とんだ林蘭のクリエイティブが生み出す、「あ!かわいい!」のきっかけ
人気アーティストのとんだ林蘭さん。独創的な数々の作品で、チャーミングかつ刺激を与えてくれる彼女の世界観とルコックスポルティフのアイコン的スニーカー“MONTPELLIER(モンペリエ)”をアレンジした“CRÊTE(クレテ)”が邂逅することで、どのようなアートが生まれたのでしょうか?
今回は、その“CRÊTE”のキービジュアル制作にまつわるお話から、とんだ林さんのスポーツとの関わり方、ルコックスポルティフやフランスに対するイメージなどを伺いました。
普段の自分の作風を活かしながらCRÊTEとの相性を楽しむ
――今回ルコックスポルティフのスニーカー、CRÊTEのビジュアルをディレクションされたということで、お話を伺いたいのですが、普段からスニーカーを履かれることはありますか?
結構履きますね。ライブを観に行ったりだとか、立ってる時間が長いときは履くことが多いです。
――どういったスニーカーが好きですか?選ぶ基準はありますか?
使用頻度が高いのは無難な白とか黒が多いんですけど、割とコンパクトというよりはボリュームがある感じのものを選ぶことが多いですね。
――そういったスニーカーとはちょっと違ったアプローチのCRÊTEを一番最初に見たときの印象を教えてください。
無駄がまったくない感じで、すごくシンプルだけど、出っ張りのない平面的なのに、オリジナリティがデザインで出てるのがすごいな、と思いました。上品な印象でしたね。あとすごく軽いですよね。シューレースも2本付いているので、付け替えて楽しめそう。
――今回のビジュアルで花、コイン、口紅、毛糸、泡…など、CRÊTEとは接点がなさそうだけど、誰もが目にしたことのある生活のなかにあるようなモチーフがCRÊTEと組み合わせられていたんですが、制作にあたって掲げたテーマみたいなことはありますか?
最初にご依頼していただいたときに、自由に作って大丈夫と言われて、それだから依頼してくださったということもあって、普段の自分の作風を活かすように考えました。
いつもの自分の作品っぽく、どっちかって言うとスニーカーに合わせると言うよりも自分の世界観の中に取り入れていくようなイメージでした。割と私が普段よく使うモチーフとか好きなテイストを遊びながらその場で考えながらやっていった感じです。
あと、足元はモチーフとして好きなんですよね。
――普段のとんだ林さんの考えられてるこの世界観とCRÊTEを結び付けようと思ったときに、苦労したことや面白かったことなどはありましたか?
色が白とか黒とか普段自分でも履いたり買ったりするカラーではなく、ニュアンス的な柔らかい色味とかは普段作品を作るときに選ばない色なので、何を合わせたらかわいいかな、と考えるのが難しかったですね。
――普段もっとヴィヴィッドなカラーを使った作品が多いイメージだったので、今回はその真逆になる中間色というような色味のシューズですもんね。
やる前は「うまくいくかな…!?」と不安もあったんですけど、実際やってみたらあまり違和感なくできたと思っています。
――今回のこの作品に限らず、こういうモチーフを何か使ってみようっていうのって、どんどん思い浮かんでくるんですか?
思い浮かんでくるというよりは、割といつもそうなんですけど、家にあるものでやろうと思うことが多くて。
ちょっと買い足したりとかはあるんですけど、今あるものでどうやるかみたいなのが発想の原点というか、そういう考え方なので。これをこうしたら面白いんじゃないか、って思うことをあるものでやっているような感じですね。
――自分の生活の延長線とか、地続きになっているところにそういうヒントが落ちてることが多いんですね。今回のCRÊTEをどういう方が履いたり、興味を持ったりするかということを想像してビジュアルに活かしたことなどありますか?
普通このCRÊTEを買う層じゃないところにアプローチできたら良いのかな、とは思いました。私も普段こういうタイプのスニーカーは選ばないので、今回のビジュアルを見て「あ! かわいい!」というきっかけになってくれたら一番良いと思ってます。
――安直に考えると今回のCRÊTEのようなシューズにはエレガントな小道具を合わせたりしそうですもんね。今回の作品に限らず、普段制作をやられるなかで、どういうことからインスピレーションを受けることが多いですか?
身のまわりのものとかが多いんですけど、結構ファンタジーみたいなものも好きなので、合成とかで絶対ありえないような状況を見たい気持ちはあるんです。
でも登場するモチーフは誰もが見慣れているネジとか花とか食べ物とか、誰もが知っているモチーフの見え方が変わるのが好きなので、わざわざインスピレーションをもらいにどこかへ行ったりとかいうことはあまりないですね。
――家の中で必要な家電にしろ雑貨にしろ、選ぶときは別に作品に使おうと思って選んでいるんではないんですよね!?
