1位でやはり遊撃手の森敬斗内野手が入団。倉本は内野の全ポジションをこなすユーティリティプレーヤーとなっていった。

 現状のDeNA内野陣は、一塁をネフタリ・ソト内野手(もしくは佐野恵太外野手)、二塁を牧秀悟内野手、三塁を宮崎敏郎内野手が固め、遊撃は成長著しい20歳の森と守備の名手の大和の争い。控えも堅守の柴田竜拓内野手に加え、若い知野直人内野手らが台頭しており、倉本の存在感は薄れてしまったと言える。

26歳の宮本さんは使い勝手の良さも…人材豊富な外野陣

 外野手の宮本も、左の代打、代走、守備固めと使い勝手のいい選手で、今季6試合のスタメン出場もあった。年齢もまだ26歳。しかし、DeNAの外野陣は佐野、桑原将志外野手、タイラー・オースティン外野手、大田泰示外野手、楠本泰史外野手、関根大気外野手ら、もともと人材豊富な上、今季は蝦名達夫外野手も台頭して40試合にスタメン出場。そのあおりを食った格好だ。

 捕手は今季、嶺井博希捕手、戸柱恭孝捕手、伊藤光捕手、山本祐大捕手の4人が、先発投手との相性などによってスタメンマスクを分け合った。通算347試合出場の実績がある高城は1軍出場がなく、戦力外通告に至った。嶺井は今季中に国内FA権を取得したが、その去就に関わらず、よほどの補強がない限り、来季も複数の捕手の併用は続きそうだ。大阪桐蔭高の松尾汐恩捕手をドラフト1位指名したのは、すぐにとはいかなくとも、絶対的な正捕手を育てていこうという球団側の意思表示だろう。

 投手陣では、守護神の山崎康晃投手のポスティングシステムによるメジャー移籍が取り沙汰されている。残留が理想的だが、仮に流出した場合も、今季リーグ最多の71試合に登板し、防御率1.72をマークした伊勢大夢投手、来季プロ3年目を迎える入江大生投手、最速156キロを誇るブルックス・クリスキー投手ら、クローザー候補は数多い。あとは、ドラフト2位で指名した即戦力右腕のトヨタ自動車・吉野光樹投手に加え、先発候補をあと何人か補強したいところだろう。今オフの補強ぶりで、来季優勝への本気度が測れるかもしれない。(Full-Count編集部)