苦悩続く観光地 冬いつ明ける 新型コロナで休業の日光江戸村
新型コロナウイルスの影響で観光地の旅館・ホテルだけでなく、レジャー施設も営業に大きな打撃を受けてきました。
県内では昨年末から感染が再び急拡大し、今月には緊急事態宣言の対象地域に追加されました。
こうした状況から休業を決めた施設があります。
日光市のテーマパーク・日光江戸村です。江戸の商人や住民が行き交う活気に溢れた光景はなく、通りに並ぶ瓦屋根がただ寂しく見えます。
新型コロナウイルスの感染が日本国内で広がってから県内のレジャー施設も苦悩してきました。
江戸の文化にも感染防止対策が求められ、営業をしても売り上げは例年の3割ほどにまで落ち込みました。
日光地域が観光客でにぎわう一番の書き入れ時の春の大型連休は、一度目の緊急事態宣言が重なり、東日本大震災以来となる長期休業。
それでも休業期間中、駐車場でドライブシアターを企画するなど明るい話題を提供してきました。
そして3カ月もの休業を経て施設を再開したのが去年の7月でした。
政府の観光キャンペーン「GoToトラベル」が追い風となり、コロナ禍でも10月、11月と前年の売り上げを超えました。
しかし県内でも再び感染が拡大。
例年、施設のメンテナンスや従業員の休養に充てている冬場の短期休業の期間を延ばし1カ月近く休むことを決めました。
入社32年で芝居の責任者を務める田中 宏昌さんです。
役者一筋で、数々の舞台に立ち客を喜ばせてきました。
人気の演目が行われる舞台も、役者も今は、その出番を待ち続けるしかありません。
そして、もうひとつ施設には江戸村を象徴する呼び物があります。
着物など当時の衣装に着替え、江戸の人になり切る体験です。
海外からの観光客にも人気が高く、その接客に対応するため、施設では外国人従業員も働いています。
去年7月に入社した台湾出身のロ・ウサンさんです。
中国語、英語、日本語が話せるロさんは、鎖国を解いた江戸のまちで貴重な人材となっています。
冬季休業を利用して、母国に一時帰るはずでしたが、世界的に収束が見えない状況で諦めるしかありませんでした。
ロさんは母親と電話でお互いの体調や国の状況を確認しあうことが日課となっています。
江戸の末期、コロリという病気が大流行しました。
現在は新型コロナが猛威を振るっていますが、人類は疫病との戦いに打ち勝ってきました。
いつ長い冬が明けるのか、収束を願うばかりです。