天の川銀河のご近所さん。300万光年先の渦巻銀河「さんかく座銀河」
【▲ 渦巻銀河「さんかく座銀河(M33)」(Credit: KPNO/NOIRLab/NSF/AURA;Image processing: M. Zamani (NSF’s NOIRLab), A. Hussein (NSF’s NOIRLab) & D. de Martin (NSF’s NOIRLab))】
こちらは「さんかく座」の方向約300万光年先にある渦巻銀河「さんかく座銀河(Triangulum Galaxy)」の姿。18世紀にフランスの天文学者シャルル・メシエがまとめた「メシエカタログ」には「M33(Messier 33)」として登録されています。
さんかく座銀河は、私たちが住む天の川銀河や「アンドロメダ銀河(M31)」と同じ「局所銀河群」に属しています。その直径は約6万光年とされており、アンドロメダ銀河(直径約20万光年)や天の川銀河(直径約10万光年)に次いで、局所銀河群で3番目に大きな銀河として知られています。
画像を公開した米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、さんかく座銀河とアンドロメダ銀河は星やガスの流れで結びついていて、過去に重力を介して相互作用したとみられています。両銀河は今から25億年以内に衝突し、やがて合体して1つのレンズ状銀河になる可能性があるようです。
なお、天の川銀河も今から40億年以上後にアンドロメダ銀河と衝突し、やがて合体して「ミルコメダ(Milkomeda※)」と呼ばれる1つの銀河が誕生すると予想されています。銀河の衝突・合体は数億年以上のタイムスケールで進行すると考えられていますから、天の川銀河とアンドロメダ銀河が繰り広げる相互作用に、さんかく座銀河も3つ目の銀河として関わることになるのかもしれません。
※…天の川(Milky Way)とアンドロメダ(Andromeda)の混成語
冒頭の画像はアメリカのキットピーク国立天文台にある口径4mのメイヨール望遠鏡によって撮影されたもので、NOIRLabから2022年8月17日付で公開されています。
関連:合体し始めたばかり。おとめ座の渦巻銀河「NGC 4567」と「NGC 4568」
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Image Credit: KPNO/NOIRLab/NSF/AURA;Image processing: M. Zamani (NSF’s NOIRLab), A. Hussein (NSF’s NOIRLab) & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)NOIRLab - Destined to CollideNASA - Messier 33 (The Triangulum Galaxy)
文/松村武宏