そうですね。基本的にはそうなんですけど、スーパーとか東急ハンズ、ドン・キホーテとか行ったときに、「あ、なんかこれ使えそう」とか、単純に日常にはいらないけど今回も使ったピザの食品サンプルとか、かわいいから買って集めているものもあります。
――ルコックスポルティフというブランドはフランス発祥のスポーツブランドなんですが、とんだ林さんがフランスに対して抱いてるイメージみたいなものってありますか?
フランスは、18歳のときに文化服装学院に通っててそこで希望者を募って1回だけ行ったことがあって。それが私の初めての海外旅行だったんです。
学生のすごく安い旅行だったから、治安の悪い地域のホテルで、毎年その旅行ではスリの被害も多いと聞いていて。親とかも心配してるし、先生とかもこういう国だから気を付けなさいと言ってるので本当に怖がりながら行きました。
空港からホテルの目の前にバスが停まって、バスからホテルに入る瞬間に1人窃盗に遭ったんです。だから、やっぱり怖いとは思ったんですけど、やっぱり初めての海外なので全部新鮮で楽しかったし、街もきれいでした。いる人もファッションも素敵で初めての海外だったので思い入れはあります。
12月に行ったのでとても寒かったし、怖いとかマイナスイメージから入ったので、次にまた訪れたら楽しめる気がするので、行きたいですね。
――普段からスポーツはやられますか?
筋トレみたいなことを家でやってるぐらいで、一時期水泳も週2回ぐらい通ってた時期もありました。コロナ禍で行けなくなってしまったので、家でトレーニングをやるだけになってしまったんですけど。
筋トレやプールも、20代のときみたいに代謝が良くないから、カラダのことを考えて始めたんですけど、プールで泳いでると非日常感を味わえるというか。楽しいというのもあるんですけど、自己肯定感が上がって前向きになれるというか。
まだ、わざわざやっている意識があるのでもっと日常的にやれるようになれたら良いですよね。部活だと、中学校のときにソフトテニスをやってて、それはすごく頑張っていたので、運動は嫌いではないです。
――ルコックスポルティフはテニスと親和性の高いブランドだとご存知でしたか?
私たちが中学のときって価格帯もあるかもしれませんが、まだそんなに使っている人がいなくて。
でも、20代前半のこういう仕事を始めたぐらいのときに出会ったカメラマンさんがいて、すごくおしゃれなんですけど、ルコックスポルティフの古着のトレーナーみたいなのを着ていて、ロゴがかわいいから集めてると言われてて。それを見たときにルコックスポルティフのウェアがかわいいな、と意識しました。
――そういった筋トレやプールはカラダのことを考えてやっていると言われてましたが、日々の生活のなかで決められてるマイルールみたいなもの、これだけは絶対毎日やってることなどありますか?
ルールを決めるというのがすごく苦手で。
というのも、もともといろんなことを気にしちゃうタイプだから、小学校のときとか中学校のときとか校則で先生に怒られたらヤバいよね、と真面目に思っちゃうタイプなので、その縛られるのが嫌で、毎日何々しないとダメとか、毎日絶対筋トレするとか決めたとしたらできない日があったらすごく気にしちゃうんですよ。決めたのにやってない!とか。だからルールを決めないのがルールかもしれない。
あと、毎日やってるのは、チンチラを飼ってるんですけど、その散歩は絶対やる。自分が飼いたくて飼ってるんだから、それだけは責任持ってやる、ということは決めてます。
それと、誘われて行くというのが結構苦手なタイプで、すごく近い友達とかなら良いんですけど、誰が来るか分からないときには、楽しめるかな…と考えてしまって。だから遊びに行ったりご飯食べに行ったりするのは自分で計画しようっていうのは決めています。楽しい機会は自分で作りたいタイプですね。
――制作のために日々決めていることなどはありますか?
夜は仕事をしたくないと思っているので、なるべく夕方までに仕事を終わらせるというのは、なんとなく決めてます。夕方までの日が出てる時間までに終わらせて、夜はゆっくりしたり友達と遊んだりしたいですね。
――最後に、今回のCRÊTEをとんだ林さんが履くときに、どんなコーディネートをしたいなと思いますか?
普段はスニーカーだとミニドレスとかワンピースに合わせたりすることが多いんですけど、このCRÊTEだったらメンズライクなコーディネートで、ちょっと太めのパンツにTシャツとかと合わせたいですね。