ソウルの日本大使館前に設置された、慰安婦被害者を象徴する少女像=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題の解決を目指して1990年に設立された韓国市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)が2018年7月に「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)に統合された後も存続し、別途に寄付金を募り、政府や自治体から補助金も受給していたことを巡り、論争が続いている。統合を経て外部には事実上、「一体」と認識されている二つの団体が別の法人として存続し続け、それぞれ寄付金や補助金を得てきたことに対し、二重取りとの指摘も出ている。

 挺対協が15日、国税庁に公示した18・19年度(1〜12月)の決算書類によると、挺対協は19年におよそ2億9100万ウォン(約2500万円)を寄付金として集め、このうち約1億4700万ウォンを支出した。前年18年の8〜12月には約8800万ウォンを集め、約5600万ウォンを支出したとしている。

 正義連は18年7月に挺対協と正義記憶財団(16年設立)が統合して発足した団体だ。挺対協は正義連に統合された後も別途に寄付金を募り、支出していたことになる。

 事実上、同一の団体だが、公示上では挺対協の主務官庁は外交部、正義連は国家人権委員会だ。両団体とも代表者は19年まで尹美香(ユン・ミヒャン)氏となっている。尹氏は先月の総選挙で、与党の比例政党から出馬して当選した。

 また、保守系最大野党「未来統合党」の国会議員がソウル市や関係官庁から提出を受けた資料によると、正義連・挺対協は16年から19年にかけ約13億4300万ウォンの国庫補助金を受給した。

 だが、挺対協は16〜19年に政府補助金を毎年受け取りながらも、決算書類上の「補助金」項目に0ウォンと記載し続けた。

 正義連も18年に1億ウォン、19年に約7億1700万ウォンの補助金を受給したが、公示上の「補助金」項目には18年0ウォン、19年5億3800万ウォンと記した。

 20年は正義連が5億1500万ウォン、挺対協は1億700万ウォンの政府補助金を受給した。

 これを巡り、高麗大のイ・ハンサン教授(経営学科)は「事実上、同一の二つの非営利団体がそれぞれ政府補助金などを受け取ったとすれば、結果的に重複受給となり、他の団体に回る恩恵が減った可能性がある」と指摘している。

 正義連は今月11日の記者会見で、挺対協の法人存続問題について、「組織よりも活動内容を先に統合し、その後に残った財産を処理して行政手続きを踏んでいた。だが挺対協の法人が消えることはなく、(旧日本軍の慰安婦をテーマにした)戦争と女性の人権博物館の運営を担う機能に限定されるだろう」と釈明した。