ワタベウェディング、事業再生ADRを正式申し込み、スポンサーは興和
東証1部上場の総合ブライダル企業であるワタベウェディング(株)(TDB企業コード:500139149、京都府京都市中京区)は、3月19日に事業再生ADR手続きの利用を申し込み、受理されたと発表した。また、併せて興和(株)(TDB企業コード:400046477、愛知県名古屋市中区)と出資契約を締結したことも公表。興和の完全子会社として再出発する。
事業再生ADRは、会社更生法や民事再生法、破産法などによる裁判所の法的手続きによらず、公正な第三者が関与し当事者間の話し合いで紛争を解決する私的整理の一手法だ。法的整理(=倒産手続き)との最大の違いは、対象債務を主に金融債務に限定する点。債権者(金融機関など)との合意に基づき債務の弁済を猶予・減免することにより、営業を継続しながら再建を目指すことになる。
事業は2本柱で成り立っている。ワタベウェディングの代名詞とも言える『リゾート挙式』事業、いわゆる“リゾ婚”は、海外で結婚式を挙げるカップルを対象に、米国・ハワイやグアム、ヨーロッパ各国、インドネシア・バリ島、沖縄といったリゾート地における挙式サービスを提供する。
もう一つの柱は、連結子会社が展開する「目黒雅叙園」や「メルパルク」といった国内ホテルにおける挙式・宴会・宿泊サービスを提供する『ホテル・国内挙式』事業だ。これら2事業の展開により2013年3月期には連結売上高約492億9500万円を計上していた。
その後、為替相場が大きく変動。一時1ドル=70円台後半まで高騰した相場が2015年に120円超まで下落したことでリゾート挙式事業が大打撃を受けた時期もあったが、それをはるかに上回る危機となったのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。
2020年12月期(※)第1四半期の連結売上高は、2016年3月期第2四半期から14期続いた前年同期比増収から一転して減収に。全国に緊急事態宣言が発出された第2四半期は前年同期に比べて90.1%も減少。同様に第3四半期は73.9%減、第4四半期も60.6%減と厳しい経営状態が続いた。
その間、2020年4月には感染症の影響長期化に備えて金融機関5行から借入金として130億円を調達する一方で、広告宣伝費抑制や家賃減額交渉などで固定費削減を推進。主に地方主要都市に展開していた直営11店舗を閉店するほか、35歳以上の正社員および契約社員を対象とした希望退職者の募集も実施し、最終的に希望退職者募集には126名が応募した。
それでも巨額の赤字計上は免れず、2020年12月期の連結業績は営業損益・経常損益ともに110億円前後の赤字に転落。当期純損益も117億3800万円の赤字となり、積み上げてきた純資産(自己資本)を食いつぶして8億6300万円の債務超過に陥った。これにより、同期の決算短信には継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)が付されていた。
(※)2019年に決算期を3月から12月へと変更した。
倒産の回避に向けて金融機関と協議へ
一般社団法人事業再生実務家協会に対して事業再生ADRを正式に申し込んだ。事業再生ADRは、会社更生法や民事再生法、破産法などによる裁判所の法的手続きによらず、公正な第三者が関与し当事者間の話し合いで紛争を解決する私的整理の一手法だ。法的整理(=倒産手続き)との最大の違いは、対象債務を主に金融債務に限定する点。債権者(金融機関など)との合意に基づき債務の弁済を猶予・減免することにより、営業を継続しながら再建を目指すことになる。
年売上高500億円規模の業界大手
ワタベウェディングは、国内外に展開する結婚式場運営を主体に、貸衣装サービスも含めトータルで結婚式をコーディネートする総合ブライダル業者で、業界では大手の1社に数えられる。事業は2本柱で成り立っている。ワタベウェディングの代名詞とも言える『リゾート挙式』事業、いわゆる“リゾ婚”は、海外で結婚式を挙げるカップルを対象に、米国・ハワイやグアム、ヨーロッパ各国、インドネシア・バリ島、沖縄といったリゾート地における挙式サービスを提供する。
その後、為替相場が大きく変動。一時1ドル=70円台後半まで高騰した相場が2015年に120円超まで下落したことでリゾート挙式事業が大打撃を受けた時期もあったが、それをはるかに上回る危機となったのが新型コロナウイルスの感染拡大だ。
2020年は大幅赤字で債務超過転落、GC注記も
感染症の広がりとともに、リゾート挙式事業は世界各国における出入国規制の影響などで挙式催行が不能となったうえ、ホテル・国内挙式事業も外出自粛要請や“密の回避”への配慮などから多くの挙式が延期・中止となる事態に陥った。2020年12月期(※)第1四半期の連結売上高は、2016年3月期第2四半期から14期続いた前年同期比増収から一転して減収に。全国に緊急事態宣言が発出された第2四半期は前年同期に比べて90.1%も減少。同様に第3四半期は73.9%減、第4四半期も60.6%減と厳しい経営状態が続いた。
その間、2020年4月には感染症の影響長期化に備えて金融機関5行から借入金として130億円を調達する一方で、広告宣伝費抑制や家賃減額交渉などで固定費削減を推進。主に地方主要都市に展開していた直営11店舗を閉店するほか、35歳以上の正社員および契約社員を対象とした希望退職者の募集も実施し、最終的に希望退職者募集には126名が応募した。
それでも巨額の赤字計上は免れず、2020年12月期の連結業績は営業損益・経常損益ともに110億円前後の赤字に転落。当期純損益も117億3800万円の赤字となり、積み上げてきた純資産(自己資本)を食いつぶして8億6300万円の債務超過に陥った。これにより、同期の決算短信には継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)が付されていた。
(※)2019年に決算期を3月から12月へと変更した。