アップルが、新しい「Apple Watch Series 7」を10月15日に発売します。Apple Watchの従来モデルからの買い替え、または初めてのApple Watchを買うことを検討している方に、いまなら「Series 7がベスト」な理由と、購入前のギモン解決に役立つ情報を解説します。

10月15日に販売が始まる最新のApple Watch Series 7を最速でレビュー。左がミッドナイト、右がグリーン。同じ45mmケースのCellular+GPSモデルです


見やすい・操作しやすい「大型スクリーン」

Apple Watch Series 7は、最新のwatchOS 8を載せて出荷される2021年の最新モデル。価格は48,800円からで、ケースのサイズやセルラー通信機能の有無によって変わります。昨年デビューしたスタンダードモデルのApple Watch SEは32,800円から、最も安価に購入できるApple Watch Series 3は22,800円からのお手ごろ価格で、それぞれ併売されます。

アップルのトレードインサービスを利用すると、新しいApple Watchへの買い替えも予算的なハードルが下がります


新機種のSeries 7は、昨年のメインモデルであるSeries 6からおもに3つの点がハードウェア的に重要な基本進化を遂げています。

ひとつは、スクリーン(画面)がさらに大きくなったこと。スクリーン周囲のベゼル(黒縁)がわずか1.7mmまで狭くなったことで、ケースのサイズを1mm大きくしただけで画面の表示領域がSeries 6から約20%、Series 3から50%以上も拡大しています。

左からSeries 2、Series 6、Series 7。黒縁のベゼルが狭くなり、スクリーンの表示領域が大きく拡大しています


文字盤の時刻表示の目盛りやコンプリケーションのアイコンにテキスト、アクティビティの達成度を知らせる数値、メールやメッセージのテキストなどがグンと見やすくなりました。パスコードや計算機アプリは数字が大きく表示されるので、タップ操作による選択もより正確にできます。

計算機アプリはボタンのサイズが拡大。間違えずにタップしやすくなっています


USB-C対応で充電スピードが速く! USB電源アダプタの選択がキモに

次に注目したいポイントは、Apple Watchに初めて付属する新しいUSB-C対応のケーブルで、高速充電ができるようになったことです。毎日の充電の手間が大幅に軽減されます。

Apple Watch Series 7には、高速充電に対応する新しいUSB-C磁気ケーブルが付属します


Series 7の商品パッケージにはUSB電源アダプタが付属していないため、別途アップル純正の20W USB-C電源アダプタ(A2305、実売価格は2,200円)などを購入する必要があります。2つのアクセサリーが揃うと、Apple Watch Series 7の高速充電が可能になります。

Series 6に従来の充電ケーブルとアップル純正の5W USB電源アダプタ(A1385)を接続して、Series 7と充電スピードを比べました。バッテリー残量が50%の状態から100%までの回復に、Series 7は40分、Series 6は70分かかりました。

アップルは、Series 7の高速充電対応について、就寝前に8分間充電すれば約8時間の睡眠トラッキングがバッテリー切れを心配せずにできると説明しています。筆者は朝起きて、外出する寸前にApple Watchのバッテリー残量が心許ないことに気が付いた時に、高速充電でリカバリーできることがとても心強く感じました。

Series 7とSeries 6を左右の腕に装着して、エクササイズをしたり、音楽を聴いたりしながら1時間ほど使い込んでみましたが、バッテリー持ちと減衰のスピード感については新旧モデルで変化はなさそうです。ただ、スクリーンが大型化したことや、画面表示設定を「常にオン」にして手首を下げた時に、いわゆる半スリープ状態でも屋内で70%以上も明るく見えるようになったことなどを考えると、新しいデュアルコアのSiP「S7」が電力効率の向上にとても貢献していることが分かります。

スクリーンの「常時オン」を設定。左側が手首を下げている状態の表示。右側の手首を上げたときの明るさに迫る視認性の高さを実現しました


ついにApple Watchは「タフネスウォッチ」になった!

