養子のうーちゃんの授業参観。「パパ似」に感動!<古泉智浩の養子縁組やってみた>
52歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した6歳の長男・うーちゃん、里子の3歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、小学1年生になったうーちゃんの授業参観についてのお話です。
養子の男の子、うーちゃんが4月から通い始めた小学校で早速、授業参観がありました。午前と午後の2回に分けて行われ、教室内に入れる人数制限ありといったようなコロナ対策があります。コロナ感染が拡大しており、同日に予定されていた保護者会は延期となりました。
僕はフリーランスの漫画家なので、寝間着のような服で普段仕事をしていて、外出するときは申し訳程度にズボンをスウェットからジーパンに履き替えていますが、授業参観には砕けすぎなのではないでしょうか。入学式用に買ったユニクロの黒いスーツだとかしこまりすぎかなとは思いましたが、スーツにネクタイなしで行くことにしました。そうでもしないとせっかく買ったスーツの出番がありません。
幸い好天に恵まれ、午前の通学路を徒歩で学校に向かいました。1年生の教室は2階です。平日のせいか、うちもママが仕事を休めず僕が代表で行ったのですが、それほど密でなく人数制限も関係ないくらいの出席人数でした。午後からの方が都合のいい人が多かったのかな。服装はジーパンの人も、スーツの人もいてなんでもよかったようです。
僕が集団登校の待ち合わせについて行くことを、うーちゃんはちょっといやがります。考えてみると、保育園のときも教室をのぞくといやそうにしていました。授業参観では、教室の後ろに立ったママに手を振る子もいるのに、うーちゃんはまったく振り向こうとしません。いい子で授業を受けているのはいいのですが、僕がそんなにいやなのか。年寄りだからか、髪と眉毛が白いから恥ずかしいのか。
授業は国語で「あいうえお」の歌を歌っていました。「青いお空だ、あいうえお」みたいな、一列ずつ5人くらいで、教室の前に出てみんなの前で歌うという発表もあり、このご時世、授業中もみんなマスクをしています。給食のときくらいしか顔が見られないのではないでしょうか。うーちゃんは変に目立つこともなく、淡々とこなしていました。
廊下の窓が取り外してあり、廊下からも教室を見ることができます。その方が、うーちゃんの顔がよく見えます。僕は、うーちゃんの顔をじろじろ見ているのですが、うーちゃんはこっちをちらりと見ると、少しニヤニヤして「あっちに行け」というような手ぶりで冷たく返します。うーちゃんの斜め後ろから見ることにしました。
廊下からすぐの場所に座っている女の子と目が合ったので手を振ると、振り返してくれました。女の子が小声で「だれのお父さん?」と聞きました。その子は、うちの里子の3歳の、ぽんこちゃんに似た顔立ちでした。うーちゃんを指さして教えたのですが、あんまり伝わっていないようでした。ぽんこちゃんが1年生になったときの感じがつかめました。
教室の後ろには、図工の時間に描かれた、おひさまの絵がはりだされていました。うーちゃんの絵は丸い太陽から三角の光が四方八方に、カラフルな色でつき出していて、おひさまの顔が思いきりニコニコしているすばらしいできばえでした。いつの間に、こんなにしっかりした絵が描けるようになっていたのかとびっくりしました。
そうしているうちに授業参観は終わりですというアナウンスが流れ、帰りました。うーちゃんはとてもしっかり授業をこなし、小学生としての務めを果たしていました。毎日毎日、えらいなあと思いました。
一方ぽんこちゃんは、朝車の中で見つけた棒のついたアメがないと言って騒いでいました。
ペロペロキャンディーと言おうとして「メロメロキャンディーがない」と言っており、たしかにぽんこちゃんはキャンディーでメロメロになってしまうので、外れではないぞと思います。
お風呂に入ってうーちゃんに
「うーちゃんの斜め後ろに座ってる女の子、ぽんこちゃんにちょっと似てるよね」
と言うと、うーちゃんは
「ぽんこもだんだん似てきたね」
と言いました。
「ん? パパに似てきたってこと?」
「そう、僕も4歳のときに似ているって言われた」
たしかにうーちゃんはパパ似だと言われたことがあります。里親の集まりのときに、一緒に暮らしていると顔がだんだん似てくると聞きました。骨格や顔立ちは似てなくても、表情などが似てくるそうです。
うーちゃんがそんな風に思っていてくれたことで、じーんとしてしまいました。
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門
』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました
』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69
)をチェック!
