【参院選】「バリケード封鎖で大学講義が受けられず、強い不満を抱いた」~公明党・山口代表の″18歳のころ″ - BLOGOS編集部

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※この記事は2016年06月22日にBLOGOSで公開されたものです

22日、参院選が公示された。これに先立つ14日、公明党の山口那津男代表が共同記者会見を開いた。この中から、とくに焦点となっている経済政策、憲法・安全保障の問題、そして18歳選挙権についての部分をお届けする。

■経済政策:政権与党として振り返る

アベノミクスの三本の矢、つまり財政政策、金融政策、成長戦略。それぞれ国内での対策として実行したものがかなり成果を現しつつあると思います。

たとえば雇用の面では、47都道府県全てで有効求人倍率が1を超える。これは歴史上初めてのことですし、結果として正規雇用、非正規雇用も増えています。とくに正規雇用は昨年から増えている状況ですし、実質賃金も上昇に転じています。そうした中で、完全失業率も大きく低下をしました。中小企業の倒産件数も大きく減りました。企業の収益が伸びて賃金が上昇する、特にベースアップが3年間連続するということも久々のことです。

そして、それが税収に反映されているということも大きな特徴でして、我々が政権を取ったときに比べると15兆円増えています。また、地方税も合わせると21兆円程度で、今年の経過を見ると、これからも急に下がるということは無いだろうという見通しです。

ただデフレ脱却の道半ばということで、成果が現れている実感が必ずしも十分に行き渡っていません。特に給与所得者にはある程度の実感が感じられている人もいると思いますか、そうでない生活者もいると思いますので、アベノミクスの効果が及ばない分野、あるいは人々にこれから成果をできる限り及ぼしていく。そして全体の勢いを増していくことが大事だと思います。

大胆な金融緩和を行い、行き過ぎた円高が是正されていく、そのもとで企業の収益が回復していく、また為替が是正され、かつ安定する方向。これは確かに現れています。

しかしまた、我が国だけの政策的取り組みでは一定するわけではなくて、やはり世界のいろいろな動きに影響されている面があろうかと思います。とくに資源国においては資源価格によって経済が減速するという大きな変化がありましたし、また為替も各地域の取り組みによって影響があります。G7でも、世界経済全体の中で下方リスクに直面しているという認識でありますので、それが顕在化しないよう回避していかなければなりません。

これもいわばアベノミクスで示した3つの基本政策、あらゆる手段を状況に応じて取っていこうという認識です。その中で金融政策の新しい段階、たとえばマイナス金利の導入という事態に至っておりますけれども、これは相対的な、各国の取る政策のなかでの一つの取り組みでありますので、これを可能な限り我が国の政策に有効に活かすことがこれからも必要だと思っています。

今、そうした過程の中にありますので、"出口戦略"云々を語る段階ではないと思います。引き続き、それぞれのバランスをとりながらデフレ脱却へ進めていきたいと思います。

■憲法、安全保障法制:憲法改正論議は未だ熟さず、争点化に至らず

公明党は、この度の選挙では国民に憲法改正の選択肢をお示しして、選んでもらうほど議論が成熟していないと考えています。従って争点にならないということで、マニフェストにも掲げておりません。我が党の憲法に対する基本姿勢は、現行憲法の三原則などを尊重しながら、新しく形成された憲法的価値、これを規定として加えていく「加憲」という考え方を採っております。具体的な新しい議論としては、環境権などがあると思います。

私たちはそうしたアプローチでありますけれども、各党でアプローチが違います。

今は、憲法改正を容認するか否定するかという対立はもう過去のものでありまして、どこをどのように変えていくかという議論が今後直面する課題ですが、しかしそれについての議論は深まっておりません。今後国会でそうした議論を深めていく、それと共に国民の皆さんの理解が相伴って進んでいく、そういうものが深まった上でのことだと思いますので、未だ熟さず、争点化に至らず、ということです。

(安倍総理が自民党総裁の任期中の改正を目指していることについて)安倍総裁であれ、どの総裁であれ、自民党は憲法改正が党是ですから、どの総裁になられても立場としては「憲法改正を目指す」と言わざるを得ない立場であります。安倍総裁の立場もそうしたものだと理解していますし、国会の場で憲法審議会で議論を深め、理解を深め、合意形成に務めるルートを通らざるをえない。それを進めるための議論に参加することは誰が総裁であれ、どの党であれ変わらないと思います。