そして3つめのポイントは、タフネスウォッチとしての魅力が増したことです。大きくなったスクリーンの端々まで広がるフロントガラスは透明度を維持したまま、厚みをSeries 6の2倍に強化。さらに割れにくく、キズも付きにくくなりました。

フロントガラスの厚みを強化。すり傷への耐性を高めています


ケースには表面を強化する特別な処理を行っていませんが、Apple Watchとして初めてIP6X等級の防塵対応としています。アウトドアで楽しむスポーツや趣味、小さな子どもと砂遊びを一緒に楽しむ時間など、Apple Watchを付けたまま過ごせます。Apple Watchを装着したままプールで泳げる防水対応は、従来のシリーズから引き継いでいます。

以上3つのポイントに注目するだけで、いま買うきApple WatchがSeries 7であることや、Series 6のユーザーも買い替えや買い増しを検討する価値があることが見えてきませんか?

Apple Watch Series 7、購入前のギモンを解決!

続いて、Apple Watch Series 7の購入に向けて本格的に身を乗り出す段階で気になりそうな、細かいギモンにも答えていきたいと思います。

○【1】ケースはどれを選ぶべき?

Apple Watch Series 7のケースは、アルミニウムとステンレススチール、チタニウムの3種類と、それぞれにカラーバリエーションがあります。金属の質感や見た目の美しさは各自好みで選ぶのがよいと思います。

ただ、最新のSeries 7であることを見た目でアピールしやすいのは、Apple Watch初のカラバリとなるグリーンなど鮮やかな5色が揃うアルミニウムです。ブラック系のミッドナイト、上質なシャンパンゴールド調のスターライト、明るい色合いになったブルー、(Product) REDから選べます。

筆者は、グリーンとミッドナイトを試す機会を得ました。グリーンは、遠目にはブラックのようにも見えますが、光にかざすと落ち着いた深い緑色が映えます。ブルーのアンダートーンにブラックを重ねたミッドナイトは、従来のスペースグレイよりもさらに引き締まった高級感を漂わせます。渋い藍色のようなミッドナイト・スポーツバンドの色合いも、筆者はとても良いと思います。

グリーンのApple Watch Series 7とクローバー/スポーツバンド


ミッドナイトのApple Watch Series 7とミッドナイト/スポーツバンド


左側がApple Watch SE、スペースグレイのアルミニウムケース。右側のSeries 7のミッドナイトのアルミニウムケースとの色味の違いを参考までに


スクリーンが大型化したことによるものか、GPS+Cellular、GPS単体モデルともに、Series 6に比べてケースがわずかに重くなっています。アルミニウムケースとステンレススチールケースとの間には9〜10g近い質量の差があるため、手首に装着すると違いが分かります。アクティビティや睡眠のトラッキングにApple Watchを活用したいと考えているので、なるべく軽いApple Watchの方がよいという人は、店頭で装着感や重量感をしっかり比べてみるべきです。

○【2】セルラー機能は何が便利?

Apple Wach Series 7にも、モバイルデータ通信に対応するCellular+GPSモデルが用意されます。iPhoneが近くになくてもWatch単体でメールを受信・送信したり、Bluetoothでイヤホンやヘッドホンを接続すればApple MusicやSpotifyによる音楽ストリーミングが単独で楽しめます。

スクリーンが大きくなることで、「マップ」アプリが使いやすくなります。セルラー通信機能とマップアプリの相性が一段と良くなった気がします。

マップアプリの表示が見やすくなりました。セルラー機能付きのApple Watchであれば利用頻度も高まるはず


日本語には対応していないことが残念ですが、Series 7はQWERTYソフトウェアキーボードによる正確な文字入力ができるようになりました。Apple Watchでメールやメッセージに応答しやすくなると、iPhoneを持たずに出かけられる範囲が近所への買い物から、カフェやスポーツジムあたりまで広がりそうな手応えがあります。現在、NTTドコモにau、ソフトバンクがセルラー機能付きのApple Watch向けにモバイル通信サービスを比較的手ごろな料金で提供しています。この機会にセルラー対応のApple Watchを使ってみると、いろいろな発見がありそうです。

日本語入力に対応していないのは残念ですが、QWERTYキーボードが便利です


○【3】Series 6以前のバンドも使える?

