DaiGoさん発言で相談相次ぐ、藤田孝典さん「生きているだけで価値があると伝えたい」
コロナ禍で困窮者支援をおこなっている弁護士や団体などが8月16日、オンラインで記者会見を開いた。一部の団体には、メンタリストのDaiGoさんによる生活保護受給者やホームレスの人たちへの差別的発言を受けて、複数の相談が入っているといい、「野宿者らへの攻撃につながることを懸念している」と語った。
会見を開いたのは、弁護士や困窮者支援団体などでつくる「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」実行委員会。生活困窮者らを対象とした無料相談を2020年から8回実施し、計1万115件の相談を受けて来た。
過去の相談内容を分析すると、当初は労働相談が多かったが、最近は助成金や給付金、生活保護に関するものが増えており、労働問題から生活問題へとフェイズが移行している可能性があるという。
●発言後、支援団体に複数の相談メール
こうした状況もあって、生活保護などを否定するDaiGoさんの発言は出席者の間でも大きな懸念を持って受け止められたようだ。
会見に出席した藤田孝典さん(反貧困ネットワーク埼玉代表)のもとには、DaiGoさんのYouTube公開後、SNSなどを介して約20件の相談が届いたという。
「『私は生きていていいんでしょうか』といった内容のものもあった。あの発言で心を傷つけられた人たちがいる。生きていて良い、生きているだけで価値があるということを強く打ち出していかないといけない」(藤田さん)
新型コロナ災害緊急アクション事務局にも、DaiGoさん発言後に複数の相談があったという。同事務局の瀬戸大作さんは、受給経験のある人から「福祉事務所から屈辱的な対応を受けた。受給によって尊厳を否定されている」との意見も届いたとし、DaiGoさんだけでなく、生活保護の仕組みそのものにも課題があると指摘した。
DaiGoさんが示したような生活保護に対する忌避感は、困窮した人自身が持っている場合もある。作家の雨宮処凛さんは、そうした空気をつくってきた社会の問題にも言及した。
「以前から国会議員らによって、生活保護バッシングが起き、DaiGoさんのようなことを言ってもオッケーという空気がつくられてきた。議員主導のバッシングも検証されるべきだし、責任を問われるべきだ」(雨宮さん)
●8月21日に無料の電話相談会
デルタ株の蔓延や長引く緊急事態宣言などにより、生活困窮者を取り巻く状況の深刻さが確実に増しているとして、同会は9回目の電話相談会を実施する。
日時は8月21日(土)午前10時〜午後10時。フリーダイヤル0120-157-930。
事務局の猪股正弁護士は、「一人で抱えていても解決しない。相談してもらうことで状況が社会に伝わる。自分の支援が強化されることもある」とアピールした。