『シン・エヴァンゲリオン劇場版』第3村のミニチュアを一般公開!庵野監督気分で写真撮影も可能
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に登場する「第3村」のシーンを作り上げるために制作された45分の1スケールの「第3村ミニチュアセット」先行内覧会が9日、スモールワールズTOKYOで行われ、その全貌が明らかとなった。この日は株式会社カラーの文化事業担当学芸員・三好寛、そして株式会社グラウンドワークス代表取締役・神村靖宏、そしてシンジの同級生・相田ケンスケの声優を務めた岩永哲哉も来場した。
本作の大ヒットを記念して展示が行われるのは、「第3村」のシーンの場面設定・画面構成検証用のために制作された幅約9メートル×奥行き約4メートルの巨大サイズのミニチュアセット。今回の展示では写真撮影が可能となっており、映画と同じアングルはもちろんのこと、自分なりの好みの自由なアングルを探ることもできる。
セットには、アヤナミレイ(仮称)が訪れる電車図書館や、転車台越しに見える診療所、村の人が集う配給所、ケンスケやトウジの家など、劇中に登場したセットの元になった場所を確認することができるほか、ミニチュアの中には、隠れキャラ的にアスカ、シンジ、レイ、ケンスケなどの超ミニサイズのキャラクターフィギュアが配置されている。
映画制作スタッフは、映画の画面に最適なカメラアングルを探りながらこのミニチュアを撮影し、その写真や映像をもとに、画コンテなどを作成した。このミニチュアが制作されたのは2017年の10月ごろで、そこから2018年の5月ごろまで、およそ半年にわたってアングルなどの検証に使用された。「わたしは映画の宣伝活動をしているんですが、映画公開まではこういうものがあることも秘密にしていて。映画の中身を使わずに宣伝しろということでした」と神村が振り返れば、三好も「約3年近くにわたって黙っていなければならなかったのでつらかったです」と続けた。
このミニチュアを駆使する手法は、「庵野(秀明)監督が特撮とアニメの両方のジャンルで活躍するから」と語る神村。このミニチュアが活用された理由として、リアルな日常風景を描き出すために、位置関係なども含めた検証を行いたいということと、そしてありきたりではないアングルを探ることができるというメリットもあった。こだわりの強い庵野監督に鍛えられたとしみじみ語る神村。その言葉に岩永も「声優陣も大変でした。終わることのないダメ出しにもまれて」と笑いながら返しながらも、「そのおかげで成長できました」と付け加えた。
今回のミニチュアセットで作られた中心部は、国の登録有形文化財に登録された転車台や扇型車両などで知られる静岡県浜松市にある天竜浜名湖鉄道の「天竜二俣駅」の取材をもとにしているといい、庵野秀明、鶴巻和哉、前田真宏らメインスタッフが実際にロケハンに行き、それをベースに他の街のあらゆる要素を組み合わせることで、この架空の村が作られることとなった。
このミニチュアは『シン・ゴジラ』も手がけたという腕利きの職人が担当。そして使用後は、特撮文化財産の保存に尽力してきた庵野らの意向もあり、このミニチュアを保存しようという動きになった。だがこの巨大なミニチュアをどうするかとなった時に、株式会社スモールワールズ代表取締役の近藤正拡社長が「わたしたちの使ってないスペースがあるので、ぜひ保管してください」と提案してくれたということもあって、ここに保存されることとなった。トラック2台を使用し、2日がかりで運び込まれたこのミニチュア。最重要機密としておよそ3年近くにわたって保存。ようやくお披露目される機会となった。岩永は「本当に広いですね。想像を絶するミニチュア。ケンスケが住んでいる村なので感無量ですね。何倍も想像が広がります」と驚いていた。
また、パーク内には「エヴァンゲリオン 格納庫」エリア、「エヴァンゲリオン 第3新東京市」エリアなど「エヴァンゲリオン」の世界観を80分の1スケールの動くミニチュアの世界で展示している。エヴァンゲリオン出撃の様子や、第3新東京市が昇降するミニチュアの世界も合わせて見ることができる。(取材・文:壬生智裕)
「第3村ミニチュアセット」は4月10日から9月8日まで、スモールワールズTOKYOで展示予定