手書きのノートをデジタル化する:おすすめのデジタルペン4選
米国の学生たちは、ほとんどの地域で学校に戻り始めている。1年ぶりに教室で授業を受けているという学生もいれば、いまだに自宅のダイニングテーブルで勉強している学生もいる。だが、場所がどこであろうと、授業ではノートをとる必要がある。
「手書きのノートをデジタル化する:おすすめのデジタルペン4選」の写真・リンク付きの記事はこちらノートPCでタイピングすれば速いかもしれないが、手を動かして書きとめたほうが記憶にも残るし、学習効率も高まる。本物のペンで紙に書くほうが好きな人もいるが、デジタルでのバックアップがあれば、外出先での整理や勉強に便利だろう。
そんなときにデジタルペン(電子ペンやスマートペンとも呼ばれる)を使えば、手書きした内容が即座にデジタルファイルになる。ファイルはPDFや画像、DOC形式などのファイルとして保存したり、「Google ドキュメント」にテキストで記録したりして、すべて検索可能にすることもできる。
録音できるデジタルペンもあるので、講義やインタヴューの際に非常に役に立つ。新しいノートを購入する必要があるなら、ぜひデジタルペンを試してみることをおすすめしたい。
デジタルペンの仕組みは?
デジタルペンは専用のペンとノート、付属アプリで構成される。ペンの先端近くにある赤外線カメラが、文字を書くペンの動きを追跡する方法が一般的だ。ノートにはドット入りのグリッドが印刷してあり、何かを書くとペンの動きを座標として認識する。こうして取得したペンの動きを示すデータを、Bluetooth接続かUSBポートを経由してPCやスマートフォンに転送する仕組みだ。
これによりお気に入りの紙のノートは使えなくなるわけだが、ノートに強いこだわりをもっている人にとって残念なことではある。それに、使っているうちにペンにインクを補充する必要も出てくる。
デジタルペンでできること
手書きの文字をテキストファイルにして、読んだり編集したりしやすくする。付属のアプリを使うことで、変換したテキストをPDFファイルやGoogle ドキュメント、「Evernote」などに出力できる。いちいち専用アプリを開かなくても、ペンの電源をオンにするだけで使える。データはあとから転送できるが、内蔵ストレージを使い切ってしまわないように頻繁に転送しておいたほうがいい(そうすればペンを紛失した場合にも備えられる)。※注意すべきこと:ペンは常に充電して利用可能な状態にしておく必要がある。そうしないと、書いている途中でバッテリーが切れてしまうかもしれない。バッテリーが切れても「書く」ことはできるが、書いた文字はデジタル化されない。
いまのところベストな選択肢:NEO SMARTPEN M1+
「NEO SMARTPEN M1+」(129ドル、日本では15,500円)は、これまでに試したデジタルペンのなかで最も細くて軽く、普通のペンを使っている感じがする。手に持ったとき、しっくりするのも重要なポイントだ。リング式の罫線入り大学ノートやプランナー(スケジュール管理用の手帳)など、自分にとって最適なサイズとスタイルのノートを選べる。
専用アプリ「Neo Studio」(iPhoneとAndroidに対応)は非常に優秀だ。目的のノートを探しやすいシステムを備えており、ページ番号や日付からもページを検索できる[編註:日本語と英語を含む34言語で手書きテキストの変換に対応する]。
インクの色と線の太さは書きながらページ上で変更することも、あとから編集することもできる。このペンに録音機能はないが、ペンと組み合わせられるヴォイスレコーダーも別途販売されている。
ほかの選択肢:同じシリーズでは「NEO SMARTPEN dimo
」が最も低価格だ(59ドル、日本では8,800円)。ただし、バッテリーは充電式ではなく乾電池を使用する。この記事で取り上げているほかのデジタルペンとは異なり、「Google カレンダー」「iCalendar」「Outlook」には対応していない。なお、デザイン性に優れた「NEO SMARTPEN N2」(169ドル、日本では16,100円)もあるが、まだ『WIRED』US版では試していない。
有名ブランドで選ぶなら「モレスキン スマート ライティングセット」
モレスキンといえばノートとダイアリーに熱烈な信奉者がいるブランドだが、いまでは“スマート”な世界にも進出している。「スマート ライティングセット」はノートとペンがセットになっているので、初めて使う大半の人には最適だろう[編註:英語と日本語を含む15言語に対応]。ペンは単体でも購入できる。ノートとダイアリーは、さまざまなサイズが用意されている。
専用アプリ「Moleskine Notes 2.0」(iPhoneとAndroidに対応)は、慣れてしまえば使いやすい。古いヴァージョンもダウンロードすれば入手できるが、「2.0」のほうが使い勝手がよく合理的だ。実は2.0はまだ開発途中のヴァージョンなので、デヴァイスに問題が生じた場合は前のヴァージョンに戻す必要があるという警告が表示される。だが、「iPhone 11」で使ってみたところ、何の問題もなかった。
録音機能が必要なら:Livescribe「Symphony Smartpen」
Livescribeの「Symphony Smartpen」は、デジタルペンに求められるすべての機能を備えている。なかでも特に重点を置いているのは、録音機能だ。
ノートのページ下部には、録音開始、一時停止、録音停止のラベルまであり、ペンで押すだけで動作させることができる。この機能は非常に便利だった。しかし、アプリは少し使いにくく、テキストへの変換ツールはほかの製品ほど賢くはない。
また、Symphonyには電源ボタンがない。代わりに、キャップを外すと電源がオンになり、戻すとオフになる仕組みになっている。これは書き始める前に電源をオンにし忘れることがないので、理論的には優れた機能だ。ところが、キャップは簡単に外れてしまうので、電源がオンのままになってバッテリーを使い果たしてしまうリスクがある。
デジタルで完結させたいなら:「iPad」+「Apple Pencil」
ディスプレイに直に書いても構わないなら、厳密にはデジタルペンではないが「iPad」と「Apple Pencil」の組み合わせでも同じような体験ができる。基本的にApple Pencil対応のiPadであれば、どれを選んでも構わない[編註:iPadのモデルによってはApple Pencilの第1世代のみ対応なので注意が必要]。ほかの低価格なスタイラスペンは先端が球状の構造だが、これらと比べてApple Pencilはずっと正確に書ける。
ほかの選択肢:E Ink電子ペーパーを採用したタブレット端末「reMarkable 2」も、『WIRED』のレヴューでは高く評価している。だが、価格がiPad miniと同等の399ドル(約44,160円)するわりには、同じだけの機能はもっていない。アップル製品のファンではなかったり、単にメモをとるためだけのタブレット端末が欲しいような場合におすすめできる。
※『WIRED』によるガジェットのレヴュー記事はこちら。