吉田羊さんと両親の関係。親に“与える”のではなく“寄り添う”ようにしたい
間もなくクライマックスを迎えるドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』で父と衝突しながらも、真摯に向き合おうとする娘を演じている吉田羊さん。
『ESSE』7月号の表紙に登場し、作品を通じて感じた家族への思いを率直に語ってくれました。
吉田羊さんインタビュー
昨年からの忙しさが一段落して、「最近はのんびり過ごしています」と、朗らかな笑顔を見せてくれた吉田羊さん。家で過ごす時間を楽しみながら、とくに力を入れているのが「食事と運動」だそう。
「好きなものを好きなだけ食べるのをやめて、体が本当に求めるものだけをとるよう心がけています。さらにランニングで筋力をつけることで、代謝も上がって体が軽くなりました。今は『もう一生風邪ひかないんじゃないかな?』と思うほど調子がいい(笑)。がんばって続けられるのは、きっと体が効果を実感しているからですね」
蒸し暑くなるこれからの季節も体調を崩さないために吉田さんが決めているのが、「冷たい飲みものを控える」こと。
「冷たいものを飲むと一時的には気持ちいいけど、下がった体温を戻そうとして、体が疲れてしまう。少なくとも涼しい室内では温かいものや常温のものを選んだ方が夏バテを防げると思います」
現在放送中の『生きるとか死ぬとか父親とか』は、人気コラムニスト・ジェーン・スーさんの同名エッセイをドラマ化した作品。吉田さんはスーさん自身をモデルにした主人公の蒲原トキコを演じています。物語の軸となるのが、チャーミングだけど破天荒な父親と、その奔放さに振り回される娘の関係。20年前に母を亡くしたトキコが、たった1人の家族である父親と衝突しつつも歩み寄ろうとする姿に自分を重ねる人は多そうです。
「私は5人きょうだいの末っ子で、小さな頃から父にべったりだったんです。その反面、母との関係があまりよくなくて。いつもぶつかってばかりでした。母は4年前に亡くなったのですが、その少し前に『私はぜんぜんいい母親じゃなかったね、ごめんね』と私に言ってくれて。それを聞いたとき、ああ、私も母を求めていたんだ…と気づいたんですよね。本当は愛されたいのに、それができないもどかしさや悔しさから反発していたんです。父親に対するトキコの複雑な思いも、裏返せばお父さんが大好きだからなんでしょうね。勝手に私の尺度で測るのはよくないと思いつつ、そうやって自分に置き換えながら演じていました」
家族はもっとも身近で、もっとも大切な存在。だからこそ、ときにこじれてしまうことも。そう感じることが、「じつはわが吉田家でもあったんです」と吉田さん。
「私は“お父さん子”でしたし、これまで父と気まずくなることはなかったんです。でも最近、つき合い方が難しくなってきたな…と感じることが増えて。子どもとしては親のためになんでもしてあげたいけど、親は子どもに頼りたくないというプライドがある。親が年をとるにつれて、気持ちがぶつかってしまうんでしょうね」
お互いを思いやっているにもかかわらず、すれ違ってしまう。そんな状況を好転させるために吉田さんが意識しているのが、「親には親の人生がある」と肝に銘じて、相手を尊重すること。
「親の介護や老後の面倒って、元気な方が“与える”のではなく、あくまでも親に“寄り添う”ものだと感じています。相手を思っての行動がうまくいかなかったとき、他人だったら距離を置けばいいけど、家族はきり捨てられない。だからこそ、いとおしいけど面倒くさい存在なんでしょうね」
間もなく迎えるクライマックスでは、トキコが長い間フタをしてきた父への感情と向き合うことに。
「これまでは穏やかなトーンのドラマでしたけど、終盤は影を落とすような描写が増えて、苦くて切ない展開になります。最終回へ向かう大切なフェーズになるので、ぜひ投げ出さずに一緒に完走していただけたらうれしいですね」
あらためて親との関係を見つめ直し、きちんと話をしてみよう。ドラマを通じて、そんなふうに思えるきっかけをもらえそうです。
<撮影/天日恵美子 取材・文/ESSE編集部>
