トースターで炙るとおいしい!? シェフ直伝「柿の葉寿司」の真似したくなる斬新レシピ

シェフに教わる。柿の葉寿司の新しい食べ方

macaroni の10月特集テーマ「おいしい秋 見つけた-日本列島 北から南-」では、日本各地の名産品やご当地グルメを中心に、秋ならではのおいしい情報をお届け中です。

この記事では行楽の秋に欠かせない、奈良発祥の「柿の葉寿司」にフォーカス。少々マニアックではありますが、一定数いる柿の葉寿司ラバーに向けて新しい食べ方を伝授!

ミシュラン一つ星レストラン「sio」のグループである、奈良「㐂つね」の立ち上げを務めた若手の気鋭シェフ、木田翼さんに教えていただきました!

「柿の葉寿司といえば旅のおともですが、最近はおうち用に購入する人も多いかと思います。そのまま食べるのはもちろん、アレンジを加えるのも食事を楽しむきっかけになるはず。今回はさば、鮭、鯛と3種類の柿の葉寿司レシピを考案しました。おもてなしのひと品としても活躍しますよ」

まずは「割り下風タレ」を準備!3つのアレンジに活用

「柿の葉寿司は魚の塩漬けと酢飯、つまり塩味と酸味で成り立つ料理だと思っています。そこへ甘みをプラスすることによって、さらにおいしい方程式を完成させようと考えました。

そこで甘みの役割をはたすものとして、割り下風タレを用意。これは僕がシェフを務めた奈良の『㐂つね』がすき焼き屋であったことからヒントを得ました。酢飯の強い酸をまろやかにしてくれますよ」

材料

・みりん……100cc
・しょうゆ……30cc
・砂糖……10g

作り方

「材料すべてを鍋に入れて火にかけ、中火で煮詰めます。冷めたときにとろみが出るため、煮詰まる一歩手前で火を止めるのがポイント!

電子レンジで簡単に煮詰めたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、アルコール成分が飛ばずに余計に時間がかかってしまいます」

1. 柿の葉ごと温める!クミン香る「炙りさば寿司」

「一番の自身作である、さばの柿の葉寿司アレンジ。柿の葉ごとオーブンで温めるひと手間がおいしさのカギですね。加熱することで、柿の葉の香りとさばの脂を引き出します。さらにはマヨネーズと割り下風タレの相性もよく、ふわっと漂うクミンの風味がかなりクセになりますよ」

材料(2個分)

・さばの柿の葉寿司……2個
・割り下風タレ……4g
・マヨネーズ……4g
・すりごま……少々
・クミン……少々

※クミンはホールのものを軽く叩いて、すりごまの食感に合わせる

作り方

1. 柿の葉に包まれた状態のまま、220℃のオーブンまたはトースターで3分ほど温めます

2. 焦げる手前、葉がパリッとして香りがしてきたら取り出し、葉を開きます。さばだけを一度はずし、酢飯の上にマヨネーズを塗ります

3. マヨネーズの上にさばを戻してから割り下風タレを塗ります

4. すりごまとクミンを振りかけたら完成です

「香りが出るため、なるべくごまはすったものがおすすめです」

2. エスニック風「アボカド鮭寿司」

「鮭と相性のいい食材、アボカドを合わせたエスニック風のレシピです。さばはオーブンで加熱しましたが、鮭は常温に戻しておくことがおいしさのカギ。シャキシャキとした赤たまねぎの食感やナンプラーの香りもアクセントになり、新たなフュージョン料理として楽しめますよ」

材料(2個分)

・鮭の柿の葉寿司……2個
・アボカド……1/6個分
・赤たまねぎ……6g
・割り下風タレ……3g
・ナンプラー……2g
・レモン汁……1/8個分
・パプリカパウダー……適量

作り方(2個分)

1. アボカドを1/6にカットしてボウルにうつします。ペースト状までいかない、軽く食感が残る程度に潰します

2. アボカドを入れたボウルに、ナンプラー1gと割り下風タレ3gを加えて混ぜます

3. 別のボウルに粗みじん切り(0.5mm程度)にした赤たまねぎを入れ、ナンプラー1g、レモン汁を合わせて和えます

4. 常温に戻した鮭の柿の葉寿司の上に2と3をのせます

5. 仕上げにパプリカパウダーを香りづけ程度にふりかけます

「ナンプラーは塩気というよりは、香りと旨みをプラスする役割として加えます。パプリカパウダーは匂いが強いので、かけすぎには注意してくださいね」

3. まさかの変身「鯛めし風いなり寿司」

「最後はちょっと柿の葉寿司界隈の方に怒られちゃうかもしれないのですが……(笑)。『㐂つね(きつね)』にちなんで、いなり寿司にさせてもらいました。中身は少し手間を加えて鯛めしをイメージしたものに」

材料(2個分)

・鯛の柿の葉寿司……2個
・おあげ……2枚(市販の煮てあるもの)
・大葉……2枚
・みょうが……1/2個
・ガリ……1袋(柿の葉寿司についてくるガリを使用)
・割り下風タレ……2g

作り方(2個分)

1. 鯛の身と酢飯に分け、酢飯はボウルにうつします。鯛は包丁で粗めに刻み、ボウルに入れます

2. 大葉とみょうがを千切りにし、酢飯の入ったボウルに入れて、割り下風タレも加えて混ぜます

3. おあげをめくり、酢飯を戻し入れて完成です

柿の葉で巻いてひと晩置くと風味がアップ

「そのまま食べてももちろんOKですが、いなり寿司をさらに柿の葉で巻いて、一晩置くと香りが増します。時間はかかりますが、その分グッと深みのある風味に変化しますよ」

柿の葉寿司の新たな魅力を発見

さすがは実力派シェフ、どのアイデアも食材の組み合わせに無駄がなく、柿の葉寿司本来のおいしさはそのままに、その魅力を増大させたレシピでした。そのまま食べるよりは手間がかかりますが、その分新しい柿の葉寿司の世界が待っています。我こそは柿の葉寿司ラバー、という人こそ試してみてほしいですね。

取材・文/岩田知夏