ついに実現へ「アンモニア燃料船」 日本郵船のタグボートが世界初の基本設計承認 水素を原料に
毒性などの課題も克服しGoサイン。
ゼロエミ船の実現へ
日本郵船とIHI原動機は2022年7月12日(火)、研究開発中のアンモニア燃料タグボートについて、世界で初めて、日本海事協会からAiP(基本設計承認)を取得したと発表しました。
アンモニア燃料タグボートのイメージ(画像:日本郵船)。
燃焼してもCO2を排出しないアンモニアは、水素とともに、GHG(温室効果ガス)排出量を削減する船舶業界の次世代燃料として期待されています。再生可能エネルギーなどを活用し生成したCO2フリー水素をアンモニアの原料に活用することで、燃料のライフサイクルまで考慮したゼロエミッション化が可能とのこと。
ただ、アンモニアを燃料とするには次のような課題があるといいます。
・難燃性かつエネルギー密度の低いアンモニアの使用比率を高めながら、エンジンにて安定的に燃焼させ運用する必要がある。
・アンモニアを燃焼させるとCO2を発生しない代わりに亜酸化窒素(N2O:CO2の約300倍の温室効果)が発生する可能性があるため、発生を抑制する燃焼制御及び船外に排出させない処理が必要となる。
・毒性があるアンモニアを漏洩しない設計、万が一漏洩した場合には安全対策を取る必要があり、従来の船舶と同等水準の安全性を確保するため、リスクアセスメントを通した対策が求められる。
日本郵船らはこれらの課題を克服したタグボートを設計し、日本海事協会による審査を受けAiPを取得できたといいます。アンモニア燃料関連危機を搭載しながらも、従来の船体の大きさは変わっていないそうです。
2社は今後、建造に向けた更なる検討を通じて、2024年度にも横浜港で実証運航を行う構え。2027年度までの実装運航も予定されています。