4月16日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、22日に再生手続き開始決定を受けていた、国上精機工業(株)(TDB企業コード:982236080、資本金2000万円、横浜市中区尾上町2-27、代表馬場丈夫氏)は、7月27日に再生手続き廃止決定ならびに保全管理命令を受けた。なお、保全管理人には監督委員だった鈴木雅芳弁護士(東京都千代田区平河町2-4-13、多田総合法律事務所、電話03-6261-3822)が選任された。

 今後、8月末までに破産手続きへ移行する見通し。

 当社は、1967年(昭和42年)2月創業、69年(昭和44年)10月に法人改組したプラスチック関連部品製造業者。カーオーディオパネル、携帯電話ケースを中心に、医療機器部品等のプラスチック成形部品の製造を行っていた。独自のプラスチック成形加工技術に定評があり、自動車メーカーの新車種に搭載されるカーオーディオやカーナビゲーションでは、当社の一体型3Dエスカッションパネルが採用されるなど、2020年12月期の年売上高は約21億5000万円を計上していた。

 しかし近年は自動車業界の再編が進み、メーカーの多くが生産拠点を海外に移転。当社も海外進出し売上確保に努めていたが、受注は落ち込んでいた。この間、グループ再編を進め、生産効率の向上やコスト削減を図っていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり業況が悪化。今年2月に同業の代表者が当社グループのスポンサーとなり、4月の再生法申請後は再生計画案の策定を進めていた。7月26日に再生計画案を提出する予定でいたが、将来的に利益を計上できる事業計画の策定が困難となり、決議に付するに足りる計画案の作成見込みが立たなくなり、今回の措置となった。

 また、同じく民事再生手続き中だった、持ち株会社の国上精機工業ホールディングス(株)(TDB企業コード:974011497、同所、同代表、2014年1月設立)、子会社で工業用プラスチック成形の(株)アイエヌテック国上(TDB企業コード:731047450、新潟県柏崎市藤井1408-1、同代表、2019年2月設立)の2社も、同様の措置となった。

 民事再生法申請時の負債は国上精機工業(株)が約15億円、国上精機工業ホールディングス(株)が約9億円、(株)アイエヌテック国上が約2億円で、3社合計で約26億円。

 なお、再生手続き廃止決定後も保全管理人のもと事業を続けており、今後、破産手続き開始決定が出された場合も、裁判所の許可を得て事業譲渡の形で事業を継続したい意向。