プーチンが国民の疑問に答え続ける4時間 「プーチン・ホットライン」 - 吉川圭三
※この記事は2017年06月15日にBLOGOSで公開されたものです
これは日本初の物議を醸す放送・配信になるだろう。
1年に1回、ロシアでは国を挙げた4時間にも渡る生放送がある。主役はウラジミール・プーチン大統領。快刀乱麻(快刀乱麻)のようにあまたのロシア国民からの質問・疑問・問題提起に一人で立ち向かう。
筆者も昨年録画で見たが、それはもう見事と言うしかない。ネガティブに捉(とら)えればロシア国内で強大な力を持つプーチンの「自己アピール・プロパガンダ」と見ることもできるだろう。一方、プーチンの見事な回答捌(さば)きを見ていると果たして先進国の他の国の元首にこんな処理能力を持つ人物がいるのか?とも思う。複合的な意味合いを内包する番組だ。
初回放映は、プーチンが初めて大統領に就任した翌年の2001年。当初は2時間余りの特番だったが、プーチン体制が強権化するにつれて番組も拡大していき、2011年には4時間半を超える長時間番組となった。寄せられる質問数は昨年、初回の8倍となる325万件を記録した。
対話の達人プーチンは、国際問題から公務員の賃上げ交渉から道路工事の陳情、地方行政への苦情、さらには大統領の私生活への下衆な勘ぐりまで、縦横に回答する。長時間のあいだ、カンペなし、耳打ちなし。時折メモを取りながら、ありとあらゆる質問を一人でさばいていく。その集中力と記憶力には驚くばかりだ。周到な準備に基づいたやり取りとはいえ、少なくとも「精査します」の一言でお茶を濁したりはしない。データとユーモアを織り交ぜながらどんな難問奇問も一刀両断するプーチン・トーク。もしプーチンのロシア国民に対する「個人宣伝」と考えれば、これ以上の効果のある手段は無いかも知れないとおもうほどのプーチン主役の番組である。
「ニコニコ動画」では6月15日18時からこのロシアで一番有名な番組を同時生放送同時日本語通訳付きで配信する。「プーチンの力をロシア国民に誇示する宣伝番組」と取るか「プーチンの行政手腕を映像で見る機会」と取るかは見ていただくユーザーのご判断次第である。(タイムシフト予約すれば、後で見ることも可能。)
番組名:プーチン・ホットライン以下は「プーチン・ホットライン2016(昨年)」の質問と回答例である。
放送日:2017年6月15日(今夜、毎年1回、生放送)
放送局:主要テレビ局、ラジオ局、インターネット(SNSでライブ中継)
番組回数:第15回(2001年よりほぼ毎年)
放送時間:3~4時間(CMなし)
おもな出演者:ロシア大統領ウラジーミル・プーチン(毎年)
Q:プーチン大統領が飲んでいる薬は海外製?それとも国産?
(輸入品は国産の20倍の価格だそう)A:「スポーツをやっているから、不要だ。インフルエンザの予防接種は受けてる」
※プーチンの鍛え上げえられた身体は有名。「プーチンサイズ(PUTINCIZE)」と呼ばれるフィットネスも存在しますQ:もし、ポロシェンコ大統領(ウクライナ)とエルドアン大統領(トルコ)が溺れていたら、どっちを先に助けますか?(女の子が可愛らしい声で)
A:「溺れると決めた人を助けることはしない。相手が望むならば、どちらも助けるだろう」
Q:「最近、元奥様が再婚されたそうですが、いつになったら次のレディーをみせてくれるのですか?」
A:「君たちは、大統領になにを望んでいるんだ。私のプライベートを知りたい気持ちはわかるが、それは大して重要ではない。まあ、将来、君たちを満足させる日が来るだろうけどね」
Q:「女性は、大統領になれますか?お父さんは、“アメリカを握れるのはプーチンだけ”と言ってます」(女の子)
A:「一連の問題は女性の方がうまくやれるかもしれないな」
Q:「朝ごはんは毎日なにを食べますか?」(女の子)
A:「ポリッジ(ロシア料理)を毎朝食べる」
Q:「願いが3つだけ叶うとしたら、どんなお願いをしますか?」(女の子:11歳) ※今回、一番盛り上がった質問
A:「そんなおとぎ話に頼るべきではない。一生懸命働きなさい。夢は自分の手で掴むものだ。」
・・・「ロシア国内情勢を知る」「ロシアの対外姿勢を知る」「プーチンを知る」「プーチンの頭の回転の良さや哲学・人柄を知る」「この番組そのものがプーチンのプパガンダか否かを見極める」・・・またとない機会といえるだろう。
◆関連リンク
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