※この記事は2014年10月21日にBLOGOSで公開されたものです

昨日20日、在日特権を許さない市民の会(在特会)の桜井誠氏と会談を行った橋下大阪市長。21日の登庁会見で、会談の様子を振り返り、「子どもの喧嘩だ」などと批判を受けたことについて反論した。この会見の様子を維新の党によるツイキャスから書き起こしでお伝えする(一部、音声に不明瞭な部分があったためテキスト化しきれない部分がございました。ご了承ください)。


マイナスと感じる人はマイナスと感じたらいい

―昨日の在特会さんとの面会は、かなりエキサイトされましたが、あれは予定通りだったんですか?それとも挑発されたので、ああなったのですか?

橋下市長(以下、橋下):いや、まぁ予定通りですね。あのとにかくヘイトスピーチをやめるんだったら面談すると言ったわけですから。これで先方がどういう認識かわかりませんけれども、いわゆる憎悪表現、ヘイトスピーチというのは、やめてもらえるものだと僕は思っています。やめてもらえるんだったら会うという風に。

維新の党の代表として、大阪市長として、しっかり意見を聞いたわけですから。これはきちっと、維新の党、また大阪市役所、大阪市としての色々な政治行政の課題とさせてもらって、在日外国人に対する直接的な攻撃、言葉というのはやめてもらいたいですね。

だから、今度はこれで僕が直接受けたわけですから。彼らの主張に沿ったことをするのか、どうなのか。攻撃対象は大阪市や維新の党や僕に対して攻撃をしてくれればいいわけですから。彼もその辺りぐらいの論理はわかってくれるとは思うんですよ。

―あえて攻撃的な言葉を使って、「自分に掛かってこい」という思いでやられた?

橋下:「あえて」ということではないですけれども、まぁこれを受けたわけですから。特別永住制度についての問題点。これは大阪市の政治課題じゃないですから、維新の党としても、代表として受けたわけですから。一つ彼らはそれで目的は達したんじゃないですかね。

ですから、通常の表現の自由と政治的主張に切り替えてもらって、在日韓国人に対する攻撃はやめてもらって、国政政党の代表に対して、直接申し入れをやったわけですから、彼は。そこはしっかりと認識してもらいたいですね。

だから、今後は維新の党ないしは僕自身の政治活動、政治的態度、ふるまいに対して彼らは攻撃をしてくればいいと思いますね。

―市長が真剣にヘイトスピーチの問題に取り組んでいるのはわかるのですが、昨日のやり取りは市長としての立ち振る舞いとして如何なものかと

橋下:まぁそれはね、あそこの席に座ってやってみてくださいよ。そりゃ外野でいろいろ文句言うのは簡単です。当事者としてね、やってみたらわかります。

―やっぱり「おまえ」とかいうことになると、相手の土俵に上るので、単なる口喧嘩にしか見えず、市長がきちんと言うことはおっしゃったと思うんですけれども、やっぱり外から見てると喧嘩にしか見えないので、マイナスだったと思うんですけれども

橋下:いや、だからマイナスと感じる人はマイナスと感じたらいいんじゃないですか。だから、何もやらずに、ずっと外からダメだダメだ」と批判をし続けるだけ。大人のふるまいとか、市長のふるまいとして、と言うのは簡単ですけれども、じゃあやってみろと思います。

―昨日の意見交換を経て、今後大阪市として取り組むことが何か変わるとか、こういうことをしていくとかはありますか?

橋下:いや、だから彼らがどういう認識なのかということは、これで明らかになったわけですから、審議会の方で大阪市で今ヘイトスピーチの規制について審議をしてもらっている審議会に、昨日のやり取りを見てもらって、表現の自由と規制について、いろいろ考える材料になったと思いますよ。机上の論だけで考えていくと、非常に実態に即さないルールになってしまいますから。審議会がヒアリングをする手間も省けたんじゃないですか。どういう認識で、どういう考え方なのか。表現の自由についての彼らがどういう風に考えているのか、というのははっきりしたと思いますね。

だから、一つ立法事実として、しっかり昨日のやり取りを見てもらって、大阪市としてのルールを考えてもらいたいと思います。

―在特会側からすると、昨日のやり取りを聞いていると、「自分たちは表現の自由の範囲内でやっている」と。そういう意味では彼らは問題のあることをやっているという認識が…

橋下:まったくないです。だから、そういう立法事実が出てきたわけです ただ、これは非常に難しいので審議会でしっかりと議論してもらいます。

―昨日は予定時間30分ぐらいあったんですけれども、10分弱で打ち切ったのは、これ以上話しても無駄だと?

