住宅ローン減税を13年間受けられる分譲住宅や中古住宅購入、リフォームの契約期限が、2021年11月30日までと迫っています。12月以降に契約した分譲住宅等の減税はどうなるのでしょう。13年間の住宅ローン減税を受けられる期限と今後の動向について見ていきましょう。

住宅ローン減税の基本的な仕組み

住宅ローン減税(住宅ローン控除)とは、住宅ローン残高の一定の金額が、所得税から控除される制度です。所得税から控除しきれなかった分は、住民税からも一部控除されます。

正式名称は、「住宅借入金等特別控除」といいます。減税率、減税期間、最大の減税額などは毎年の税制改正で見直されます。

住宅ローン減税の減税期間は本来10年間ですが、2021年度はコロナ禍の経済対策として、一定の契約期限や入居期限の条件を満たした場合、減税期間は13年間に延長されています。マンションや分譲住宅、中古住宅の購入、増改築については2021年11月30日までに契約を結び、2022年12月31日までに入居すれば、13年間の減税を受けられます。

2021年度の特例を受けた場合の減税率や減税額は下図の通りです。

国税庁「パンフレット「暮らしの税情報」(令和3年度版)マイホームを持ったとき1」の内容をもとに筆者作成

なお注文住宅の新築は、控除期間が13年となる条件の2021年9月30日までの契約期限がすでに過ぎています。2021年10月1日以降に建築請負契約を結び、2021年12月31日までに入居した場合については、本来の減税率である年末の住宅ローン残高の1%が10年間減税されます。

また、2021年12月1日以降12月31日までに契約して2021年12月31日までに入居したマンションや分譲住宅、中古住宅の購入、一定のリフォームについても、減税率は1%で減税期間は10年間となります。

出典:国税庁

減税制度の今後の動向

では、2022年以降に契約や入居した場合の住宅ローン減税はどうなるのでしょうか。

まずは、1%の減税率が2022年以降も続くかどうかです。低金利が続き、現在は8割近くの人が1%を下回る借入金利(※1)で住宅ローンを借りており、支払金利より減税額が多くなっているのが現状です。たとえば、変動金利0.7%で借りている人が1%の住宅ローン減税を受ければ、残高の0.7%の利息に対し1%の税金が還付されます。これでは住宅ローンを借りない人との間で不公平が起きてしまいます。

減税を受けるために必要のない住宅ローンを組んでいる状況が見られ、見直しが必要だと2018年に会計検査院(※1)から指摘が入りました。この指摘を受けて2021年度税制改正大綱(※2)に、2022年から住宅ローン減税の減税率や減税額を見直すことが明記されました。

※追記※11月18日には自民党税制調査会で、2022年度の税制改正に向け「住宅ローン減税」で、ローン残高の1%としている控除率の縮小などについて、検討を進めることで一致したと報道されています。

この流れを受けて、2022年度の住宅ローン減税の減税率は1%未満となる可能性も出てきています。

減税率が1%となるのか、減税期間は10年のままなのか、最大の減税額はいくらなのかわからないのが現状です。2021年12月下旬に発表される「2022年度税制改正大綱」で注目したいところです。

ケース別チェック項目

住宅ローン減税の適用要件は購入する家のタイプによって詳細が異なります。最後に、家のタイプ別に住宅ローン減税を受けるための基本事項を整理しておきましょう。

売り主が個人の中古住宅を購入する場合、年間の最大減税額は20万円となりますので注意しましょう。

以上、2021年10月時点の情報に基づいたチェック項目です。毎年の税制改正で見直される場合がありますので、最新の情報をご確認ください。

参考サイト
※1 出典:会計検査院「平成30年度決算検査結果報告の概要」385・386ページ
※2 出典:自民党ウェブサイト「令和3年度税制改正大綱」7ページ

国税庁
No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)