【期限は3月15日まで!】会社員で確定申告が必要なケース・申告忘れのペナルティを最終確認
年末調整が終わり、過納分が還付されたしこれでOK!確定申告なんて関係ない…と思ってはいませんか? 会社員などの給与所得者だとしても、なかには確定申告が必要な場合があります。どんな場合に確定申告が必要なのか、確定申告しなかったらどうなるのか、池永経営会計税理士法人の税理士・谷口真一さんに解説していただきます。
当てはまるなら税務署へ! 確定申告が必要な代表的な例
給与所得者でも、確定申告が必要な場合があります。代表的なものは次の通り。一つでも当てはまったら確定申告をしましょう。
[確定申告が必要な代表例]
・給与総額が2,000万円を超える
・不動産や株式等の財産を売却した収入がある
・給与を2ヶ所以上からもらっている
・副業による収入・所得が20万円を超える・ふるさと納税が2,000円を超える
・住宅ローンの返済を始めた
・特定公益増進法人への寄付金が2,000円を超える
・保険で補えない医療費がある
・セルフメディケーション対象の医薬品の購入額が1万2000円以上ある
特に上の4項目は、納税義務が生じることがあるので、確定申告は必須です。ほかにも確定申告により税金が還ってくることがあります。主な項目について説明します。
・給与総額2,000万円
所得税法では、給与が2,000万円を超える方については年末調整の対象外となるため、確定申告が必要です。
・不動産や株式等の財産を売却した収入がある
株式等を売却し譲渡益が発生した場合、この利益は課税の対象となり、確定申告が必要となります。売却する不動産の所有期間が長期(5年超)か短期(5年以下)かによって適用する税率が異なります。他の所得と合わせて確定申告が必要です。
・副業による収入、所得
給与を2カ所以上から受けていてかつその給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超えると確定申告が必要となります。
・住宅ローンの返済を始めた
住宅ローンを利用し始め、住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けるためには、初年度に確定申告が必要です。毎年申告する個人事業主の方などはもちろん、通常は確定申告の必要のない、年末調整が受けられる会社員等であっても、確定申告が必要になります。2年目以降は、会社員等であれば、年末調整での手続きすることもできます。
・寄付金控除
国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、2,000円を超える寄付をした場合に受けられる控除のこと。例えば、災害復興を支援する公益団体に2,000円を超える寄付をした人、ふるさと納税でご当地食材を入手した経験のある人はこれに該当します。ワンストップ特例制度を使っている方でも、医療費控除等の適用を受けるために確定申告をする場合、ふるさと納税の金額を記載して寄付金控除を受ける必要があります。
・医療費控除
申告する方やその方と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費がある場合、所得金額から差し引くことができる控除のことで、最高で200万円の控除を受けられます。例えば、がん治療や不妊治療といった高額医療費や、通院の際に利用したタクシー代などの交通費も含まれます。ただし、医療費控除を受けるためには、「医療費控除の明細書」を所得税の確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。また、医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。
・セルフメディケーション税制
予防接種や健康診断など、健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取り組みを行っている方が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他親族のために、その年中に1万2,000円以上の対象医薬品を購入した場合、セルフメディケーション税制が受けられます。セルフメディケーション税制の対象となる医薬品や、医師から処方される医療用医薬品、薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品(例:頭痛薬、点鼻薬、軟膏)なども含まれます。購入した際にレシートに控除対象であることが記載されるため、確認しておくといいでしょう。ただし、通常の医療費控除と同時に適用することはできないため、どちらの控除を受けるか選択することになります。
なお、セルフメディケーション税制の対象商品一覧は、厚生労働省のHPから確認できます。
参考:厚生労働省|セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
確定申告の期限を過ぎてしまったら? 還付金は受け取れる? ペナルティは?
確定申告の期限は、毎年2月16日から3月15日の間と所得税法で定められています。期限内に確定申告を忘れた場合、期限後申告として取り扱われます。還付金があれば受け取れるものの、期限後申告をした場合は申告等によって納める税金のほかに、ペナルティとして「無申告加算税」が課されます。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告した場合、無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
ただし、期限後申告が法廷申告期限から1ヶ月以内に自主的に行われる場合や、期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当するとみなされた場合は、無申告加算税は課されません。
また、期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となります。納付の日までの延滞税と併せて納付する必要があります。延滞税の計算方法は国税庁のホームページで確認しましょう。
参考:国税庁|延滞税の計算方法
まとめ
給与所得がある人は、所属する企業で年末調整を受けていると確定申告をする必要がないと思いがちですが、必ずしもそうではありません。今回のチェックリストや国税庁のホームページを確認し、確定申告が必要かどうかを確認しておきましょう。
【取材協力】
税理士 谷口 真一さん
税理士・社会保険労務士・行政書士・中小企業診断士などを中心に、中小企業の経営者を総合的にサポートする専門家集団、池永経営会計事務所所属。顧問先企業の発展と地域経済の活性化のため、経営者に寄り添い、企業の将来を考慮した税務アドバイスを行っている。
ホームページ https://1ikenaga.jp/