首都圏の普通列車に連結されているグリーン車には、独自の利用ルールがあります。人気アイテム「青春18きっぷ」でも、グリーン券を別途購入すれば利用できます。

グリーン車「=自由席」はメリットかデメリットか

 東海道線や横須賀線など首都圏のJR普通・快速列車に連結されている「グリーン車」は、乗車券に加えてグリーン券を追加で購入した人が利用できる特別車両です。リクライニング機能つきの座席や折り畳み式のテーブルがあり、食事をしたりパソコンで作業をしたりしながら快適に移動できます。


グリーン車(画像:ぱくたそ)。

 このJR東日本のグリーン車、実は「青春18きっぷ」のような普通列車乗り放題のフリーきっぷでも、グリーン券を別途購入すれば利用できます。18きっぷユーザーは長時間乗車が多いので、グリーン車ならちょっと優雅な列車旅を演出してくれます。

 とはいえ、グリーン車の座席は自由席です。ゆえに、満席で座れないこともあり、とくに朝夕の通勤ラッシュ時は混雑します。なお、座れないので普通車へ移動する場合、グリーンアテンダントにその旨を伝えれば、無手数料での払い戻しの案内をしてくれます。

 着席保証がないのはデメリットかもしれませんが、一方で乗車する列車の縛りがなく、来た列車にそのまま乗れるので、気軽に利用できます。首都圏の通勤列車なので、1〜2時間に1本しかない特急列車などとは違いすぐにやって来るし、乗車後の座席移動も自由なので、18きっぷでの気ままな旅との相性は抜群ではないでしょうか。

グリーン券は乗り継ぎができる!

 グリーン券の料金は、乗車距離50kmまでと51km以上で異なるほか、乗車前購入の「事前料金」と乗車後購入の「車内料金」の2種類があります。事前料金のほうが260円安いので、駅やホームの券売機、あるいはスマートフォンの「モバイルSuica」であらかじめ購入するのがおススメです。

 前出の通り乗車距離に応じて2段階の料金設定になっており、51km以上ならば、どこまででも料金は均一。たとえば東海道線の熱海駅から宇都宮線の宇都宮駅まで約214kmの乗車でも、グリーン料金は平日で1000円、ホリデー(土休日)で800円。長距離利用になればなるほどおトクになります。

 そのうえ、改札口を出なければ同一方向への乗り継ぎに限り、1枚のグリーン券で2つの列車のグリーン車を乗り継ぐことができます。たとえば「小田原→千葉」のグリーン券が1枚があれば、「小田原→戸塚(東海道線)」と「戸塚→千葉(横須賀線・総武線快速)」のグリーン車の乗り継ぎが可能なのです。もちろん、グリーン券1枚の区間を1つの列車で乗り通すのが大原則ですが、時間帯によって運行区間の短い列車がメインのダイヤになり、目的の駅まで行くのに乗り継ぎが必要になる場合があります。そうした運転状況に左右されずに、グリーン券1枚で済ませることができるわけです。

 50〜60km程度の利用でも、ちょっとした裏技があります。たとえば、久喜(宇都宮線)〜新橋(東海道線)間50.8kmの利用の場合、ホリデーのグリーン料金は800円(事前料金)ですが、新橋駅の1つ手前の東京駅までならば48.9kmなので、580円(同)となります。それゆえ、久喜〜東京間はグリーン車を利用し、東京駅で普通車に移動すれば、220円がおトクになります。


グリーン料金表。51km以上で値段が上がるが、そこからはどこまで乗っても同額。

 また、JR東日本グループの共通ポイントサービス「JREポイント」で、グリーン券に交換できます(1枚あたり600ポイント)。JR 東日本や駅ビルなどの関連施設を日常的に使う人なら、知らぬ間にポイントが貯まっていることもあるので、確認してみましょう。

 リーズナブルな首都圏のグリーン車、18きっぷ併用でのコスパはかなり高いといえます。2024年度末頃には中央線にもグリーン車が導入される予定で、さらなる利便性アップが期待できます。