モナコ移籍が決まった南野拓実 photo/Getty images

写真拡大

南野拓実のモナコ移籍が発表された。レッドブル・ザルツブルクから加入して約2年半在籍することになり、リヴァプールでは53試合に出場して14ゴール3アシストの数字を残した。チームの主力として数字を残せたわけではないが、昨季はカップ戦で素晴らしい活躍を見せ、4冠を目指すチームに大きく貢献している。

モナコはリーグ・アンを代表する強豪クラブで、トップカテゴリーでの優勝は8回を数える。確かなスカウティング力を持っており、リーグタイトルを手にした16-17シーズンはキリアン・ムバッペやファビーニョ、ベルナルド・シウバらが在籍しており、CLではマンチェスター・シティ、ボルシア・ドルトムントを破ってベスト4に進出している。躍進した際の主力を放出したことで安定感をなくしたが、近年はリーグで好成績を残しており、昨季は3位でフィニッシュしてELの出場権を獲得している。

基本システムは[4-2-3-1]であり、南野が起用されるとすれば2列目より前のすべてのポジションだろう。トップ下でもサイドでも、最前線でも起用可能であり、そういった器用な面も補強した理由だと考えられる。

トップ下のライバルはドイツ代表のFWケヴィン・フォラントになる。29歳のアタッカーで、昨季は51試合で15ゴール13アシストを記録した。フォラントはプレイのバリエーションが豊富な選手だ。トップ下としてパサーになることもできれば、サイドに流れてドリブラーとして振舞うことも可能で、前線にスペースがあれば飛び出して得点も狙う。南野はこのフォラントからポジションを奪う必要がある。

サイドにはロシア代表のMFアレクサンドル・ゴロヴィンがいる。豊富な運動量とアイデアのあるパスを武器としたパサーで、昨季は3ゴール4アシストの数字を残した。怪我の多い選手だが、その実力は確かだ。

前線ではフランス代表に選ばれているFWウィサム・ベン・イェデルがいる31歳のベテランだが、その勢いは衰えるどころか年々増しており、昨季はキャリアハイとなるリーグ戦25ゴールを決めた。センターフォワード、トップ下の両ポジションでプレイしており、得点力の高さが武器だ。彼もフォラントと同様に器用で何でもこなしてしまうタイプで、南野が2列目で起用されることになればこのベン・イェデルと良い関係を築きたい。

初のリーグ・アン挑戦となる南野。前述したようにライバルは曲者揃いだが、日本代表としてワールドカップ・カタール大会で輝くには22-23シーズンの序盤で存在感を示したい。移籍金は総額1800万ユーロ(日本円にして約25億円)と高額であり、モナコからの期待度の高さがうかがえる。リヴァプールよりはプレイタイムを得られる可能性が高く、森保ジャパンで10番を背負うサムライの活躍に期待だ。