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 東京で「魚」を買おうとした場合、スーパーマーケットか鮮魚専門店で買うのが普通です。しかし、その大半は大衆魚で、すでに刺身用の柵になっていたり、刺身用にカットされていたり、加熱料理用にさばかれていたりと、なんらかの加工がされているものです。消費者の立場に立ってみれば便利でありがたい一方、すでにさばかれているためどうしても鮮度が落ちてしまうのは否めません。

 では、丸モノの魚を、しかも多種にわたる魚種を入手しようと考えると、かなりハードルが上がります。豊洲や築地に行くか、鮮魚専門店にあらかじめ仕入れをお願いするかということになってくるわけで、東京で「良い魚」を手に入れるとなると、なんらかのルートがないと現実的ではない面がありました。

「豊洲市場ドットコム」が始めた超画期的なサービス「豊洲きょう着く便」

 そんななか、豊洲で扱われる水産品、青果品を扱うECサイト「豊洲市場ドットコム」では「豊洲きょう着く便」という画期的なサービスを今年よりスタートさせました。

 これ、どういうものかと言いますと、豊洲に今朝入荷した鮮魚を、東京23区内に当日中に届けてくれるというもの。鮮魚専門店やスーパーマーケットを介さず、市場から丸モノの魚がそのまま直送されることで、鮮度抜群の魚をいただけるという寸法です。

 魚を自分で身おろしできない場合は、このサービスを存分に楽しむことは難しいですが、魚をおろすことができ、少しでも良いものを食べたい場合はもってこいのサービスです。今回はこの「豊洲市場ドットコム」の「豊洲きょう着く便」を利用し、どれだけの魚が届くかと、その味をレポート。また、「豊洲市場ドットコム」の担当者の方にも話を聞いてみました。

豊洲市場の仕入れ状況を、一般消費者が確認しオーダーする画期的な試み!

「豊洲市場ドットコム」の「豊洲きょう着く便」の利用方法は以下になります。

・「豊洲市場ドットコム」に会員登録をし、メルマガ購読を開始(どちらも無料)

・市場が開く日(市場は日・祝・水曜日がだいたい休み)の前日の夕方、ウェブサイトの情報が更新されると、おすすめの品を紹介するメールマガジンが届く

・翌朝、市場へ入荷する鮮魚、フルーツ、野菜などの情報がメールマガジンに載っているので、その中から購入する品を選びWEB上で決済を行う(カード支払いとAmazonペイが使える)

・豊洲市場入荷の当日17時までに、専属ドライバーが冷蔵車で届けてくれる。留守の際は指定の場所への置き配もできる

 また、このサービスは豊洲市場の大プロジェクトということもあり水産大卸、仲卸業者が多数参加しており、いずれも品質の良いものばかりが扱われるのだそうです。決して粗悪や流通に乗らなかったものをECで販売するということではなく、むしろ一流の寿司店、料亭、割烹などと同等のクオリティの鮮魚を、一般家庭でも食べることができる超画期的なサービスのようです。

 ここまでの触れ込みを聞き、高揚を抑えられなくなる筆者でしたが、この「豊洲きょう着く便」から「豊洲KAPPO便」という様々な魚種が入った5000円からある鮮魚ボックスセットの中から、今回は19999円のものを注文することにしました。

9種類ものの鮮度抜群の高級魚が盛り盛りに入っていた!

「豊洲KAPPO便」(鮮魚ボックスセット・19999円)に入っていた魚。その内訳は、鯛、真鯵、糸より、甘鯛、太刀魚、白海老、生まぐろ中トロ、生まぐろ赤身、平貝

「豊洲きょう着く便」から「豊洲KAPPO便」は、仕入れによって内容は変わると聞いていましたが、果たして届いた魚を見てビックリ。なんと9種類もの魚種が盛り盛りに入っていました。

「豊洲KAPPO便」には「お品書き」というプリントが同封されており、魚の出自も詳しく書いてあります。おおむね以下の内容でした。

・鯛……千葉県産
・真鯵……大分県産
・糸より……長崎県産
・甘鯛……千葉県産
・太刀魚……千葉県産
・白海老……富山県産
・生まぐろ中トロ……青森県産
・生まぐろ赤身……青森県産

