FCシャルケ04で主将を務めるオマル・マスカレルは、今シーズン中に出場したリーグ戦19試合において、6分13敗といまだ未勝利のまま。実はこれ以上に未勝利を継続したブンデスリーガーは、1974/75シーズンにヴッパータールでプレーした、ヘルムート・ラウゼン(22試合)しか存在しない。ただし前節の1.FSVマインツ戦にて5枚目の警告を受けたことから、ヴォルフスブルク戦では欠場を余儀なくされることになる。

 しかしながらこの試合で初陣を飾ったディミトリオス・グラモジス監督は、マスカレルを先発メンバーとして起用していたわけではない。今夏に復帰した左サイドバックのセアド・コラシナツを中盤へとスライドしており、スアト・セルダーと共にダブルボランチを形成。これは一時的措置でではなく、今後も継続していく可能性があるようだ。kickerとのインタビューにて同氏は、「セアドは力強さをもち、それを体現できる選手だ。そんな彼を外に配置すると、そのエネルギーが減少してしまうのではないかと思っている。マインツ戦では多くボール奪取に成功しており。彼はそのための条件を全てもっている」と評価。


 そして前任者のクリスチャン・グロース元監督が4バックを好んだのに対して、この日からさっそく採用をみせた3バックを好む傾向にあり、コラシナツを中盤にスライドして、左サイドバックには18才のケリム・チャルハノールを配置。今回で若武者がみせた健闘ぶりには、グラモジス監督は非常に満足感を示している。確かにコラシナツはムスタフィと共に、この試合で前述のマスカレルと負傷交代を余儀なくされているが、「2人とも練習に参加している」ところであり、このまま継続してチャルハノールと共に起用される可能性もあるだろう。

 特にムスタフィとコラシナツに対しては、これまでシーズンを通して問題となり、またグロース前監督の最終戦となったシュトゥットガルト戦でも露呈した、セットプレーの改善で特に力になってもらいたい存在だ。その時に採用されていたマンツーマンとゾーンの組み合わせには、選手たちは違和感を覚えていたが、グラモジス監督はゾーンを採用。「私はフレキシブルではない」と説明しつつ、「プロセスと息を合わせていくことは関係性があり、試合後とに守備の戦略を変更するようなことはしない」と語った。

グラモジス監督「今の選手に合わせた対応を」

 そもそもグラモジス監督が目指すサッカーとは何か?「私はアクティブなプレースタイルを好む監督だ。無論コンパクトさは重要なポイントだが、私はできるだけ早くボールを奪い、できるだけ多くの得点チャンスを作り出すことを重要視している」と述べ、「ただだからと行って、前線に突っ込んでいくという意味ではないよ。その展開の仕方はしっかりと練られたものじゃないといけないんだ」と強調。

 さらにかつてハンブルク、ケルン、カイザースラウテルンにてプレーした経験をもつ指揮官は、「観察、コミュニケーションは非常に重要だと思う。年々、選手たちの性格は変化しており、例えば私の時代では坂道ダッシュにも疑問なく取り組んでいたが、今はその意味や背景を説明する機会が増えている」といい、「パフォーマンスを重視すると共に選手も人間。それぞれの性格に合わせて、それぞれ異なるアプローチで選手に合わせていくということ。時には厳しく、時にはソフトなトーンも求められるものだ」と言葉を続けた。