今回は、小学1年生になったうーちゃんの授業参観についてのお話です。
うーちゃん、初めての授業参観。ちょっと冷たいのは古泉さんが白髪だから?
養子の男の子、うーちゃんが4月から通い始めた小学校で早速、授業参観がありました。午前と午後の2回に分けて行われ、教室内に入れる人数制限ありといったようなコロナ対策があります。コロナ感染が拡大しており、同日に予定されていた保護者会は延期となりました。
幸い好天に恵まれ、午前の通学路を徒歩で学校に向かいました。1年生の教室は2階です。平日のせいか、うちもママが仕事を休めず僕が代表で行ったのですが、それほど密でなく人数制限も関係ないくらいの出席人数でした。午後からの方が都合のいい人が多かったのかな。服装はジーパンの人も、スーツの人もいてなんでもよかったようです。
僕が集団登校の待ち合わせについて行くことを、うーちゃんはちょっといやがります。考えてみると、保育園のときも教室をのぞくといやそうにしていました。授業参観では、教室の後ろに立ったママに手を振る子もいるのに、うーちゃんはまったく振り向こうとしません。いい子で授業を受けているのはいいのですが、僕がそんなにいやなのか。年寄りだからか、髪と眉毛が白いから恥ずかしいのか。
●しっかり「小学生」をしているうーちゃんに感激!
授業は国語で「あいうえお」の歌を歌っていました。「青いお空だ、あいうえお」みたいな、一列ずつ5人くらいで、教室の前に出てみんなの前で歌うという発表もあり、このご時世、授業中もみんなマスクをしています。給食のときくらいしか顔が見られないのではないでしょうか。うーちゃんは変に目立つこともなく、淡々とこなしていました。
廊下の窓が取り外してあり、廊下からも教室を見ることができます。その方が、うーちゃんの顔がよく見えます。僕は、うーちゃんの顔をじろじろ見ているのですが、うーちゃんはこっちをちらりと見ると、少しニヤニヤして「あっちに行け」というような手ぶりで冷たく返します。うーちゃんの斜め後ろから見ることにしました。
廊下からすぐの場所に座っている女の子と目が合ったので手を振ると、振り返してくれました。女の子が小声で「だれのお父さん?」と聞きました。その子は、うちの里子の3歳の、ぽんこちゃんに似た顔立ちでした。うーちゃんを指さして教えたのですが、あんまり伝わっていないようでした。ぽんこちゃんが1年生になったときの感じがつかめました。
教室の後ろには、図工の時間に描かれた、おひさまの絵がはりだされていました。うーちゃんの絵は丸い太陽から三角の光が四方八方に、カラフルな色でつき出していて、おひさまの顔が思いきりニコニコしているすばらしいできばえでした。いつの間に、こんなにしっかりした絵が描けるようになっていたのかとびっくりしました。
そうしているうちに授業参観は終わりですというアナウンスが流れ、帰りました。うーちゃんはとてもしっかり授業をこなし、小学生としての務めを果たしていました。毎日毎日、えらいなあと思いました。
●一方、ぽんこちゃんは「メロメロキャンディーがない」とお怒りです
一方ぽんこちゃんは、朝車の中で見つけた棒のついたアメがないと言って騒いでいました。
ペロペロキャンディーと言おうとして「メロメロキャンディーがない」と言っており、たしかにぽんこちゃんはキャンディーでメロメロになってしまうので、外れではないぞと思います。
●うーちゃんもぽんこちゃんもパパに似てきました
お風呂に入ってうーちゃんに
「うーちゃんの斜め後ろに座ってる女の子、ぽんこちゃんにちょっと似てるよね」
と言うと、うーちゃんは
「ぽんこもだんだん似てきたね」
と言いました。
「ん? パパに似てきたってこと?」
「そう、僕も4歳のときに似ているって言われた」
たしかにうーちゃんはパパ似だと言われたことがあります。里親の集まりのときに、一緒に暮らしていると顔がだんだん似てくると聞きました。骨格や顔立ちは似てなくても、表情などが似てくるそうです。
うーちゃんがそんな風に思っていてくれたことで、じーんとしてしまいました。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門
』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました
』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69
)をチェック!