SEALDs奥田愛基さん「選挙のカルチャーを変えていきたい」 - BLOGOS編集部
※この記事は2016年06月21日にBLOGOSで公開されたものです
安保法制に反対する学生や学者らでつくる「市民連合」の記者会見が6月17日、東京・有楽町の外国特派員協会で行われた。市民連合は、今回の参院選で野党の共闘を支援している。会見者の一人、SEALDsの奥田愛基さんは「市民が政治家と同じ目線で選挙に関われるように、選挙のカルチャーを変えていきたい」と話した。(亀松太郎)■普通の人が「スピークアウト」する選挙に
「野党共闘は日本の歴史でなかなかみられないことだが、選挙のやり方は旧来のまま。僕たちは選挙のカルチャーから変えていきたいと思っている。争点を政治家が決め、それに投票する人がついていくだけという選挙のやり方は古い。今回は『テレビで見て投票にいくだけ』というのではなく、もっと能動的に選挙に関わっていけるようにならないか、と。
たとえば、米国の大統領候補の選挙で、バーニー・サンダースのホームページを見ると、『これはあなたの運動だ』というのが最初のフレーズになっている。写真を見ても、その政治家を支持している人の顔が見える。支持している人がスピークアウトする様子がわかる。
一方、日本の選挙のホームページは、議員の名前しか出てこないというのがほとんど。報道の中で出てくる選挙の写真も、政治家だけががんばって、盛り上がっている写真だと思う。
今回の選挙は『私たちの選挙だ』と考えてやっていきたい。
先日、北海道で衆議院の補欠選挙があった。そこでも選挙に関わって、実際に選挙のやり方を考えた。
たとえば、街宣活動。一般的な選挙は、街宣車の上で政治家が話す形だ。それだと、上から説得しているという目線だと思う。僕たちが提案したのは、集会で候補者と普通の人たちが『同じ目線』で話すやり方だ。
この集会では、10人中9人は地元の人がスピーチした。政治家や地元の有力者だけではなく、普通の人がスピークアウトしていくというのを、もっと選挙の中でやっていきたい。
日本の選挙では、フレーズやカラーがあまり統一されていないが、見え方が良くない。たとえば、共産党と民進党が同じフレーズでポスターを出したり、統一のカラーのポスターを貼り出したりすることも必要だと思っている。
そのほか、北海道の衆院補欠選挙では、投票率の向上に向けて『選挙があります』というポスターをいろんな町に貼ったり、選挙にどうやって参加できるのかを説明した特設のホームページを作ったりした」
■「日常の感覚で伝えることが大事」
「選挙のプロと市民がどうやって連携していくのか。実績があまりないので、手探りの状況でやっている。日本は、選挙に行ったことがある人は多くても、選挙に実際に関わったことがある人はとても少ない。なので、まず、人々や政治家が集まる場所をセッティングしている。なぜ、市民が自分たちで広報物を作ったり、スピークアウトしていくことが大事なのか。それは、政党や広告代理店が情報を発信しても、届く範囲が限られているから。市民と政治家が同じ目線で政治のことを語り、固い言葉だけでなく、日常の感覚で伝えることが大事だと思っている。
ただ選挙に勝つのではなく、選挙のカルチャーや政治のカルチャーごと変えていこう。選挙を変えよう、というのが僕たちのメッセージ。
結局、どの政党が勝っても、国民のことを見なかったら意味がない。『ちゃんと私たちのことを見て政治をしてください』と言っている。
SEALDsでは『POST』というホームページも作った。ここでは、市民連合のプラカードなど選挙に使えるコンテンツをいろいろ用意している。著作権フリーで、誰でも使うことができる。そのほか、パンフレットや投票ガイド、公選法をわかりやすく説明したものも作っている。
僕は、選挙に関わるのは今回が初めてだが、関わってみて、『この法律がおかしいな』とか、『なぜこうなっていないのか』と思うこともある。でも、実際にやってみるなかでしか、気づけないことがたくさんある。
日本人はやるまでかなり時間がかかるが、やる前から『どうせ無駄』と言うのではく、一歩目を踏み出していきたい」