従って、(民主党の岡田代表が、安倍総理である間は議論できないと言っていることについて)誰々の元では議論しないというのは、国会議員として、また政党としてもいかがなものかと思います。一方で、憲法改正についての議論を仕掛けるような発言が目立つことは、自己矛盾しているのではないでしょうか。

平和安全法制は、一部野党との修正合意を可決したものであります。従って、今度の国会では何ら議論になっておりません、特に民進党など野党の一部は廃止法案を出して領域警備法を出そうとしていますが、議論をしようとする強い空気は全くありませんでした。ですから、参院選でいきなり争点となることはないのではないかと思っております。

むしろ国際社会は歓迎している状況でありますし、中国なども冷静に見守っている状況がありますので、むしろ平和安全法制の役割や運用を丁寧に説明することが必要ですが、廃止か否かというのは大きな争点はでないと思っています。

■18歳のころ:大学の学費値上げに不満を持った

この夏の18再選挙権の実施を踏まえて、そうした世代の政治参加を促すような、関心を高めるような政党活動を行ってまいりました。たとえば昨年、大規模なアンケートをやり、そこから関心の高い政策を絞り込んで、「VOICE ACTION」という街頭活動として、年初から全国で活動を実施いたしました。1,000万人を超える若い方から反響がありまして、先日、その結果を安倍総理にお届けにあがったところです。

一番関心が高いのは非正規雇用から正規雇用へ、待遇改善を求める声が一番大きかったです。また不妊治療の助成の充実、幼児教育の無償化の推進。そうしたことを具体的に政策化しながら、参議院選挙で若い世代の政治参加を求めていきたいと思っております。

こうした若い世代に身近な政策を訴え、進めていくことは、20歳以上の若い世代にも影響を及ぼし、もっと大きな政治参加、何より新しいトレンドも期待できると思っております。そうしたことが国全体の資源配分の影響にゆくゆく影響を与えていくこともありえるのではないかと思っています。また、被選挙権年齢を引き下げることも合わせてやっていきたいと思っています。

(若い世代は政治と関わるきっかけがなかったり、関心がなかったりすることについて)自分が18歳、19歳だった頃を振り返って「こうだった」ということを語るのは一つの入り口になるのではいかと思います。

私自身は、まず、大学の学費のことです。現役で受かっていれば、国立大学の学費は当時13,000円だったのですが、1年浪人したために、3万6000円と、一気に3倍になってしました。学生にとっては大変重いことです。当事者の了解なしに学費がどんどんあがっていくこと強い不満を覚えました。

また、さまざまな政治課題が内外ともにありました。ベトナム戦争の問題、学生運動も盛んであり、学生のデモや、大学の中で色々な暴力沙汰もありました。東京大学は入学試験が中止、という年もありました。そんな激動の時代だったというのが実感です。大学1年生のときにはバリケード封鎖で構内の施設は破壊され、椅子や机がうず高く詰まれておりまして、半年間講義ができないという状況になりました。せっかく学費を払っているのに、半年も講義を受けられない、そのことに強い不満をもちました。自ら主張して変えていかなければならない、そういう強い思いを持った記憶があります。

「一人の力は限られている。しかしそれも、参加をしなければ一向に変わらないない。自分たちの時代には選挙権すら認められていなかったのが行使できるようになったことは素晴らしい」と。是非一票を適切に行使をして、国に変化を与えていく。そういうことを訴えたいですね。一人の力は万民に。一人が二人、二人が四人、10人、100になり、自分の未来を変えていくと、強く啓発していきたいと思います。

若い世代というのは最も鋭敏な感覚を持っていると思います。その強い感受性を直接、投票行動に現してもらいたいと思います。人生を最も長いスパンで考える事ができる世代ですから。少子高齢化という構造の変化が自分たちにも向いてくるわけですし、これから長い人生をどうするべきか。こういう発信、またそれにかかわる政治、そんなことを縷々、語っていきたいと思います。(14日、公明党本部で)