※この記事は2014年10月28日にBLOGOSで公開されたものです

10月24日、衆議院内閣委員会で民主党の泉健太議員が質問に立ち、山谷えり子国家公安委員長に対し、質問を行った。泉議員は、質問の中で山谷委員長の過去の発言や「在日特権」と呼ばれるものに対する認識について問い質した。この質疑の様子を、衆議院インターネット中継より書き起こしでお伝えする。(※可読性を考慮して、表現を整えています)

山谷委員長「『教育再生地方議員100人と市民の会』の顧問を務めていた」

泉健太議員(以下、泉):民主党の泉健太でございます。本日は山谷大臣にお伺いをしなければなりません。まず在特会との関係についてですが、端的に在特会の顧問あるいは会員だったことはありますか?

山谷拉致担当大臣・国家公安委員長:(以下、山谷):「在日特権を許さない市民の会」、略称在特会なる団体とは私は何ら関係をしておりません。

泉:そうしますと、例えば会費をこちらから払われたりしたことはないということであると思いますが、報道によるとで恐縮ですが、参議院比例84支部に対して、2010年の1月~6月で、この会に関与している方からの献金があったという風に聞いておりますが、調査はされましたでしょうか?

山谷:その方については、「主婦ということだった」という風に理解をしております。

泉:「主婦であった」という、おそらく献金当時はそういうご理解だったと思いますけれども、報道では、「団体と密接に関係のある方だ」ということが出てきておりますが、それに対して何か対応をされるご予定はございますでしょうか?

山谷:「主婦であった」と思っておりますし、その方が今どういう活動をしているのか、私存じませんので、調べてみたいと思っております。

泉:続きまして、「教育再生地方議員100人と市民の会」という団体がございます。こちらの顧問だったこと、会員だったことはございますでしょうか?

山谷:おたずねの団体が「教育再生地方議員100人と市民の会」であるとすれば、与野党にわたる多くの国会議員と共に、私が顧問についていた団体であると思います。しかしながら、具体的な活動状況、積極的な活動はなかったと思っておりまして。これは大臣経験者とか、民主党の議員さんも、多くの国会議員が参加しているものだと承知しております。

泉:いま「顧問だったことは?」という風に私はお伺いしたのですが、ご自身も顧問であったとおっしゃられました。改めてですが、顧問なのか。それとも顧問であったのか。辞めたとすれば、いつおやめになられたのか。あるいは辞めていないのか。お答えください。

山谷:このご質問でちょっと調べたのですが、以前の「100人の会」のホームページには、多くの国会議員たちと共に、私が顧問となっているんですが、今消えているということでありまして。大臣になっておそらく、すべての役職を引いているのではないかと思います。

泉:そうしますと、ご本人は辞めたくもなかったし、辞める認識もなかったけれども、誰かが配慮をして顧問を引かせたということでよろしいですか?

山谷:すべての、いろいろな関係団体の役職を退いている風に思っておりますが、この団体自体はですね、活動はそれほどなかったという風に思っております。よかったら民主党の議員の方にも聞いていただければと思います。

泉:活動があったのかなかったかということは、よく存じ上げません。そして、私は大臣にお伺いをしております。それを「ほかの方に聞いたらいいんじゃないでしょうか」というのは、少々失礼ではないでしょうか。

改めて大臣お伺いします。「活動があったのかなかったか」ではなくて、大臣は今現在も顧問というご認識なのか。そうではないのか。これをはっきりお答えください。ご自身のことですから。あるいはですね、「私は知りません。事務所が全部やっているんです」とおっしゃられるのか。今の大臣の論法で行けばですね、大臣、過去おつきになった役職すべてやめなければいけないですよ。大臣になったならば、すべての役職を退くとおっしゃるのであれば、すべて辞められるということになりますが、それでよろしいですか?

山谷:整理をしているところだと思っておりますが、現在ホームページから私が顧問だという記載が消えているようでありますが、今聞きましたところ、まだ顧問をやっているということでございます。

泉:そういう活動はちゃんとされているのかもしれないですね。大臣の話題が出てきたので、大臣を顧問団から削除するという活動は的確になされているのかもしれませんが、今現在も顧問であるということがよくわかりました。

ちなみに、これは会員制をとっているような感じもホームページから見受けられるのですが、会費は払われておりますでしょうか?

山谷:存じませんので、調べます。ないと思います。おそらく。

日教組の支配が強いところは、学力も低いのか?

