羽生結弦の本格始動に“追い風”、JOC新理事抜擢の高橋成美が語った「甘え上手なゆづ」
「今シーズンも自分の夢の達成に向けて日々精進していきます」
【写真】羽生結弦、氷上で華麗に舞っているときに見せた「男前ショット」
日本スケート連盟が9月1日に公開した動画で力強く抱負を語ったのは、羽生結弦(26)。来年2月の大舞台に向け、いよいよ本格始動する。
幼なじみが語った羽生結弦の存在感
「9月3日、JOCが北京五輪に挑む選手や監督などを集めてオンラインで研修会を開催。“チームJAPAN”として連帯感を強めるのが目的です。スピードスケートの郄木美帆選手やノルディックスキーの渡部暁斗選手たちとともに、羽生選手も参加。東京五輪で活躍したメダリストも出席し、貴重な体験談を伝授しました」(スポーツ紙記者)
ついに動きだした北京五輪日本代表。今年6月には、羽生にとって追い風となるニュースも届いていた。
「JOCの新理事が決まったんですが、その中に高橋成美さんがいるんですよ。元フィギュアスケートペアの選手で、’14年にはソチ五輪に出場。JOCでは史上初の20代理事ということになります。彼女は羽生選手の“幼なじみ”ですから、喜んだことでしょう」(同・スポーツ紙記者)
’18年3月に現役を引退し、現在は松竹芸能に所属する高橋さん。スポーツライターの梅田香子さんは、彼女を高く評価している。
「中国語や英語などを話せるとても優秀な人で、すごく大きな戦力。精神的にも現役時代から鍛え上げられていますし、アスリートの大変な部分をよく理解しています。シングルとペア両方において第一線で活躍した経験があって、今の強化選手はみんな彼女を知っている。選手にとって、相談しやすくて頼りになる存在ですね」
競技に対して特別な思いを抱く羽生にとって、同じ志を持つ心強い味方となる。
「羽生選手はフィギュアスケートに対する思いがとても熱い人ですから“競技を盛り上げる”という部分でも、高橋さんの就任は大きいと思います。彼女と羽生選手は私利私欲関係なくスケートやスポーツのために動ける方なので、北京五輪に向けた動きやその先の活躍も非常に楽しみですね」(梅田さん)
羽生結弦のスケート愛
日本スケート界の未来を明るく照らす2人が初めて出会ったのは、羽生が小学2年生で高橋さんが小学5年生のとき。高橋さんを指導していた都築章一郎コーチが仙台に移り、そこで羽生も教えるようになったことで一緒に練習をすることに。当時から、仲のよさは知られていた。
「性格面で気が合ったみたい。羽生くんはとにかくスケート一筋で、“スケートが好きな子じゃないと付き合えない”と話すくらい。高橋さんとも、ずっとスケートの話ばかりしていましたよ。村上佳菜子さんとも仲がよかったけど、彼女はけっこう毒舌なタイプ。
もちろん悪気はないんですが、羽生くんは“なるちゃんのほうが気が合います〜”と言っていました(笑)」(スケート連盟関係者)
幼少期から気の置けない間柄だった2人。当時について高橋さん本人に話を聞くと、懐かしそうに振り返る。
「ゆづとは小学校も一緒だったんですけど、スケートと関係ない学校生活でもみんなから一目置かれていて、男女関係なく人気者でした。スケート場では、年上のお姉さんたちからの人気が圧倒的(笑)。
高校生や大学生たちから可愛がられていました。年下に対して優しいけど、人懐っこくてお姉さんたちに対しても甘え上手でしたね」
高橋さんは昨年の女性誌のインタビューで「私も一方的に少し好意を持っていた時期がありました」と語っていたが……。
「まあちょっとね、ちょっとですよ(笑)。うまく言い表せないけど、神々しいですよね。人を惹きつけるオーラは昔からあって、それがどんどん磨かれていった印象です。でも恋人にしたら大変そう(笑)」(高橋さん、以下同)
多くの人に愛され今や世界的なスターとなった羽生だが、その才能は幼いころから傑出していた。
「練習に没頭する“質”がケタはずれでした。練習時間は同じはずなのに、一緒に遊んでいると都築先生はいつも私のことばかり怒るんです。
“ゆづだって練習してないじゃん”と言い返すと“だけど結弦はできてる。着実に進歩してるだろ”って。同じ練習量でも、質が全然違いました」
小学2年生にして、尊敬するエフゲニー・プルシェンコになりきって滑っていた。
幼少期からあった羽生の向上心
「大人の選手が技を成功させるのを見て、ただ“すごい”って思うんじゃなくて“俺もああなりたい”って言ってました。憧れながら燃えていたんです。自らを“疑う”感情を、ゆづからは感じたことがないですね」
北京五輪では最大のライバルであるネイサン・チェンと対決することが予想されるが、羽生にとってネイサンに勝つことだけが目標ではなくなってきている。
「2人はまったく違うスタイルだから、スケーターから見ても、優劣をつけがたいというか……。ゆづの目標も最初はオリンピック優勝で、それが2連覇になって、今は4回転半という大技に挑戦していて、どんどん自分自身のほうに向いている。
ファンの方たちも、勝ち負けよりゆづが自分で納得できる滑りをしてほしいという思いがあるんじゃないでしょうか」
前人未到の4回転半を目指す羽生の姿は、幼なじみの目にどう映るのか。
「総合力のスケートをここまで極めたうえで、新たに“4回転半”にも挑戦する。スケートに対する純粋な“愛”を感じますよね。成績のためにはほかで点数を上げていくほうが簡単だけど、“やっぱり跳びたい”っていう気持ちがあるところに“ゆづらしさ”を感じます」
そう語る高橋さん自身も、スケートに貢献したいという“愛”は負けていない。
「日本のコーチ陣の持つ指導力のポテンシャルを最大限に生かせるような環境をつくり、みんなが持つアイデアを気軽に発信できるようにしていきたいと考えています。
選手たちに関しても、私がこの立場にいることで、JOCとのパイプ役として声を届けることができるかなと。私、昔から相談されやすいタイプなんです。
選手たちは私になら気軽に言えることもあると思うので、組織と現場をつなぐ懸け橋になれたらと思います」
心技体が充実している羽生を、幼なじみの“史上最年少理事”が支える。幼いころから見てきた2人の夢が叶うのは、もうすぐだ。