懲戒免職とは、コンプライアンス違反をしたり、犯罪行為をしたりした人に対して罰則が与えられることです。今回は、認識不足から懲戒免職にならないように、どういった言動が処分の対象にあたるのかを解説していきます。

懲戒免職とは何か?

懲戒免職という事態を避けるため、まずは懲戒免職という言葉の定義をきちんろ理解しておきましょう。

懲戒免職とは何か?


○懲戒免職の定義

懲戒免職とは、公務員が罪を犯した場合に解雇処分を受けることをさしています。公務員の懲戒処分には、6つ種類が挙げられます。免職、降任、停職、減給、戒告(譴責)、懲戒免職。この懲戒処分の中で一番重い罰則が、懲戒免職です。

○なぜ懲戒免職になってしまうのか

懲戒免職の処分を受けてしまうには、相応の原因があります。具体的には次のような原因が挙げられます。

1.正当な理由がなく連絡も入れずに欠勤する

何の断りもなしに長期間欠勤を続けた場合、「損害を与えた」として懲戒免職とされる場合があります。

2.犯罪行為をした

仕事とは関係なくプライベートにおける犯罪行為であっても、懲戒免職になる可能性があります。例えば、痴漢や、殺人、強姦、強盗、窃盗、飲酒運転、薬物所持などが挙げられます。

3.経歴詐称

採用時に虚偽の経歴を申告した場合は、それが実際の業務と直接的な関わりがなくとも、背信行為となり、懲戒免職となる可能性があります。例えば、学歴の詐称、保有資格の詐称、留学経験の詐称などが挙げられます。

4.ハラスメント

セクシャルハラスメントや、パワーハラスメントなど、拒否をする相手に対して権限を振りかざす場合は懲戒免職になる場合があります。対人間同士のことであり、定義化することが難しい問題ではありますが、度が過ぎた行為は懲戒免職の対象となります。

5.横領

架空の取引先を作り上げ自分の手元にお金を流していた場合、確実に懲戒免職となります。

6.業務違反命令を繰り返す

軽度な業務違反を何度も繰り返す場合、懲戒免職となるケースがあります。

そのほかの懲戒処分の種類

懲戒免職が懲戒処分の中では最も重い罰となりますが、そのほかの処分は具体的にどのような内容なのでしょうか。みていきましょう。

そのほかの懲戒処分の種類


○戒告・譴責(けん責)

懲戒処分の中では、一番処分の軽い戒告・譴責ですが、戒告は口頭注意、譴責は始末書や内示での通知のみとされています。例えば、短期間にわたる無断欠勤などの業務違反はこの処分を受けることが多いとされています。

○減給

次に軽い処分として、減給があります。給料から一定額を差し引くものであり、口頭注意ですまない場合はこの処分を受けます。また、減給には細かな規則があり、賃金の半額以上の減給や、賃金の総額の10分の1を超えてはならないといったルールもあるため、処分を発令する側も注意が必要です。

○出勤停止

出社停止は、数日から14日前後の期間の出社を禁止されるものです。この期間は自宅待機と異なり、有給の消化もできず、当然のことながら賃金の支払いも発生しないため、収入に大きく影響が出ます。

○降格

重大な業務違反をしてしまった場合は、降格処分となります。セクシャルハラスメントや部下に対する暴言などは降格に該当する場合があります。

○諭旨解雇・諭旨退職

懲戒免職の次に処分の重い諭旨解雇・諭旨退職。ある期間内に自ら退職届を提出する猶予を与え、それに応じない場合は懲戒免職にするといった処分です。

もし懲戒免職になってしまったら

もし懲戒免職になってしまったら


万一、懲戒免職になってしまったら転職や退職金にはどれぐらいの影響が出てくるのでしょうか。詳細にみていきましょう。

○転職への影響

仮に懲戒免職になってしまった場合は、転職や再就職が非常に難しくなるでしょう。自己都合で退社した場合は、履歴書に「一身上の都合」との記載をすることが可能です。しかし、懲戒免職のような懲戒処分を受けた場合、履歴書にその事実を記載しなければ経歴詐称となります。

国家公務員や地方公務員などは、懲戒免職を受けてから2年間は公務員への再就職はできないとの決まりがあるので、この点も留意しておく必要があります。

○退職金への影響

懲戒免職の場合には、退職金は出ないか、もしくは一部のみの支給となります。

○おわりに

当たり前ですが、懲戒免職になるメリットはありません。今一度、自分の働き方を見直し、懲戒処分を受けない働き方を心がけましょう。