年末残高証明書は、住宅ローン控除を受ける際に提出しなければならない書類です。この証明書がないと年末調整や確定申告時に住宅ローン控除の申請ができなくなります。そのため、もしも紛失した場合は、早めに再発行の手続きをすることが大切です。

この記事では、年末残高証明書をなくしてしまったときの対処法について、くわしく解説します。

年末残高証明書とは

年末残高証明書とは、ローン控除を受ける際に、税務署に提出する書類です。住宅ローン控除では、住宅ローンの残高に基づいて控除額が決まるため、年末残高証明書は住宅ローン控除を受けるために必要となります。

一般的に年末残高証明書には、9月末時点の情報をもとに予測した、12月末時点の住宅ローン残高が記載されています。住宅ローンを借りている金融機関(【フラット35】の場合は住宅金融支援機構)から10月頃に送られてきます。

住宅ローン控除を受けられる人の条件

年末残高証明書は、住宅ローン控除対象者にのみ送られてきます。住宅ローンの償還期間が10年未満など、住宅ローン控除の条件から外れる人には送られてきません。

住宅ローン控除を受けられるはずなのに書類が送られてこない、という場合は、一度管轄の税務署に、本当に住宅ローン控除の対象となっているのか相談してみましょう。

住宅ローン控除を受けるための条件は以下のとおりです。

新築住宅の場合

1. 住宅ローン減税を受ける人が自ら居住すること
2. 住宅ローンの返済期間が残り10年以上あること
3. 合計所得金額が3,000万円以下であること(ペアローンの場合は、各人の合計所得金額がそれぞれ3,000万円以下であること)
4. 床面積は原則50平方メートル以上であり、2分の1以上が自身の居住用であること。ただし、合計所得金額が1,000万円以下の人は40平方メートル以上50平方メートル未満でも対象
5. その住宅に住み始めた年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間(令和2年4月1日以後は前2年後3年の計6年)に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと

中古住宅の場合

新築住宅の適用条件に加え、「一定の耐震基準を満たしていること」が条件となっており、次のいずれかの基準をクリアすることが必要です。

・住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得していること
・耐震基準が適合していること(居住前の改修工事も可)
・築年数が一定年数以下であること(通常20年以下、耐火建築物の場合は25年以下)

※参考:認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
※参考:中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

年末残高証明書をなくしたときの再発行方法

年末残高証明書は、住宅ローン控除を申請するときに必ず必要となる書類です。しかし、ほかの郵便物に紛れる、間違えて捨ててしまう、といったことも珍しくはありません。

年末残高証明書は再発行が可能であるため、紛失に気づいたらできるだけ早く再発行の手続きを行いましょう。

再発行方法は住宅ローン会社により異なり、金融機関窓口での手続きのほか、電話やインターネットなどを使用した方法などさまざまです。場合によっては再発行の手数料がかかることもあります。

年末残高証明書をなくしたときの注意点

どの金融機関でも、年末残高証明書の再発行を受け付けているものの、いくつか注意しておくべき点もあります。

ここでは、年末残高証明書の再発行時に気を付けたいポイントについて、くわしく解説します。

再発行には時間がかかる

年末残高証明書はどの金融機関でも再発行できるものの、手元に届くまでには一定の時間がかかります。申し込んだ次の日に自宅へ届くようなことはありません。

年末調整や確定申告の締め切りギリギリに再発行の手続きをしては、間に合わなくなる可能性があります。

再発行にかかる時間は、金融機関によって異なりますが、おおよそ1週間程度はかかるため、余裕をもって申請をするようにしましょう。

年末調整に間に合わない場合は確定申告をする

年末調整時に年末残高証明書を用意できなかった場合、自分自身で確定申告を行いましょう。所得税が還付される時期は確定申告から1ヶ月~1ヶ月半後です。年末調整の還付よりも遅くなるものの、問題なく住宅ローン控除を受けられます。(なお住宅ローン控除を受ける初年度である場合は、確定申告が必須となります。)

もしも、年末残高証明書の再発行が間に合わず、期限内に確定申告ができなかった場合でも、後から申告を行うことで、住宅ローンの控除分が還付されます。

期限後の確定申告はできるだけ早く行うことが望ましいのですが、5年以内であれば還付が受けられるということも覚えておきましょう。

年末残高証明書はローン残高が変更したときも再発行が必要

年末残高証明書は、9月末の情報を元にして年末の残高を予測して発行されます。そのため、9月末以降に繰り上げ返済をした場合などは、12月末の残高は当初の予定と異なります。

繰り上げ返済により残高が変われば住宅ローン控除額も変更されるため、年末残高証明書に記載される額が正しい残高になるよう再発行しましょう。

また、住宅ローン控除を受けるとき「借入期間が10年以上あること」という条件があります。もし繰り上げ返済により借入期間が10年未満になった場合は、住宅ローン控除を受けられなくなるため、注意してください。

年末残高証明書が届かないとき

年末残高証明書は、毎年10月から11月頃に届きますが、届かない場合の理由としては、以下のような3つの理由が考えられます。

・住宅ローン控除を受けられる期間が終了した
・届出住所に変更があった、もしくは住所変更の手続きが完了していない
・一部繰り上げ返済により、借入期間が10年未満となった

これらの項目に該当していない場合は、まずは借入先の金融機関に問い合わせをしてみましょう。

また、住宅ローン控除では、本人の収入額など、満たさなければならない条件がいくつかあります。自分がその条件を満たしているかどうか、住宅ローン控除の対象者かどうかを確認したい場合は、管轄の税務署に問い合わせを行いましょう。

まとめ

年末残高証明書は、住宅ローン控除に必ず必要な書類です。もしなくしてしまった場合は、再発行の手続きが必要となります。

年末残高証明書の再発行はどの金融機関でもできますが、手元に届くまでは1週間ほどかかるため、できるだけ早く申請することが大切です。

また、年末残高証明書が届かない場合は、住宅ローン控除の適用外なっている場合がありますので、税務署へ問い合わせをするとよいでしょう。