京王線 明大前駅「2面4線高架化」で消えそうな3つの「クセの強い風景」″あるあるネタ″にも変化?
京王線の笹塚〜仙川間で進められている高架化事業。途中駅の構造も一部変更され、鉄道風景が大きく変化しそうです。その中には、京王線ならではと言える風景もあります。
"過密路線"が高架化で変化へ
京王線の笹塚〜仙川間約7.2kmで、連続立体交差事業が進められています。現場では用地取得と同時進行で工事が進められ、いよいよ様変わりの時を迎えつつあります。
その中で、大きく構造が変わる駅のひとつが明大前駅です。井の頭線と接続し、全ての列車が停車する主要駅で、ホーム2本・線路2本のシンプルな構造である明大前駅は、高架化するとともに「ホーム2本・線路4本」、つまり列車の退避が可能な構造に生まれ変わる予定です。
線路2本だけでラッシュをさばく京王線の明大前駅(乗りものニュース編集部撮影)。
これにより、見納めとなりそうな“独特の風景”がいくつかあります。もちろん一番の目的である「開かずの踏切」は解消され、駅前の生活道路に延々と続く車列も、駅前まちづくりとともに見納めとなりそうです。
【1】上がって下がって……迷宮のような井の頭線乗り換え
明大前駅は京王線と井の頭線が十字にクロスする立体交差駅。しかし乗り換えは脳内でイメージするより難解です。地形の関係で「京王線は2階、跨線橋は1.5階、改札口は1階、井の頭線は地下1階」のような位置にあるため、たとえば京王→井の頭線と乗り換える場合、場所によってはただ「階段を下りる」ではなく「階段を下りて、上って、まだ下りる」という移動を強いられます。
高架化によりこの構造が見直され、3階の京王線ホームのあいだに2階コンコースが挟まれることで、動線がシンプルになることが予想されます。ただ、3階〜地下1階という上下移動が新たに負担となるため、具体的な駅舎設計の課題となってきそうです。
猛烈ラッシュを切り抜ける"神ダイヤ"
【2】「電車が渋滞発生中」な風景も消える?
朝夕のラッシュ時でよく見られる光景で、電車が明大前駅に停車しているあいだ、次の電車がすぐ後ろまで迫っている状態です。後ろの電車はジリジリと少しずつ接近することも。電車が発車して駅構内が開放されると、すぐさま後続の電車がホームへ滑り込みます。
しかし明大前駅が「2面4線」構造になると、後ろの電車は、前の電車が発車する前に向かい側の開いているホームに入線することが可能になります。これにより“待ち時間”だった時間分だけ余裕ができ、客の乗り降りが多少長引いても後ろの列車へ遅れが波及しにくくなるメリットもあります。
同様の対応は、都内有数の過密路線であるJR中央線快速で行われてきました。新宿駅や中野駅、三鷹駅、国分寺駅の快速線は1方向に2つののりばが用意されており、ラッシュ時は後続の列車を迎え入れることが可能になっています。
【3】「長時間停車で3本連続待避」の風景
ラッシュ時を中心に、いくつかの駅で各駅停車が「優等列車3本に連続で抜かれていく」という場合があります。
八幡山駅での通過待ちの風景(乗りものニュース編集部撮影)。
例えば8時55分に明大前を発車した各停・高尾山口行きは、まず桜上水駅に5分停車し、後続の急行と特急に抜かれ、次に八幡山駅では6分停車して区間急行・急行・特急に抜かれ、さらにつつじが丘駅でも6分停車で区間急行・急行・特急に抜かれ、明大前〜調布間を38分もかけてのんびり移動します。このような「抜かれまくり電車」は、京王では枚挙にいとまがありません。
このような光景は、待避可能駅が限られているために起こります。特急が停車する明大前駅、千歳烏山駅は待避できない2面2線でしたが、両駅とも高架化に合わせて2面4線の待避可能な駅に生まれ変わります。これにより長時間待避を無くし、より多くの駅でこまめに待避が行えるダイヤが可能となります。また、「通過待ち」ではなく「乗り換え」ができる、どこで緩急接続するのか分かりやすいダイヤにもなります。