不動産広告で頻繁に目にする「駅から徒歩〇分」の表示。住まい探しの参考にしたことがある人は多いでしょう。最寄り駅に近ければ近いほど通勤やお出かけの際に便利ですが、その分だけ物件価格も上がることが多く、悩みどころです。住宅購入者やこれから住宅を購入予定の人は、徒歩何分程度まで許容しているのでしょうか。ARUHIマガジンによる「住宅購入に関する調査2022」の結果から紹介します。

駅までの距離を気にしない人が増加?

【住宅購入者】最寄り駅までの徒歩分数

ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

まずは、すでに住宅を購入した人に、最寄り駅まで徒歩何分の家を購入したか聞いたところ、平均の徒歩分数は17.5分(中央値11.5分)でした。
割合で見ると、「5分未満」が8.3%、「5~8分未満」が最多で20.0%、「8~10分未満」が8.0%、「10~13分未満」が14.7%、「13~15分未満」が1.0%、「15~20分未満」が15.7%という結果に。3分の1以上の人が徒歩10分未満の家を購入しており、徒歩13分未満まで含めれば半数以上を占めています。その一方、最寄り駅まで30分以上という人も19.0%と、2割近くいる結果となりました。

【最寄り駅までの徒歩分数】住宅購入者の平均額と中央値

ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

2021年度の同調査と比較すると、住宅を購入した人の最寄り駅までの徒歩分数は2021年時の平均14.6分(中央値10分)から2022年には平均17.5分(中央値11.5分)と、平均2.9分(中央値1.5分)増加。最寄り駅まで30分以上かかる人も2021年時の12.0%から19.0%と7.0ポイント増加していることから、最寄り駅までやや距離があっても許容する人が増えつつある傾向が見て取れます。

【住宅購入検討者】最寄り駅までの徒歩分数

ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

住宅購入を予定している人に購入予定物件の最寄り駅までの徒歩分数を聞くと、平均の徒歩分数は12.5分(中央値10分)でした。割合で見ると、「5分未満」が3.0%、「5~8分未満」が21.3%、「8~10分未満」が1.3%、「10~13分未満」が最多で34.3%、「13~15分未満」が0.3%、「15~20分未満」が22.7%という結果に。徒歩10分以内と回答した人は全体の4分の1程度、徒歩13分未満の人まで含めると約6割を占めています。住宅購入者と比べて徒歩分数が短いことから、検討時には駅に近い物件を求めているものの、実際には予算などの関係で許容範囲を広げて購入していることが推測できます。

【世帯年収別】最寄り駅までの徒歩分数

ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

住宅購入者と住宅購入検討者の最寄り駅の徒歩分数について世帯年収別で見ると、年収400万円未満の世帯が平均17.7分(中央値15分)、年収400万円~700万円の世帯が平均16.2分(中央値15分)なのに対し、年収700万円~1,000万円未満の世帯は平均15.3分(中央値10分)、年収1,000万円以上になると平均10.8分(中央値10分)と、年収が上がるごとに最寄り駅から近い物件を求めていることが分かります。

【未既婚別】最寄り駅までの徒歩分数

ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

住宅購入者と住宅購入検討者の最寄り駅の徒歩分数について未既婚別に見ると、子どもがいる世帯の最寄り駅からの徒歩分数が平均16.1分(中央値12分)なのに対し、独身・単身者が平均15.3分(中央値10分)、子どものいない既婚世帯が平均14.7分(中央値10分)と、子どもがいる世帯は最寄り駅まで歩く距離がやや長い家を選ぶ傾向がうかがえます。

【物件種別】最寄り駅までの徒歩分数

ARUHI「住宅購入に関する調査2022」調査結果より

住宅購入者を対象とした物件種別ごとに見ると、最寄り駅からの徒歩分数が最も短いのは新築マンション、次いで中古マンションで、マンションは最寄り駅から近い物件が好まれる傾向が見て取れます。
ただし、いずれも2021年時の調査結果と比べると、新築マンションが2021年時の平均6.9分(中央値5分)から2022年は平均9.7分(中央値8分)に、中古マンションが平均10分(中央値8分)から平均13.8分(中央値10分)と、いずれも最寄り駅までの徒歩分数が増加傾向にあることも分かりました。

まとめ

住宅を購入する上で、最寄り駅までの徒歩分数は多くの人がチェックするポイントです。しかし、今回の調査結果から、駅までの距離をさほど気にしない人が増えていると考えられます。テレワークの普及により自宅で働くスタイルが定着しつつある今、住宅購入時にはライフスタイルに合わせて最寄り駅までの距離を考えてくださいね。

【調査概要】
調査エリア:全国47都道府県
調査対象者:住宅購入経験者(直近1年以内)・検討者(直近3年以内)の25~69歳の男女
調査期間:2022年2月25日~3月2日
有効回答数:600サンプル
調査手法:クロス・マーケティングモニターへのインターネット定量調査
調査機関:株式会社クロス・マーケティング