泉:後で、それを調べてご報告をお願いいたします。

続きまして、すべての役職を退かれたらしい大臣にお伺いするのもあれなんですが、「日本教職員組合問題究明議員連盟」というのがございまして、大臣は事務局長をされてこられていたということでございますが、現在でも事務局長でございますでしょうか?

山谷:お尋ねの議連ですが、「日教組問題を究明し、教育正常化実現に向け、教育現場の実態を把握する議員の会」だと思いますが、この会は公教育への信頼を取り戻すことを目指して、自民党の国会議員で設立したものでございます。当時は、事務局長でございまして、8回開催されたということでございます。

泉:現在でも事務局長ですか?

山谷:会長がご勇退されておりまして、その後新たにというような事務局体制をまだ明確には作っていないところでございます。

泉:そうすると、通常では役職は継続されているものと判断いたしますけれども。今こうやってやり取りをされるようになって、ご自身も今の状態がわかったと思いますけれども、大臣、この役職は継続をされますでしょうか?

山谷:これは自民党の議員の会でありまして、会長がご勇退されたので、またどうするのかというのは、多くの自民党の皆さん含めご相談することだと思っております。

泉:ちなみに、何か究明できたことはございますでしょうか?

山谷:ございましたけれども、詳細についてのことは所管外でございますので、コメントを今回は控えさせていただきます。

泉:その中でなのかどうかわからないんですけれども、大臣、平成22年10月21日参議院内閣委員会でご質問されております(※当該リンク内244/407)。蓮舫大臣に質問されたわけですが、その中の議事録で、「日教組の支配が強いところは、全国学力調査をやってみたら下の方に並ぶんですね」という風なことをご発言になられています。

実は私の地元京都は、日教組の組織率が1%ぐらいで、私もほとんど支援を受けている人間ではないんですけれども。ただ、支援を受けている受けていないというよりも大臣であられる以上ですね、やはりそのある意味の質疑、答弁双方において、責任や正確性、根拠に基づくものでなければいけないと私は思います。

そういった意味で、「日教組の支配が強いところは、全国学力調査をやってみたら下の方に並ぶんですね」ということを大臣が質問ではなく、質問の中のご自身の言葉として、「そうなんです」ということをおっしゃられているわけです。

この見解は今も一緒でしょうか?

山谷:もろもろ分析したことで、そのようなコメントになったと思いますが、本日は内閣の一員として職務に専念したいので、控えさせていただきたいと思います。

泉:大臣としての適格性ということについては、これは過去の様々な発言ですとか、行為、行動がやはり関連してきます。そういった意味で、正に国会内での発言、ご自身のご発言でありますので。では、統計的な事実と言う風にお考えになられているのでしょうか?

山谷:国家公安委員長として、答弁することは差し控えさせていただければと思います。

泉:委員長いかがですか?そういう委員会で成り立ちますかね?過去のご自身のご質問であって、それについての見解をお伺いをする。これ言えませんか?委員長。いかがですか。

山谷:いろいろ、いろんな情報を集めながら、いろいろな分析をしたことでありまして、短時間ではなかなかできませんし、本日の内閣委員会で、国家公安委員長として、答弁をするのは適切ではないのではないかと思っております。

泉:勝手な判断は困りますよ。「適切じゃないかどうか」というのを何で勝手に判断するんですか。それは違いますよ。ちょっと協議してください。しっかり。答弁拒否ですよ、これ。答弁してくださいといっているんです。

山谷:教育問題でございますので、所管外でございますので、コメントを控えさせていただきます。

泉:教育行政について、私は伺っているんではありません。文部科学大臣の所管について伺っているわけではございません。あなたの発言についての伺っているんです。もう一度お答えください。

山谷:幾度ものお尋ねでございますが、コメントは差し控えさえていただきます。

(※「ダメですよ!」「答弁拒否だ!」などのヤジが飛ぶ)

泉:何が理由ですか。明確な理由を言ってください。そしたら。無理ですよ。おかしいよ。こんな。速記をとめてください。

(※しばらく速記が止まる)

議長:山谷委員長、その過去の発言について、当時の経緯とかお考えをご発言をお願いします。

山谷:日教組の組織率と学力テストの結果というのは相関関係がある場合もありますが、ない場合もございます。例えば、私の故郷である福井はわりあい日教組の組織率は高いんですが、大変学力テストがよいのです。