橋下:だから、とにかく批判するのが仕事だからいいんだけれども、「宣伝に使われるな」「宣伝に使われるのが問題だ」と言っていたわけでしょ。だから、宣伝に使われないように、彼らのその主張だけを一方的に述べさせないように、いろいろ僕なりに考えながら応対の仕方とか、打ち切り方とか考えながらやったつもりですけれどもね。

特別扱いするということは、かえって差別を生む

―先程「国政政党の代表として特別永住制度の問題」とおっしゃいましたが、これは維新の党として考えていくと?

橋下:僕が受けて、彼らがヘイトスピーチを辞めればですよ。きちんと約束を守って、大阪において、大阪においてに限らず、国政政党として受けた以上は、全国において、そういうね。要は在日韓国人の方に攻撃してもしょうがないわけですから。

彼が直接国政政党に代表に申し入れをしたというのは、初めてなんじゃないですか。だから、きっちりと受けて、少数野党ですからこちらの方でいろんなルールを立法をするというのは難しいですけども。ただ、彼らの言い分というのは、それは合理性があるとは思いませんけれど、受けた以上は、今後は攻撃対象は僕かあるいは維新の党に振り向けるべきだと思いますね。

しっかり、それを受けて対応しないとか、対応が不十分だとか。在日外国人の皆さんに関係ないわけですから。まぁいずれにせよ、「国政政党の代表として受けた」という事実が一番重要なことであって、中身はもう見解が違うわけですから、昨日の意見交換で何か解決できるわけじゃないんですよ。とにかく、昨日重要なことは国政政党の代表として、彼から直接の申し入れを受けたと。ですから、責任は今度国政政党である維新の党の代表の僕の方に移ったわけで、在日韓国人の方に一切責任はないわけですから、そこはしっかり考えてもらわなきゃダメですね。

※館内放送のため聞き取れず

橋下:歴史的な経緯等を踏まえて、特別永住者制度と言うものが設けられたと考えています。これを根底から根こそぎ、制度が作られた時点から否定するというのは違うと思いますけれども。ただ、同和対策事業と同じように、ある一定の年数が経ってきたときに、特別扱いするということは、かえって差別を生むんですよ。だから、しっかりとある程度の時間を置いた上で、これはもう今日本と韓国というのが主権国家同士の関係になっていると思っていますから。独立した国家と国家の関係になっていると思うので、在日韓国人の皆さんにもね、あとどれぐらいの期間なのかというのは、またこれから維新の党や政治家、国会議員と議論しなければいけませんが、在日韓国人という外国人を特別扱いするのではなくて、通常の外国人と同じようにして、永住者制度の方に一本化していくということは必要になるかと思います。

ですから、在日韓国人の皆さんには、どこかの時点で、今すぐというわけにはいかないでしょうけれども、韓国籍か日本国籍かどちらかを選択してもらって、日本国民としてやっていってもらうのか。それとも外国人として、永住者としてやってもらうのか。その辺りの判断と言うのが、もう僕らの世代以降、僕らの世代なのか、次の世代なのか、どこかで考えないと。必ず特別扱いというのは、逆に差別を生むんです。ただ、特別扱いをしなければいけない時間的な経緯というものも必要ですから。特別永住者制度というのは、そのいままでは合理性があったんでしょうけれども、今後は考えていかなければいけないでしょうね。

これは同和対策事業も同じです。被差別部落の皆さんにね、優遇措置というものをやってきて、時代と共にそういう特別扱いというものは逆に差別を生むと。もうそろろそろいいんじゃないかということで、同和対策事業というものは、だんだん一般政策に切り替わっていったと。それと僕は同じだと考えています。

だから、彼らのヘイトスピーチとか表現の方法というのは絶対許されません。が、特別永住者制度については、彼らのロジックではなくて、僕は僕なりの考え方で考えていますので。在特会というんですか。このグループの方も、国政政党に直接申し入れをして、僕は受けたんですから。直接の攻撃対象は、維新の党か、維新の党の代表の僕に攻撃対象は向けるべきだと。

通常の政治的な主張とか表現の自由まで軽視するつもりはないです。だから、昨日はとにかく受けると。通常は、直接要望は受けませんけれども、昨日は市長でもあり、国政政党の代表でもあるということで、直接話を聞いたと。だから、責任の所在が僕に移ったというところが、昨日の面談の一番重要なところです。

―これでヘイトスピーチがなくなったり、静かに議論できる環境が整えば、そういう検討に入ると?

