東日本大震災から10年の企画。津波被害や原発事故によって今もなお、全国では4万人を超える人が故郷を離れ暮らしています。

福島県から栃木県への避難者に支援を続けている「とちぎボランティアネットワーク」では、震災から10年を機に避難者の生活はどう変わったのかアンケート調査をまとめました。

東日本大震災により避難生活を余儀なくされた人は、ピーク時の47万人から減少したものの現在も4万2千人以上。このうち、およそ7割が地震、津波、そして原発事故の影響を大きく受けた福島県からの避難者です。

栃木県内への避難者は、2012年時点で2、710人、去年末時点で2、756人とほとんど横ばいとなっていて、定住化が進んでいます。

震災直後には親戚を頼って東京などに避難した人が、時間が経過し少しでも故郷に近い場所で暮らしたいと、栃木県内に移住してくる例もあるといいます。

福島県からの避難者の県内の生活再建支援拠点である「とちぎボランティアネットワーク」では、震災から10年の節目に地震の発生直後から現在に至るまで生活環境や心に変化はあったのか、避難者102人にアンケート調査を実施しました。

この結果、震災からの復興感について全ての年代で70%近くが「実感していない」と回答したということです。

定住化が進み、現在住んでいる栃木県内の地域への愛着度は「増加した」と答える人が徐々に増えている一方、近所付き合いについて40代以上では半数以上が「ない」もしくは「減少」と答えています。

震災から10年。仕事や住居など生活の再建が進むなかで、人とのつながりや心の安定が得られるのは、まだまだ先のようです。

とちぎボランティアネットワークの矢野 浩美さんです。

福島からの避難者に向けた広報誌の制作をはじめ、4年前からは復興支援員として避難者を訪問しています。

社会的支援の案内や暮らしの相談に乗るなど、避難者の気持ちに寄り添ってきましたが・・・

矢野さん:「失われた日常を取り戻す手伝いはできない。福島に心はあると聞く」

10年がたった今でもふるさとで生活できない避難者が求めているのは「心の支え」「人とのつながり」だといいます。

そういった避難者の交流の場として、避難直後から県内各地で避難者の集まりが開かれてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響でその多くの開催が見送られているといいます。

「地元の言葉で話したい」避難者同士が自主的に交流会が開けるよう「とちぎボランティアネットワーク」では支援を続けていきたいということです。