それはですね、特定の様々な副教材等々を使って学習指導要領以外のことを積極的に、時間を使っているような地域は、必ずしも学力が伸びていない、そういう実態を言ったものだと思っております。

泉:面白いご発言ですね。「相関関係がある場合もありますが、ない場合もございます」と言ったら普通はそれは「ない」という結論になるんじゃないでしょうか。「日教組の支配が強いところは、全国学力調査をやってみたら下の方に並ぶんですね」とおっしゃられているんですね。

今おっしゃられたように福井。組織率も高いですが、学力も高い。その他にもそういう県もあって、統計的にこれが正しいご発言というと…。私は大臣、おそらくこの世界ではしっかり取り消された方が良いと思うんです。おそらくどの統計学者に聞いても、それは有意なものではないということになると思うんです。

過去に委員として、こういうご発言をされたということは、その当時のお立場もあったと思います。一方では、公安委員長であり、今大臣でございますから、こういうご発言についてですね、そのまま残しているという事はいかがなものかと思いますが、それを引き続き、この立場を維持されますか?

山谷:組織率と学力が相関関係がある場合も、ない場合もあるということではありますが、その組織率とは違って、特定の考え方、教科書以外のことを使って教える時間を大変持っているという、そういう地域も日教組の強い地域もあるわけです。そのことを申したことでございます。

「特権」と「特例」はどう違うのか?

泉:そのことを申したのであれば、このような表現にならないと思いますね。そういった意味では是非、事実に基づいた判断をしていただきたいと思いますし、それがこの表現でありますので、事実でなければ、私は立場を改めていただきたいと思います。

さて、続きまして警察庁にお伺いしたいと思います。
まず在特会ですが、そういうカテゴリーがあるかないかというのはあるのですが、「監視の対象」の団体なんでしょうか?

警察庁・高橋警備局長:「在日特権を許さない市民の会」につきましては、監視という表現かよくわかりませんけれども、いわゆる「監視の対象」ではございません。関心は持ってもちろん見ておりますけれども、「監視の対象」ではございません。

泉:関心は持っておられるわけでして。例えば、構成人数や誰が主要メンバーかということは把握はされていますでしょうか?

警察庁・高橋警備局長:会員数等、警察がどのような状況を把握しているかにつきましては、詳細な答弁は控えさせていただきたいと思いますが、在特会のホームページによりますれば、昨日現在、10月23日現在、会員数は約1万5千人となっているという風に承知しております。

泉:ちなみに警察庁にお伺いしますが、在特会と関係している国会議員も存在しているという認識でよろしいでしょうか?

警察庁・高橋警備局長:「関係している」という中身がよくわかりませんので、お答えできません。

泉:「関わりがある」「意思疎通をしている」「やりとりがしたことがある」ということを警察が見聞きした事はございますか?

警察庁・高橋警備局長:先程も申し上げましたけれども、在特会についてどのような活動ですとか、どのような交友関係にあるかということについて、警察がどのような情報を把握しているか、ということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

泉:山谷大臣、改めてお伺いするんですが、一緒に写真を撮った方との人間関係があるだとか、ないだとか。その人が在特会だと知らなかったとかいうことを伺ってみます。これは、もう一度確認なんですが、その方と面識はあるけれども、「その方が在特会だったことを知らなかった」ということでよろしいですね?

山谷:その方のホームページに私との写真がアップされていたということでございますが、私は全国を選挙区とする議員でありまして、全国様々、いろいろなところで、いろいろな方たちと写真を撮ってほしいと求められれば撮っているところでありまして。「あなたはどういう考えで、どんな団体に所属していますか」ということをいちいち聞くわけにも参りませんし、それは泉議員もですね、ご理解いただけるのではないかなと思います。

ただ、在特会がヘイトスピーチをしたり、威力業務妨害罪等で検挙されたと。ヘイトスピーチに関しましては、特定の国や民族を誹謗中傷をし、差別発言をして、侮辱的な表現をし、憎悪や対立の心を煽っていく。これは本当に憂慮に堪えませんし、まったく遺憾なことだと思っております。

「愛と寛容の融和的な社会を作りたい」と思っている私の心情とは、在特会の活動はまったく相容れないものであります。警察といたしましては、違法性があれば、法と証拠に基づいて厳正に対処していくべき問題と思っております。