橋下:それは鶏が先か卵が先かなんでね。こっちもちゃんと考えているぞ、ということを言ってですね。その制度が変わればどうのこうのと言ってるわけですから、少数野党なんで、直ちに法律なんか制定できませんけれども、それはそれでまず国民の皆さんが選挙で審判、選挙でしていただくことになりますけれども。とにかく国政課題として、維新の党が引き受けたんです。在日韓国の皆さんに対する直接攻撃というのはやめて、以後は態度に問題がある、「検討していない」という怠慢だというのなら維新の党と僕に対して攻撃してくればいいと思います。

※しばらく別の問題が話題となる

しかし、まぁ批判ばっかりするのはいいんですけれども、あんなところで物事を論理的に意見交換して解決することなんてあるわけないじゃないですか。

―難しいと思いますけれども、市長にはやはり大人の対応をしていただいた方が見ている人の印象としてよかったのでは?

橋下:いいんですよ。見ている人の印象なんて気にしていないですから。昨日はとにかく責任を引き受けたぞということが重要な訳で。見ている人の印象がどうであろうが、印象が悪くなろうが、別に世間の印象が良くなったからといって、ヘイトスピーチがなくなるわけでもなんでもないんだから。昨日で、一番重要なことはとにかくもう責任はこっちが引き受けたんだという事実が明らかになったので思うので。

罵りあって言えなかったとしても、とにかく直接面談して話を聞いたわけですから。後はこっちは引き受けたんで、在日韓国人に対する直接攻撃というものは、これはもう約束を果たしてもらいたいですね。やめてもらいたいですね。それを辞めるんだったら、きちんと対応するよ、ということを言ったわけですから。そこはしっかりと彼らに約束は守ってもらいたいですよ。

特別永住者制度についても、彼らのロジックと彼らの表現は一切それは許しませんけれども、ただ僕は僕なりに時間の経過とともに特別扱いとは、とにかく差別を生む要因にもなるので、時期が来て、機が熟したならば、この特別移住、「特別」というのはなくして、通常の永住者制度の方に一本化していくべきというのは、昔から言ってたことですね。それはまた、国政政党として考えます。

―昨日は、在日の方があれを見てね。市長がどんなことをやっていただけるのか、という風に注目して見ていて…

橋下:それはだから全然違いますよ。それはね、わずか30分でね、向こうは向こうで、何年かわかりませんけれども、活動をやってきて自分たちの価値観でやってきたわけでしょ。朝日新聞の慰安婦報道だって間違いを認めるのに32年もかかっているわけじゃないですか。そんなの30分で変えれるわけないですよ。

昨日で一番重要なことは…。在日コリアンのNPOの事務局長もしっかりと考えてもらいたいのは、一体じゃあ何のためにやっているのかとかね。もうちょっとね、他人に対する配慮というか在日コリアンの何とかNPOというところももうちょっと考えてもらわないと。自分たちの意見ばかり一方的に言って「こんなことやっていても意味がない」「こんなことやってもしょうがない」と言ったら、誰も動かなくなりますよ。

なんで、こんなことやってるのかと言ったら、責任が在日韓国人の方に今彼らは、その責任を持っていて攻撃対象にしているわけですから。弁護士だったら当たり前ですけれども、自分のクライアントの方に攻撃が行った場合にどうするか、といったらまずは弁護士の方に、こっちが引き受けるんだというところからスタートするわけですよ。昨日はそれですよ。受任通知って奴ですよ。

今後の問題は、こちらが引き受けるんだから、「こっちに言って来い」という受任通知の最初の手続きです。あそこで何か物事を解決するとか、相手方を考え方を変えさせるとか、そんなん無理に決まってるじゃないですか。そういうことをちゃんと言ってください。昨日の目的は何なのか。

報道ではみんな「意味がない」とか「子どもの喧嘩」だって言いますけど、弁護士で紛争にバァーと入っていって、喧嘩であろうが何だろうが、「クライアントのところに行くな、弁護士の方に言って来い」というところからスタートするわけで。昨日は、その手続きが完了したと僕は思っています。

だから以後、在日韓国人の方に行くっていたらルール違反ですよ。僕がこれを引き受けたんだと。ということくらい、まず伝えてください。そこは言ってください。弁護士でいうところの受任通知だと。在日韓国人の方に行くな!と。こっちが引き受けたんだという通告だったんです、昨日は。これからは、僕らがいろいろ考えて問題があるんだったら、在特会は維新の党の代表の僕に言えばいいわけですから。そういう手続きです。

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