「本当に中古車?」 新車に見える写真が話題 常識を覆す中古車屋とは

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中古車なのに新車並みのクオリティの写真を掲載するワケ

 中古車の購入を検討する際、多くの人は「大手中古車情報サイト」で探すのが定番です。どのサイトも取り扱うクルマに違いはあっても、掲載される写真の構図はほとんど変わりません。
 
 一方で、とある中古車販売店のwebサイトでは従来の常識を破り、まるで新車のカタログのような出来栄えの写真が掲載されています。
 
 中古車で新車並みの写真を掲載する理由とは、一体どのようなものなのでしょうか。

従来の中古車販売店の掲載写真とは何か違う…。なぜSNS映えする写真を掲載するの?(画像:2006年式のスズキ「キャリイトラック」)

 インターネットが普及した現在、現物の納車までクルマを一切見ないままクルマを購入することもできる時代となりました。

【画像】これが中古車の写真? 芸術的な「映える」写真を見る!(12枚)

 大手中古車情報サイトを見れば必要なクルマの情報はほとんど手に入ります。しかし、掲載されている写真は店先でクルマの「フロント斜め前」から撮影したものがほとんどです。

 中古車情報サイトにとっての「写真」は、購入者が欲しいと思う情報を届けるための手段です。

 中古である以上は完璧には避けられない「傷の有無」「内外装の傷み」などの情報を知りたい購入希望者の心理に合わせて、クルマの全体像や各部のアップ写真を載せています。そこに芸術的なこだわりは必要ありません。

 一方で、新車カタログ並のクオリティで写真を撮影している中古車販売店が、最近SNSで話題となっています。

 埼玉県入間郡毛呂山町にある中古車販売店「オートサロンイイダ」の店長、飯田裕樹氏です。

 飯田氏はカメラのアングルや背景・構図などを変えながら、まるで自動車メーカーの新車カタログのような写真を撮影・掲載しています。

 もともとは父親の経営する中古車販売店を手伝うまでは、写真を撮ったことがなく一眼レフカメラにも興味がなかったといいます。

 そんな飯田氏が写真を始めたきっかけは、15年前の免許を取りたての頃、父親に初めて愛車のホンダ「シビック」を用意してもらいカスタムして写真を撮ったのが最初だったそうです。

 この頃の写真は、当時流行していた映画「ワイルドスピード」にとても影響を受けていたそうで、「今ほど構図も分かっておらず、特別な写真はなく近所でただ撮った写真ですがとても気に入っています」と、飯田さんは話します。

 それから「自分が楽しみながら写真を撮りたい」という思いで写真撮影を始め、いつしかSNSで取り上げられるようになり、1万を超える「いいね」がつくようになりました。

 飯田氏は「クルマのCMも参考にしていて、一人ではなかなか難しいので今後の挑戦課題にしたいと考えている」といいます。

 写真を掲載した際の周りの反応については、次のように話しています。

「掲載した写真がきっかけで来店いただけたり、そのきっかけが縁となり今も繋がっている人もいて、嬉しく思います。

 元々接点のなかった中古車業者オークション仕入れの過去のオーナーからも、ほかの人には気づかれなかったカスタムも写してくれて本当に嬉しいとわざわざ連絡をいただくこともありました。

 今後については、愛車を通じて得られる感動をもっと伝えたいと思っています。

 フロントガラスから見える景色は今より色濃く、タイヤから伝わる振動はワクワクを与えてくれる。

 そんな感動を与えてくれるのは『クルマ』ではなく『愛車』です。もっと多くの人に届くようこれからも撮影を続けていきたいです」

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 現代はSNSで、写真を気軽にシェアできる時代となっています。「良いものを長く使う」というクルマの乗り方が見直され始めています。

 中古車の販売会社が率先してクルマへの愛着を示してくれることは、今までの中古車販売のあり方に一石を投じるかもしれません。