泉:もう一度確認ですけれども、その男性の方ですが。全国様々な方との付き合いがある、出会いがあるというのはよくわかります。一方で、その方が先程の「100人の会」、2007年には第9回の総会が行われて、基調講演に山谷大臣が行かれているんですね。

そういった意味で、お付き合いはいまだにあったと思うんですね。もう一度確認なんですけれども、私が伺いたかったのは、いろんな方々とお付き合いがあるでしょうが、どこまでを知らなかったのか。どこまでを知っていたのか、ということを聞きたかったのです。「その男性の方が在特会であること」を知らなかったのか。「男性の方の名前も知らなかった」のか。それを聞きたいんです。「名前も知っていたし、お付き合いもあったけれど、在特会であるということは知らなかった」ということなのかの確認です。

山谷:「その方が在特会の会員だった」とは存じませんでした。その方ももうすぐ一年ぐらいでやめられたという風に聞いております。その「教育再生の会」の方と拉致の救出活動もしていらしたという方らしいので、ずいぶんアクティブな方なんだなという風に思っております。

泉:続いてですね、いわゆる「在日特権」という言われ方をするものについてですが、大臣、改めて在日外国人に特権はあるとお考えでしょうか?

山谷:「在日特権」というものの説明をもう少し泉議員からしていただけるとありがたいと思います。

泉:大臣がお考えになられて、もう一度質問しますね。私は「在日特権」という言い方をしていません。大臣は「在日外国人には、特権があるとご認識になられていますか?」という質問をしています。

山谷:国家公安委員長としての答弁は、実はなかなか難しゅうございます。例えば、特別永住資格。これはですね、「特別永住者は出入国管理および難民認定法の特例として通常の外国人と異なる扱いを受ける」という特別扱いの根拠となる法律がございまして、これは法務省の管轄でございますし、諸々それぞれですね、何が特権なのかは定かではございませんけれども、それぞれ法律や通知に基づいているという風に一般には理解しております。

泉:実はそこが肝心なところでして、「特権」というとですね、いわゆる「特別な権利を他よりも優遇されて持っている」という認識だと思います。一方では、法務省での言葉遣いも含め、「特例」という言い方もされていますね。

それもある意味、「特権」という認識を持つか、「特例である」ということで判断するのか。ここは実は大きな問題ではないのかなと思います。様々な過去の経緯があって、その経緯によって特例を設けているのであって、それは「特権ではない」という考え方。これはあると思うんです。

そういった意味でまさに「特権かどうか」ということが問題になっていてですね、そういった意味で改めて大臣がおっしゃられた特別永住資格ですけれども、これは「特権」というご認識がございますでしょうか?大臣自身のご見解をお願いします。

山谷:国家公安委員会委員長として、答弁はですね、お答えする立場にないと思いますが、今申しましたように特別永住資格というのは、「特別な扱いの根拠となる法律として、日本国との平和条約に基づき、日本の国籍を離脱したものなどの出入国管理に関する特例法」であります。

泉:委員長、もう1回聞きますね。もうあまり委員会止めたくはないので、ちゃんと聞いたことに答えてください。私、今「特権」と「特例」の整理をしました。その中で、大臣は、これは「特例」としては特別永住資格というのは世に伝わっていることですから、それは多くの方が共通認識としてもらたれていると思います。しかし、これを「特権」だと思うかどうかということについてお答えくださいということです。

山谷:何度も申しておりますけれども、特例法に基づくものだと考えております。

泉:じゃあ特権ではないということでお答えいただけますね。

山谷:特例法に基づくものだと何度も答弁しております。

泉:続いて在日外国人の方々は通名使用というのがございますが、これ大臣、特権だという風にお考えになられますか?

山谷:通名制度については、特別な扱いの根拠となる法令として、住民基本台帳法、住民基本台帳法施行令でございます。従いまして、特別な扱いの根拠となる法令に基づくものだと考えております。

泉:これは改めてですが、特別な権利であるということの「特権」ということではないということで大臣、よろしいですか?

山谷:繰り返しになりますが、特別な扱いの根拠となる法令に基づくものであります。

泉:これはやはり人権感覚という意味で大事なことであると思いまして、質問させていただきました。山谷大臣ありがとうございました。続きまして有村大臣にお伺いしたいと思います…。(この後、泉議員は子ども・子育て新制度などについての質問を行っている)

出典:10月24日衆議院内閣委員会 - 衆議院インターネット中継