「#接客業であったすごい客」

2022年10月、そんなハッシュタグが付けられた呟きが、ツイッター上に相次いで投稿された。タグを頼りに投稿を見ていくと、「すごく無礼な客がいた」「たまたま接客した相手が有名人だった」といったエピソードが集まっている。

そんな中、Jタウンネット記者の目に留まったのは、ある販売員の体験をもとにしたこんな漫画だ。

作者は関東在住のツイッターユーザー・タジマオオカ(@pu92yu)さん。2022年10月3日、実体験をもとにしたその作品を投稿した。

漫画は、販売員として接客をするタジマオオカさんが、客の一人に「態度が悪い」「値引きしろ」とネチネチとクレームをつけられている所から始まる。すると、そんなタジマさんに「ちょっと店員さん!」と声を掛ける女性が。

「いつまでかかってるの?5個包んでほしいのよ」
「急いでるんだけど?」

クレームの対応のため作業が滞ってしまっていたタジマオオカさんに、そんな厳しい言葉を投げかける女性客。Jタウンネット記者が8日、当時の心境を聞いてみると

「声をかけられた時はハッとしました。絡んできている方に意識が集中してしまい周りが見えていない状態で、『他にもお客様がいらっしゃる、対応しなければ』と瞬間的に思いました」

と振り返った。

まさに「泣きっ面に蜂」な状況......と、思いきや。

「ああいうの大嫌いなの」

「お宅様が先よね」
「おいくつ注文でいらっしゃるの」

女性客は、今度はクレームを言っていた客に向けてそう尋ねる。途端に、クレーム客はそそくさと無言でその場を立ち去ってしまった。

そして、残された女性客はタジマオオカさんにこう告げる。

「ああいうの大嫌いなの」
「ゆっくり包んでくれていいから」

そう。女性客はタジマオオカさんに文句を言っているように見せかけて、遠回しにクレーム客を追い払ってくれたのだ!

一転して穏やかな雰囲気になった女性客の優しい言葉に、タジマさんも「お、お客様〜」と感動した様子だ。

「この#があるうちに残したい。販売員人生で一度めちゃくちゃ素敵なお客様に助けられた。また会いたい。#接客業であったすごい客」(タジマさんのツイートより)

タジマオオカさんの作品には、ツイッター上でこんな声が寄せられている。

「かっこいい姿見せられるとカッコ悪いことしてる事が無性に恥ずかしくなりますからね、この戦い方は見習いたい」
「こういうふうに人をスッと助けられる人になりたい」
「理不尽なクレームで拘束されている時、他のお客様の対応が後回しになってしまって二重で責められることも多い中、こういったお客様は本当に神様としか思えないです」

クレーム客に絡まれていたタジマさんを、機転を利かせて颯爽と助けてくれた女性。まさに「接客業であったすごい客」だ。