(上)身がぎっしり詰まった丸々とした鯛。(下)ビックサイズの太刀魚

 鯛や真鯵はスーパーマーケットでも目にすることがある大衆魚ではありますが、「豊洲KAPPO便」のそれはしっかり太った大きめのものでした。また、それ以外の魚種は高級魚ばかりであり、特にビックリしたのが太刀魚のデカさ! 肉厚でテーブルに乗り切らないほど。もちろん、生まぐろの中とろ、赤身も香りの良いもの。言うまでもなくいずれの魚からも「魚臭さ」がなく、明らかな鮮度の良さを感じました。

バラではまず絶対無理であろう、コストパフォーマンスも魅力!

全て身おろしして刺身でいただきました! こちらは鯛

 9種類もの魚種が届き、このうち生まぐろの中とろ、赤身、白海老以外は全て丸モノですので、ここからは身おろしタイムです。6種類(7本)の魚を身おろしするのは、素人の筆者にはヘビーにも思いましたが、それよりもプロクオリティの魚をさばける喜びのほうが大きく、2時間ほど楽しく身おろししました。

(左上)鯵、(右上)甘鯛、(左下)糸より、(右下)太刀魚

 いずれの魚も全て刺身でいただきました。鯛はプリプリで品の良い味で、鯵も臭みがなく絶品。フワフワした身の繊細な味が美味しく、甘鯛もその名の通り、甘い風合いがたまりませんでした。巨大な太刀魚もあっさり美味しく、臭みのいっさい白海老は磯っぽい風合いがたまりません。そして、生まぐろの中とろは、しつこくなくまぐろ本来のコクを感じる逸品。生まぐろの赤身もまさしく「ザ・赤身」といった具合で、これまでに食べた赤身の中で最も美味しく感じました。コリコリとした口当たりと上品な風合いの平貝もこれまた酒が進む、進む!

(左上)白海老、(右上)生まぐろの赤身、(左下)生まぐろの中とろ、(右下)平貝

 これだけの魚種が、鮮度の良いままいただけるとは……。単純計算で19999円を9で割れば、1種あたり2222円。魚に詳しい方ならわかる通り、これらをバラで買おうと思った場合、19999円ではまず納まりません。安くて鮮度の良い魚を食べられるわけで、特に家族や友達と集う機会があるクリスマス、忘年会、お正月などにはもってこいのセットだと思いました。身おろしもみんなでやれば、かなり盛り上がるはずです。

豊洲の目利きの人たちが「その日の良いもの」を厳選し一般消費者に販売!

 

 最後に「豊洲市場ドットコム」の担当者の方にも話を聞いてみました。

「生鮮品を取り扱っているため、日々市場関係者と情報を交換しながら『豊洲市場ドットコム』に反映させています。朝の8時まで注文をとり、そこから数量を仲卸さんに発注。納品後10時~11時に豊洲市場を出発し、各方面へ……。このように登録から出荷、早送りのような動きをしているスタッフには頭が上がりません。

 それでも生産者の方からは『鮮度の良いうちに、消費者の方の食卓にお届けできるのは冥利に尽きます』といったお褒めのお言葉をいただくこともあります。また、大卸、仲卸の方から『プロ向けと考えていた高級商材や旬の食品が、こんなに一般の消費者に受け入れられるとは嬉しい』といった声もいただきました。

 市場入荷のものがその日に届くため、鮮度が良いのはもちろんですが、さらに豊洲市場の目利き人たちが『その日の良いもの』を厳選してくれています。同じ魚種であっても味の良さに驚かれると思います。果物、野菜では一般流通しない希少品種も多数扱っておりますので是非お試しいただければ幸いです」(担当者)

「豊洲市場ドットコム」では、今回の「豊洲KAPPO便」という鮮魚ボックス以外にも様々な商品を取り扱っています。是非一度チェックしてみてください。想像を超える味を家庭で楽しむことができると思いますよ!

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

豊洲市場ドットコム

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