A15 Bionic
Apple

先日、「2022年のiPhone 14(仮)に搭載されるプロセッサは、台湾TSMCが3nmプロセス製造への移行に苦戦しているため、iPhone 13シリーズのA15 Bionicと同じく5nmプロセスになる」との観測が伝えられていました

それに続いて、iPhone 14用のA16(仮)に使われる製造技術はは、TSMCの「N4P」と呼ばれる世代であるとの噂が報じられています。

2020年のiPhone 12および第4世代iPad Air向けA14 Bionicチップには5nmプロセスが採用されていますが、2021年のiPhone 13シリーズや第6世代iPad mini搭載のA15には「N5P」、つまり5nm製造プロセスの改良版が使われています。

これらは半導体最大手TSMCの持つ最先端の量産技術であり、同社にとって最大の顧客であるアップルの製品に対して優先的に使われることが恒例となっています。

が、先日のThe Informaiton報道は、TSMCが次世代となる3nmプロセスへの移行に難航しているため、来年のA16も引き続き(iPhone用チップとしては3年連続で)5nmプロセスが使われると述べていました。

半導体製造における「製造プロセス」とは、回路線幅のこと。一般的には7nmや5nmといった数字が小さくなるほどトランジスタ集積度が高まり、結果的に処理速度や省電力性能も改善される傾向があります。

以前TSMCが公表したロードマップ表では、3nm技術は5nmよりも一般的に演算性能を10%〜15%向上できる一方で、消費電力を25%〜30%削減できるとされていました。

今回の噂の発端は、台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesです。同誌によると、「アップルはTSMCの4nmプロセスを採用する可能性が高い」とのこと。

となると4nmプロセスなのか……と思いますが、しかし米MacRumorsは、TSMC側がこの“4nmプロセス”を「N4P」と呼び「TSMCの5nmファミリーの3番目の大きな強化」だと説明していることを指摘しています。

TSMCは本技術を「N4P」と名付けながらも、公式リリースには「4nmプロセス」とは一言も記さず、あくまで「5nm技術プラットフォームの性能重視の強化版」と位置づけています。

ここから類推すると、実態は回路線幅は5nmのまま、上述の「N5P」に改良を加えて4nm相当の性能に近づけた“ブランド名“である可能性も推測できるわけです。

ともあれTSMCは「N4P」の性能向上率として、N5(初期5nmプロセス)よりも省電力性能が22%改善し、トランジスタ密度も向上しているとうたっています。

こうした性能向上が期待できるプロセスであれば、少なくともA16の中身がA15と同じで、ラベルを貼り替えただけ、という事態は避けられそうです。

Source:DigiTimes

via:MacRumors