福岡県出身。小劇場でキャリアをスタートし、多くの舞台やドラマ、映画で活躍。出演作にドラマ『凪のお暇』『まだ結婚できない男』『恋する母たち』『連続ドラマW コールドケース3 〜真実の扉〜』『きれいのくに』など。現在、ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京系・金曜深夜0時12分〜)に出演中
『ESSE』7月号の表紙に登場し、作品を通じて感じた家族への思いを率直に語ってくれました。
吉田羊さんインタビュー
親には親の人生がある。そう肝に銘じて、相手の気持ちを尊重したい
昨年からの忙しさが一段落して、「最近はのんびり過ごしています」と、朗らかな笑顔を見せてくれた吉田羊さん。家で過ごす時間を楽しみながら、とくに力を入れているのが「食事と運動」だそう。
蒸し暑くなるこれからの季節も体調を崩さないために吉田さんが決めているのが、「冷たい飲みものを控える」こと。
「冷たいものを飲むと一時的には気持ちいいけど、下がった体温を戻そうとして、体が疲れてしまう。少なくとも涼しい室内では温かいものや常温のものを選んだ方が夏バテを防げると思います」
●4年前に亡くなった母との思い出
現在放送中の『生きるとか死ぬとか父親とか』は、人気コラムニスト・ジェーン・スーさんの同名エッセイをドラマ化した作品。吉田さんはスーさん自身をモデルにした主人公の蒲原トキコを演じています。物語の軸となるのが、チャーミングだけど破天荒な父親と、その奔放さに振り回される娘の関係。20年前に母を亡くしたトキコが、たった1人の家族である父親と衝突しつつも歩み寄ろうとする姿に自分を重ねる人は多そうです。
「私は5人きょうだいの末っ子で、小さな頃から父にべったりだったんです。その反面、母との関係があまりよくなくて。いつもぶつかってばかりでした。母は4年前に亡くなったのですが、その少し前に『私はぜんぜんいい母親じゃなかったね、ごめんね』と私に言ってくれて。それを聞いたとき、ああ、私も母を求めていたんだ…と気づいたんですよね。本当は愛されたいのに、それができないもどかしさや悔しさから反発していたんです。父親に対するトキコの複雑な思いも、裏返せばお父さんが大好きだからなんでしょうね。勝手に私の尺度で測るのはよくないと思いつつ、そうやって自分に置き換えながら演じていました」
●親に“与える”のではなく“寄り添う”ようにしたい
家族はもっとも身近で、もっとも大切な存在。だからこそ、ときにこじれてしまうことも。そう感じることが、「じつはわが吉田家でもあったんです」と吉田さん。
「私は“お父さん子”でしたし、これまで父と気まずくなることはなかったんです。でも最近、つき合い方が難しくなってきたな…と感じることが増えて。子どもとしては親のためになんでもしてあげたいけど、親は子どもに頼りたくないというプライドがある。親が年をとるにつれて、気持ちがぶつかってしまうんでしょうね」
お互いを思いやっているにもかかわらず、すれ違ってしまう。そんな状況を好転させるために吉田さんが意識しているのが、「親には親の人生がある」と肝に銘じて、相手を尊重すること。
「親の介護や老後の面倒って、元気な方が“与える”のではなく、あくまでも親に“寄り添う”ものだと感じています。相手を思っての行動がうまくいかなかったとき、他人だったら距離を置けばいいけど、家族はきり捨てられない。だからこそ、いとおしいけど面倒くさい存在なんでしょうね」
間もなく迎えるクライマックスでは、トキコが長い間フタをしてきた父への感情と向き合うことに。
「これまでは穏やかなトーンのドラマでしたけど、終盤は影を落とすような描写が増えて、苦くて切ない展開になります。最終回へ向かう大切なフェーズになるので、ぜひ投げ出さずに一緒に完走していただけたらうれしいですね」
あらためて親との関係を見つめ直し、きちんと話をしてみよう。ドラマを通じて、そんなふうに思えるきっかけをもらえそうです。
<撮影/天日恵美子 取材・文/ESSE編集部>
【吉田羊さん】
福岡県出身。小劇場でキャリアをスタートし、多くの舞台やドラマ、映画で活躍。出演作にドラマ『凪のお暇』『まだ結婚できない男』『恋する母たち』『連続ドラマW コールドケース3 〜真実の扉〜』『きれいのくに』など。現在、ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京系・金曜深夜0時12分〜)に出演中