セビージャは冬の移籍市場でアタランタから32歳のA・ゴメスを獲得した。(C)Getty Images

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 セビージャは1月26日、アタランタからアルゼンチン代表FWのアレハンドロ・ゴメスを獲得したことを発表した。

 ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督との確執でチーム構想からはみ出していた実力者を一本釣りしてみせたモンチSDは、改めてその手腕の高さを実証した。

 ただその一方で、セビージャはカンテラ出身の将来有望なストライカー、カルロス・フェルナンデスをレンタルで放出している。新天地は昨夏にも獲得のオファーがあったレアル・ソシエダ。ウィリアン・ジョゼがウォルバーハンプトンへ移籍したことで、その代役としての入団が決まっている。
 
 C・フェルナンデスは昨シーズン、レンタル先のグラナダで11得点をマークし、ラ・リーガでもっともブレイクした若手のひとりだった。タイプ的には基準点型のルーク・デヨング、巨体を生かしたパワフルなプレーに加え、得点力にも磨きをかけるユセフ・エン=ネシリとは異なる、プレーの引き出しの豊富な技巧派だ。

 もともとワントップのフォーメーションを好むジュレン・ロペテギ監督の戦術への適応が不安視されていたが、危惧された通り、開幕以来、出場機会が限られていた。

 たしかに遅咲きのA・ゴメスはいまがキャリアのピークにあり、まもなく33歳になるベテランとはいえ、あと2、3年は第一線で活躍できるだろう。

 だが、地元紙『ディアリオ・デ・セビージャ』は、カンテラ重視を謳いながらも、10代から将来を嘱望されていたC・フェルナンデスをこのような形で放出せざるを得なかったことの矛盾を指摘している。

 A・ゴメスの獲得は、クラブとしての野心の高さの表われだ。ただ同時に、その陰で起こった有望株の流出は、サッカーにおける勝利と育成の両立の難しさを改めて突き付けている。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部