さまざまなバンドを付け替えてルックスをカスタマイズできることが、腕時計であり、ファッションアイテムとしての色彩も強いApple Watchの醍醐味ではないでしょうか。

Series 7は、Series 6やSEに比べてケースのサイズが大小モデルともに1mmずつ大きくなっていますが、それぞれ従来の大小機種向けのバンドとの互換性を確保しています。Apple Watchのバンドをコレクションしてきた方々はご安心を。少なくとも、アップル純正のバンドであればSeries 7に合わせて使えます。

44mmのApple Watch用のバンドが45mmのSeries 7のケースに装着して使えます


○【4】パッケージの同梱品が知りたい

先述の通り、Apple Watch Sereis 7には新しいUSB-C対応の高速充電ケーブルが付きます。Apple Watchには、2020年に発売されたSeries 6/SEからUSB電源アダプタが同梱されていないので、別途購入が必要です。

MacBook Airに付属する30WのUSB-C電源アダプタも使えました。充電スピードは筆者が試した限りでは、20Wのアップル純正USB-C対応電源アダプタと同じでした。USB PDに対応するサードパーティーメーカーが発売する65WのUSB-C電源アダプタも試しましたが、やはりかかる時間は同じです。小さくて可搬性が良いことを考えれば、アップル純正の20W USB-C電源アダプタ「A2305」を使う道が最も効率も良さそうです。

右が20Wのアップル純正USB-C対応電源アダプタ。新しいiPad ProやiPad miniにも同梱されています。左はアップル純正5WのUSB電源アダプタ


MacBook Airに付属する30WのUSB-C電源アダプタでも充電可能ですが、充電速度は20Wのアダプタで充電した場合とほぼ変わりませんでした


なお、Series 7の高速充電に対応するUSB-C対応ケーブルは単品販売もされますが、Series 6以前の機種をSeries 7と同じスピードでチャージすることはできません。

○【5】watchOS 8で自転車ワークアウトを楽しもう

Apple Watch Series 7よりもひとあし早く配信が開始されたwatchOS 8に、ワークアウトアプリの新機能が追加されています。

ワークアウトアプリの「サイクリング」は、ランニングやウォーキングと同様にウォッチを身に着けているユーザーが自転車に乗って移動を始めたことを自動検知して、ワークアウトの記録を開始するようにリマインドしてくれるようになりました。せっかく始めたワークアウトの記録を忘れて、身体の“動かし損”になる心配から解放されます。

ワークアウトの自動計測にサイクリングが追加されました。普通の速度でペダルをこいでも正確に反応してくれます


実際に使ってみると、それほど速くこがなくても自転車に乗っていることを検知してくれます。スポーツとしてのサイクリングだけでなく、通勤や買い物のため自転車に載って身体を動かしたことも、どんどん積極的に記録しましょう。いつのまにか「アクティビティチャレンジ」の虜になっているかもしれません。

そして万一、自転車で移動中に転倒してしまった場合も、Apple Watchが転倒を自動検出して緊急通報サービスに電話をかけてくれる機能も付きました。

○【6】とにかく人と違うApple Wach Series 7を身に着けたい

服もアクセサリーも、身に着けるものはとにかく何でも「人とは少し違うモノ」で個性をアピールしたい人は、Apple Watch Series 7のNikeモデルがおすすめです。

ナイロン製の新しいNikeスポーツループには、ブランドロゴの“スウッシュ”を鮮やかに配置。身に着けているユーザーの動きに合わせてインタラクティブに動く「バウンス文字盤」は、Nikeモデルのユーザーだけが使える特権です。

Apple Watch Nikeのユニークな「バウンス文字盤」


高級アパレルブランドのエルメスとのコラボモデルである「Apple Watch Hermes」もおすすめします。革製のスタイリッシュなバンド「シンプルトゥール」や「ドゥブルトゥール」に、ポップな色をあしらったサーキットH・シンプルトゥールレザーストラップなど、多彩なバンドのバリエーションが揃います。すべてのApple Watch Hermesには、交換用のバンドとしてレアなHermesスポーツバンドが付属します。

Apple Watch Hermesに付属するHermesスポーツバンド


もちろん、自分のセンスを信じて、Apple Watch Series 7のスタンダードモデルをベースにケースとバンド、文字盤の組み合わせなどを気軽にアレンジして「自分だけのApple Watch」を身に着けて楽しむスタイルが一番です。ストアに足を運ぶ前に、アップルのWebサイトで「Apple Watch Studio」のサービスを活用しながら、最新のケースとバンドの組み合わせから自分に合うものを探して楽しむのもよいと思います。

著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら