【参院選】「政治は遠い存在だという感じがしていました」~民進党・岡田代表の″18歳のころ″ - BLOGOS編集部
※この記事は2016年06月22日にBLOGOSで公開されたものです
22日、参院選が公示された。これに先立つ15日、民進党の岡田克也代表が共同記者会見を開いた。その後、BLOGOS編集部による単独インタビューに応じた。この中から、とくに焦点となっている経済政策、憲法・安全保障の問題、そして18歳選挙権についての部分をお届けする。■経済政策:経済、暮らしを立て直す
安倍総理との党首討論で申し上げたように、今の経済状況では"最大限"という意味で2年間の消費増税先送りは止むを得ないと申し上げました。次世代への負担が増すという判断ですから、非常に残念なことです。ただ、そういう事態に至ったことについては、総理に大きな責任があります。前回(2014年)、「消費税を上げられる状況にする」と約束して解散をしたのに、そのことについて明確な説明や謝罪もないとうのは極めて残念です。「新しい判断」という言葉もよくわからないですね。「先送りする」ということなんでしょうが、新しい判断をしたからといって、過去のことが問われなくなるのならば、公約の意味がありません。今回の公約についても、何年か経ったらまた「新しい判断」ですと言って済ませるのでしょうか。ワープみたいな、次元を変えてしまう感じですね。そんなやり方は認められません。
しかも、消費税引き上げを自分の任期の先に送るという。つまり自分は消費税の引き上げに責任を負いませんと言っているに等しいわけですね。高い成長を前提に税収をはじき出していますし、財政健全化、基礎的財政黒字化は事実上無理になってしまったと思っています。選挙戦を通じて、行財政の健全化の具体的な計画を出す責任が安倍総理にあると思います。
一方、私たちが申し上げているのは、経済、暮らしを立て直す、ということです。私たちが掲げる経済政策「成長と分配の両立」ということを、国民の皆さまに問いたい。安倍さんは、私が1年半前に「両立」と言ったことに対し、「経済と成長と分配の好循環」という言葉で、かぶせてきますけれど、何を言っているかわからないんですね。経済界の会合などでは「経済最優先」ということも言われているし、言葉を使い分けしておられる。
私たちは分配、つまり国民の暮らしを守ることが持続的な成長にも繋がる。つまり、GDPの6割は消費ですから、安心してお金を使える状態をつくる。それは将来の不安を取り除くことであり、今の所得を再分配し、中間層あるいは苦しい状況にある人たちの所得を増やすということでもありますが、そのことによって経済成長につなげるということですね。
■憲法・安全保障政策:憲法の平和主義を守る
私たちは「憲法の平和主義を守る」ということです。安倍総理は「侵略戦争をしないことが憲法の平和主義だ」と党首討論で言いましたが、驚きですよね。それだけの意味しか憲法の平和主義に認めておられないのかと、がっかりしました。日本国憲法の平和主義とは、単に「侵略戦争をしない」ということだけではなくて、もう一歩踏み込んだものです。海外における武力行使には慎重であるべきだという考え方を捨て去って「侵略戦争さえしなければいいんだ」と。ここでも重大な憲法の解釈の変更を安倍総理は行っている、ということです。■18歳選挙権を踏まえ、若者政策
我々の政策集「国民との約束」を見ていただきたいと思います。例えば子どもに関する政策は2番目に掲げていますし、働き方、女性、そしてシニアと、対象ごとに書かれてかれています。子どもの分野には若者のための政策も入っていますから、そこを見ていただくだけでも、ご理解いただけると思います。例えば、教育分野では、大学生に対して「給付型奨学金」を打ち出しています。同じことを政府も最近言い出したんですが、「検討」と書かずに、具体的な結果を書けばいい。検討だけなら誰でもできます。ただし財源に限りがある中ですから、一気に解決することはできません。本当に必要とする人にからスタートさせます。もうひとつは無利子化ですね。返済の負担を減らす。
さらに授業料の無償化を大学生や就学前の児童に対する支援とか、そういうかたちで順次広げていきます。義務教育では、給食費無料化に取り組んで行きたいですね。
それから、若者の働き方の問題です。過去20年で、非正規雇用が2割から4割に増えました。理由は色々ありますが、やはり自民党は政策的にこれを後押ししてきました。小泉政権のときに製造現場に派遣を入れることを認め、昨年、安倍総理は派遣の対象を限定でなくしてしまいました。さらに同一労働・同一賃金を訴え、裁量労働制を認めるとか、労働規制を緩めれば良いという考え方を示しています。
日本の長時間労働の悪弊を直していくためには、法律で時間の規制をすべきです。その上で、多様な働き方を入れていくというのなら、決して反対ではありませんですが、それをせずにタガを外してしまった。これは更に悲惨な結果を生むだろうと思います。
あれだけ岩盤規制を壊すとか言ってたのに自民党のマニフェストには書いてありません。言葉だけは先行していますが、中身はなんですか、参院選が終わってからだということですけれども、本気でやるんですかと問いたいですね。すごくずるいと思ます。正直でないと思います。有権者の皆さんにも、そこを見極めてほしいですね。
ここまで安倍政権は非常にいいかげんで、財政健全化については2020年のプライマリーバランス黒字化も事実上先送りした一方で、大量の国債を日銀に買わせて、将来大きな禍根を残しそうな政策を進めています。地球温暖化も、今回決めた数字も、産業界には義務をほとんど課さずに、業務用や民生用で温暖化ガスの排出を減らすと。しかも2050年に8割削減という、国としてコミットした数字にまったく整合的でない。そういういい加減なことをしようとしている、無責任な政治と私たちは違うということを説明したいですね。将来世代のために、私たちは財政健全化、地球温暖化対策はしっかりやっていきます。
合わせて、やはり被選挙権の引き下げを提案します。若い世代に、自ら政治の世界に入って活躍してもらうという思いも込めています。
■18歳のころ:政治は遠い存在だという感じがしていました
学生運動が衰退していく終わりの始まりの時代でしたね。私の世代は高校紛争を経験してますし、まだ大学紛争の余韻が残っていたので、政治には関心があったんですけど、やはり遠い存在だという感じがしていました。むしろ、あまり関心を持たないほうがいいんじゃないかという気持ちもどこかであったと思います。でも、やっぱり政治って大事です。そのことに気がついてもらいたいなと。安全保障法制だって、年金だって、仕組みは全部法律で決まるわけですから。絶対無関係ではないわけですね。(15日、民進党本部で)