冷やしすぎはNG! 高野フルーツパーラーが教える桃をおいしく食べるためのコツとは?
食楽web
7月下旬~8月中旬にかけては、日本各地のおいしい桃が出荷されます。スーパーや青果店で見かけて手に取る人も多いでしょう。そんな桃ですが、ちょっとしたポイントを意識して処理するだけで、見栄え良くよりおいしく食べられるのをご存知でしょうか?
今回は、7月末に開催された「桃サミット2021 オンライン」(主催:一般社団法人FRUIT LOVERS LIFEと一般社団法人Ag Venture Lab)で、タカノフルーツパーラーの森山登美男フルーツチュリエが紹介した、おいしい桃の食べ方のコツをご紹介しましょう。
産地によって桃の特徴が異なる
山梨の園地は盆地気候なので寒暖の差が大きい。水はけがよく、日照時間も長いという果樹栽培に抜群の立地となっている
有名な桃の産地と聞いて、どこを思い浮かべるでしょうか。平成30年度産の農林水産統計によると、出荷量1位は山梨県、次いで福島県、長野県となっています。
山梨県では、大きくて糖度が高い「夢みずき」や、綿密でなめらかな果肉の「白鳳」、「川中島白桃」と「あかつき」を掛け合わせて育成された「なつっこ」など、さまざまな品種の桃が育てられています。
福島の桃は果肉がしっかりしていて硬めなのが特徴。ぷっくりと丸みを帯びた形で、全体的に赤いものがおいしいと言われています。「桃=柔らかいほうが甘い」というイメージを持っていたので、硬めというのは意外です。また、福島で育てられている「あかつき」は、皇室にも献上されているそうです。
ちなみに、福島の桃が赤いのに対し、岡山は袋に入れて栽培するので白いのが特徴。「清水白桃」や「おかやま夢白桃」などの品種が育てられています。また、少し意外な桃の産地である和歌山。こちらでは、果肉がしっかりしていて歯ざわりのいい大玉の「川中島白桃」が育てられているそうです。
桃を冷やしすぎないのがおいしく食べるポイント
お皿に皮をのせて、その上に桃を並べるとすべらない。また、白いお皿に載せたときも色が映える
桃を買ってきたら食べる直前まで冷蔵庫に入れたままにしている人が多いのではないでしょうか。実は、冷やしすぎると甘さを感じにくくなるので、これはNG。食べる30分から1時間前に冷蔵庫に入れて冷やすのが、桃をおいしく食べるひとつ目のポイントです。また、桃は冷やすと熟成がストップするので、追熟させたい場合も食べるまでは外に出しておき、食べる直前に冷やすといいそうです。
タカノフルーツパーラーの森山登美男さんによると、桃は手で持つと傷んでしまうので、洗う際は流水にさらすだけでいいそうです。あとは、ヘタからペティナイフの刃を入れて、8等分のくし切りにします。カットしてから皮を剥きますが、この皮はお皿に乗せると見栄えが良くなります。
さらに、カットした桃にカボスをかけるのもオススメなのだとか。レモンよりも果実の味が控えめで、桃の甘さを引き立たせてくれるんです。カボスを搾る際は、皮を下にしてかけることで、皮の香りも桃に移すことができます。
ちなみに、桃をたくさん買って食べきれないときは、水、砂糖、アスコルビン産ナトリウム(ビタミンC)でシロップを作り、シナモンを加えてコンポートにすると3~4日は日持ちします。
さらに日持ちさせたいときは、カットした桃を密封袋に入れて冷凍しておけばOK。袋を揉んで食べたい分だけ出すと、「桃のグラニテ」が完成します。自宅で手軽にフルーツパーラーさながらの本格デザートが作れるなんていいですよね。この桃のグラニテを使って、桃のパフェを作ってみるのも贅沢気分になれて最高です。
おいしい桃をあの手この手でアレンジを加えながらいただけるのは、旬の季節ならではです。ぜひ今回ご紹介したおいしい食べ方のコツを思い出しながらジューシーな桃を楽しんでみてください。
●DATA
豊洲市場
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●著者プロフィール
今西絢美
「おいしいものナビゲーター」として、調理家電や食に関する記事を執筆。フードツーリズムマイスター、利酒師の資格も持つ。ウェブサービスやアプリのトレンドも絶賛追跡中。コンテンツ制作会社「TEKIKAKU」取締役。