チョコソースが決め手。バレンタインを彩る「ハンバーグプレート」【和知シェフ考案】
肉マイスター直伝。バレンタインディナーレシピ
なかなか気軽に外出できないご時世だからこそ、バレンタインはおうちでスペシャルディナーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
レシピを教えてくださるのは、肉好きの聖地とも呼ばれる銀座の名店「マルディグラ」の和知 徹シェフです。料理名は「チョコレート赤ワインソースのハンバーグプレート」。
「本格的というと、作るのがむずかしそう……と躊躇しがちですが、少し手間をかければおうちでもちゃんと作れます。家庭で作ると固くなりがちなハンバーグは、ちょっとしたテクニックでふっくらジューシーな仕上がりになりますよ。一度覚えてしまえば、得意料理のひとつになるはず。
また、今回はワンプレートで楽しんでいただけるように、付け合わせのレシピもご紹介します」
メイン:ハンバーグ
材料(2人分)
調理時間:約30分(※寝かせる時間は除く)
・食パン(耳を切り落として4等分に切る)……60g
・牛乳……100cc
・合い挽き肉……400g
・玉ねぎ(みじん切り)……1個分(100~200g)
・卵……1個(M玉)
・にんにく(みじん切り)……2片
・塩……約5g(肉の1.2%)
・こしょう……適量
作り方
1. 食パンを牛乳に浸す
食パンを牛乳に浸します。
「ふわふわに仕上げる秘訣は、パンと牛乳の量です。牛乳の量を増やせばさらにやわらかくなりますが、裏返すのが大変になるので、この分量が家庭でできる限界だと思います」
2. パティを作り、成形する
氷を入れたボウルに空のボウルを重ね、合い挽き肉、玉ねぎ、卵、にんにく、塩、こしょう、1を入れて混ぜ合わせます。パティを2等分し、オリーブオイル(分量外)を手に塗って成形します。
「食パンを先に潰しながら全体を混ぜていくとなじみやすいですよ。このパティは生地がかなりやわらかいので、まとまるまでしっかり練りましょう。合い挽き肉の油が白くなるまで練るのが目安です」
「ちなみにオリーブオイルを手に塗るとで成形しやすくなりますし、パティの表面に艶ができて焼き上がりがきれいになります。空気が抜けないくらい生地がやわらかいので、丸くまとめるだけで大丈夫。最後に真ん中を少しへこませましょう。
この分量だとかなり大きいハンバーグになりますが、見た目がダイナミックでサプライズ感があります。もちろん調整してもOKです」
3. フライパンで焼く
中火で熱したフライパンに、大さじ1杯のオリーブオイル(分量外)を引き、2を並べたらフタをし、弱火で5分焼きます。焼き色がついたら裏返し、フタをしてさらに10分焼きます。
「IHを使用している方や香ばしさつけたい方は、焼き始めは中火よりも少し強めを意識するとよいでしょう。パティを入れたら弱火にしてくださいね。
裏返すときに崩れないコツは、フライ返しの反対側を菜箸でサポートしてあげること。あとは、思いっきり持ち上げると崩れてしまうので、やさしく持ち上げてくださいね」
4. フタをしたまま寝かせる
焼きあがったら、中までしっかりと火を通すため、フタをしたまま15分寝かせます。
「焼き上がりの目安は、金串をハンバーグにさして自分の肌に当てたときに50度くらいの温度であればOK。お風呂の温度は、大体42~45度くらいですよね。それよりも少し熱い温度が目安です。竹串だと肉の内部温度を確認できないので、金串を1本そろえておくといいでしょう。
そのほかにも、肉汁が透明であること、焼いた時間だけ寝かすということを守れば、生焼けの心配はほぼありません」
ソース:チョコレート赤ワインソース
材料(2人前)
調理時間:約20分
・バター(有塩、無塩どちらでもOK)……30g
・にんにく(みじん切り)……15g(2片)
・玉ねぎ(みじん切り)……1個分(100~200g)
・ビターチョコレート(カカオ量が多いもの)……1枚
・赤ワイン……375cc(ハーフボトル1本分)
・鶏ガラスープの素……大さじ1杯(和風のだしパックでもOK)
・塩……小さじ1/4杯
「ワインを普段飲まない方は、ハーフボトルなら使い切れます。飲まれる方はフルボトルを1本買って、半分料理に使い、もう半分は料理を食べながら飲むのもおすすめですよ。
銘柄は何でもよいのですが、おすすめはチリやオーストラリアなど南半球で生産されたワイン。色素が強いので、ソースに適しています」
作り方
1. 玉ねぎを炒める
中火で予熱した鍋にバターを入れ、溶けたらにんにくを入れて香りを立たせます。玉ねぎ、塩を入れてバターとなじませるように混ぜ合わせます。
「玉ねぎに塩をかけて炒めると、水分が出てえぐみが飛びます。これを料理人の世界では、 “玉ねぎが汗をかく” と言います。
さらに炒め続けると甘みだけが残り、水分と一緒にその甘みが玉ねぎに浸透するのです。なので、しっかり塩をふって炒めることが、おいしく作るコツですね」
