AppleがMacにタッチスクリーンやFace IDを搭載しない理由を説明
2021年10月に開催された新製品発表イベントの中で、AppleはM1 Pro/Max搭載の新型「MacBook Pro」を発表しました。2021年モデルのMacBook ProはI/Oポートが増え、不評だったTouch Barは廃止されるなど複数の変更が加えられています。一方で、Windows搭載PCではすでに採用されているタッチスクリーンや、顔認証機能の「Face ID」はMacに搭載されていないままです。AppleがなぜMacにタッチスクリーンやFace IDを搭載しないのかについて、同社のハードウェアエンジニアリング担当上級ヴァイスプレジデントであるJohn Ternus氏がウォール・ストリート・ジャーナルに語っています。
https://9to5mac.com/2021/10/29/apple-touchscreen-mac-interview-ipad/
ChromebookやWindows搭載のノートPCにはタッチスクリーンを採用した端末が多く存在していますが、Appleは記事作成時点でMacにタッチスクリーンを採用していません。
これについてTernus氏は、「我々はiPad上で世界最高のタッチコンピューターを作っています。そのため、iPadはタッチ操作に完全に最適化されていると言えます。そして、Macは(画面を直接タッチするのではなくキーボードから)間接的に入力することに完全に最適化されています。そのため、これらの構図を変える理由があるとは感じていません」と語り、「iPadはタッチスクリーン」「Macはキーボードでの入力」にそれぞれ最適化されていると主張。
新型MacBook Proのディスプレイはベゼルが狭くなった代わりに、iPhoneやiPadでおなじみのノッチ(ディスプレイ上部の切り欠き部分)が追加されています。ノッチはiPhoneにFace IDが追加された際に登場したデザイン的な特徴であるため、新型MacBook ProにもFace IDが追加されるのではないかと期待されたのですが、搭載されているのは指紋認証機能のTouch IDのままです。
AppleのiPad製品マーケティング担当ヴァイスプレジデントであるTom Boger氏は、MacBookのフォームファクタにはFace IDよりもTouch IDの方が適していると考えているそうで、「手がすでにキーボード上にあるので、ここにTouch IDを配置しているほうがMacBookにとっては便利だと思います」と語りました。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルのジョアンナ・スターン氏がMacBookを修理する場合を例に、Apple公式の修理サービスを利用せずに独立系の修理業者を使った方が数百ドル(数万円)の節約が可能であることを指摘しました。ただし、これは、独立系修理業者が修理に必要なパーツと情報を有している場合に限られます。こういった現状を受け、スターン氏は「Appleは修理する権利をより認めるべき」と主張していたのですが、Boger氏は「その分野で懸命に努力を続けている」とだけ語り、Appleが今後修理する権利に対してどのようなアクションを取っていく方針であるかなどについては多くを語りませんでした。
Apple製品の修理代が高すぎる問題を解決するべく求められる「修理する権利」とは? - GIGAZINE
この他、ウォール・ストリート・ジャーナルが「MacBook Proは購入後にメモリを増設することができない点」について指摘したところ、Boger氏とTernus氏はMacに搭載されている「ユニファイドメモリアーキテクチャ」がパフォーマンス向上に一躍買っていると語り、メモリ増設の必要はないとしました。