コロナ禍からカルチャーを守れ!井浦新、川瀬陽太、田中要次、古舘寛治ら激論
俳優の井浦新、川瀬陽太、田中要次、古舘寛治が22日、文化芸術復興基金の早期創設を目指すプロジェクト「#WeNeedCulture」のオンラインイベントにリモート出演(DOMMUNEにて配信)。新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立たされている映画館(ミニシアター)、演劇、ライブハウス・クラブへのあふれる思い、支援策などを熱く語った。
自粛生活で髭が伸び、まるで哲学者のような風貌で登場した田中は、「ミニシアターが本当に危うくて、放っておくと各地からどんどん消えていってしまう」と事態を深刻に受け止めている。一方で「これを機に新たなカルチャーを生み出すチャンス」とも捉えている田中は、「誰が先陣を切ってやるか、ということですよね。今、リモートドラマがたくさん出てきていますが、そのパターンはすぐに飽きちゃうと思うので、何かもっと違う発想で、新しい何かを生み出していけたら。僕も実は面白い物語を思い付いたんですが、ここで発表すると持っていかれるので、(密かに)自分で書こうと思っています(笑)」と先を見据える。
助監督からキャリアをスタートしたという川瀬は、「初めて自分が関わった自主映画を、中野武蔵野ホールという今はなき劇場でかけていただきまして、そのときエンドロールに自分の名前が出たときの何ともいえない感動が、30年経ってもこの場にいる一番の理由」と述懐。「今、起きていることも必ずプラスに転じる」とポジティブな川瀬だが、懸念しているのが、映画や演劇、音楽の世界を目指す若者たちの暮らし。「この理不尽な状況に耐えながら、コミュニケーションも取れず、家賃も払えない若者がたくさんいると思いますが、どうか負けないでがんばってほしい」とエールを贈った。
田中、川瀬同様に、コロナ禍にあっても「その分、プラス面もあると思いたい」と語る古舘。「これまで誰も止められないスピードで社会は動いていましたが、経済のシステムがコロナ禍によって立ち止まったことで、僕たちがいる文化芸術の世界は、この国においては社会的地位が低く、行政の助成も少ないということを再認識し、今まで個人の思いだけで何とかしのいできたことをみんなで連帯し、声を上げることができた。これはまさにコロナ禍があったからこそだと思っています」と持論を展開。さらに、「日本人は連帯することが苦手だと思いますが、そのチャンスをもらったので、これを一過性のものにせず、声を上げ続けたい」と訴える。
そして最後に、ミニシアターに並々ならぬ思いを抱く井浦が登場。「(俳優としての)僕を産んでくれたのも、育ててくれたのもミニシアター。何度も自分を救ってくれたし、新しい才能や見たことのない世界に出会わせてくれる大切な場所です。そのミニシアターが(コロナ禍によって)一つ一つなくなっていくようなことになったら、僕たち自身もそうですが、これから未来を担っていく若者たちが文化芸術と出会う場がなくなってしまう」と募る思いを吐露。
「絶望しているだけでは何も変わらない、アクションを起こさねば」と自身を奮い立たせたと言う井浦は、斎藤工、渡辺真紀子らとともに俳優主導でミニシアター支援を目的とするオンライン・ディスカッションのためのプラットフォーム「ミニシアター・パーク」を発足。「トークイベントやさまざまなプログラムを企画し、俳優たちが力を合わせて出会いの場を作っていきたいと考えています。ゆくゆくは、文化芸術復興基金の運動と連帯できれば」と抱負を語った。(取材・文:坂田正樹)