2. 赤ワインを入れて煮詰める
1に赤ワインを入れ、中火で沸騰させます。沸騰してから5分ほど中火のまま煮詰め、アルコールが飛んだら鶏ガラスープの素を入れてさらに5分煮詰めます。
3. ざるでこし、チョコレートを入れる
ざるでソースをこしたら鍋に戻し、中火でさらに5分火にかけてチョコレートを手で割りながら入れます。やさしく混ぜて、さらに5分ほど煮詰めたら完成。とろみのあるソースが好きな方は、最後にお好みで水溶き片栗粉を加えます。
「こすときは、ヘラで軽く押してしっかりと絞りましょう。ちなみに、残った玉ねぎはバターと合わせて赤ワインバターにするのがおすすめ。玉ねぎ50gに対して有塩バター100gを混ぜ合わせ、ラップを使って筒状に成形して冷蔵庫で1時間固めれば完成です。冷凍保存もできて、レーズンバターのようにお酒のつまみにもなります。
残ったソースも、いろいろな料理と合うので小分けにして冷凍しておくと便利です。冷凍保存は3か月を目安にしてくださいね。解凍するときは、冷蔵解凍すると扱いやすいです。食べるときには温めてください」
付け合わせ:具だくさん野菜のケチャップライス
材料(2人分)
調理時間:約35分(※蒸らす時間は除く)
・米……300g(無洗米も可)
・玉ねぎ(みじん切り)……1個分(100~200g)
・お好みの野菜やきのこ類……計200g
・水……300cc(無洗米の場合は360cc)
・ケチャップ……100g
・バター(有塩、無塩どちらでもOK)……50g
・塩……小さじ1/4杯
・こしょう……適量
「野菜は冷蔵庫に余っているものでOK。いろいろな野菜を入れると華やかになり栄養もとれるのでおすすめですが、1~2種類でも問題ありません。
今回は、ミニトマト、芽キャベツ、さやいんげん、さやえんどう、そら豆、マッシュルームを入れています。包丁で切らずに使える野菜を選ぶと、少し手間が省けますよ。お子さんと一緒に作る場合は、野菜のヘタやスジ取りを手伝ってもらうといいでしょう」
作り方
1. 玉ねぎを炒める
中火で予熱した鍋にバターを入れ、溶けて香りが出てきたら、玉ねぎと塩、こしょうを入れて軽く混ぜます。玉ねぎから水分が出るまで炒めたら、弱火にします。
「ソースのときと同じように、玉ねぎにしっかりと汗をかかせましょう」
2. 米と野菜を入れて混ぜる
玉ねぎが甘い香りに変わったら、米を入れて中火に戻します。玉ねぎと米をなじませ、バターが全体に絡んだら、すべての野菜を入れて混ぜ合わせます。
「吸水させないために、米は洗わずに使用します。玉ねぎと米をなじませることによってバターの膜ができ、米の粒がつぶれにくくなるんです。また、焦げ付きが気になる方は作業中は弱火に変えても大丈夫です」
3. 水とケチャップを入れて10~15分炊き込む
水とケチャップ入れ、鍋にフタをしたら中火で沸騰させます。沸騰したら、弱火に変えて10~15分炊き込みます。
「ケチャップは混ぜると焦げやすくなってしまうため、上からのせるだけにします」
4. フタをしたまま15分蒸らす
炊き上がったら、フタをしたまま15分蒸らします。蒸らし終わったら、よく混ぜ合わせて完成です。
「鍋は土鍋でも問題ありませんが、密閉性が高いものがおすすめ。もちろん炊飯器で作っても大丈夫ですよ。その場合は2までを鍋でおこない、3の工程から炊飯ジャーに移しましょう」
大切な人と毎年食べたい。特別なおうちディナー
「きれいに盛り付けるコツは、最初にハンバーグをお皿にのせて位置を決め、ケチャップライスは少量ずつのせること。ソースも少しずつかけてくださいね。大きめのお皿に盛りつけると、バランスよく見えます。
ハンバーグの上に旗を立てたり、イチゴを添えたりすると色味が華やかになり、バレンタインらしくなりますよ」
ふんわりジューシーなハンバーグに取材陣は感激。ソースは心地よいチョコレートの風味を感じ、バレンタイン気分が楽しめます。甘すぎず、濃厚なデミグラスソースに似た深い味わいで肉と相性抜群です。
バレンタインディナーの定番にしてほしいと、和知シェフが考案してくれたスペシャリティなプレート。大切な人とゆっくり過ごしたり、お子さんと一緒にパパをねぎらったり……思い出に残る素敵な日に、華をそえてくれることでしょう。
取材協力
店舗名:マルディグラ
電話番号:03-5568-0222
最寄駅:JR各線 新橋駅 徒歩3分東京メトロ各線 銀座駅 徒歩5分
郵便番号:104-0061
住所:東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビルB1
市区町村:中央区
町域:銀座8-6-19 野田屋ビルB1
営業時間:平日ディナー 18:00~00:00(L.O.23:00)土ディナー 17:00~23:00(L.O.22:00)祝ディナー 17:00~23:00(L.O.22:00)※2022年1月現在、東京都の要請に伴いディナー17:00~21:00の営業です。
定休日:日曜日
取材・文/鎌上織愛
撮影/宮本信義